前回、素直に誤りを正すことができずに失敗を重ねる人の話をちょっとしました。この人は、covert typeの自己愛性障害があるようで、思うに、すべてはそこからきているように思います。「完璧な自分」という虚像を守るために、自分の犯した過ちを素直に認めて正すということができず、都合の悪いことは誤魔化してやり過ごそうとし、自己愛が傷つくと感情的になって相手を攻撃するために健全な人間関係が築けません。加えて、どうも状況を客観的に見て長期的に考えるということができないので、短期的に自己利益をもたらすという行動が長期的には大きなマイナスになっています。
キャリアの上での具体的なマイナス点を三つ挙げるとすると、健全な人間関係を築けない、自己を客観的に評価して反省するということができないこと、それから不安定さです。不安定さというのは自分の興味があることはそれなりに一生懸命やるのに、興味を失うとどんなに大切なことでもやらないということです。これは研究においては致命的だと思います。
まだ若い実験助手の人と、ある時雑談していた時、ウチの子の成績が良くないという話から、普通の学生だった彼女が大学二年目の時にいかに成績をあげたかという話になりました。大学に入って遊びに忙しかった一年目の終わりに、将来のことを考えて、このままではいけないと思ったそうです。それがモチベーションになったのですが、彼女が言うにはモチベーションはただの切っ掛けにしか過ぎず、実際に成績が上がって奨学金がもらえるようになったのは、実際に毎日授業に出て勉強したからであり、そのためにはとにかく毎朝決まった時間に起きて学校に行って勉強するという作業を習慣化したと言うのです。
二十歳そこそこの人が自分のことをこれだけ客観的に見て解析して言葉として表現できることに、私は感心しました。私が彼女の歳の頃はもっと幼稚でした。この人より十歳年上の自己愛(疑い)の人も、どうもこういうことが理解できていないようです。つまり、夢 - ゴール - 計画 - 実行 - 結果の評価と計画の練り直し、こういう複数のステップからなる自己実現の過程をどうもきっちり理解していないのです。極論すれば、この自己愛の人には「夢」しかなく、その実現に、戦略、計画、そして何より、日々のコンスタントな努力が必要であるという当たり前のことが抜けていてます。それで、興味のあることや新しいことには、比較的一生懸命取り組む(モチベーション)のに、興味が消えるとその仕事をおろそかにして、最後までコツコツとやり遂げる(自己規律による習慣化)ということができません。また、自己を客観的に見れず、また自分の欠点を見たくないので、弱点に真摯に取り組むということができず、結局、欠点はいつまでたっても治らず、いつまでたっても成長しないという結果になってしまいました。
この実験助手の人が言うように、仕事を成し遂げるのは、日々の習慣化した努力であって、モチベーションではない、というのは真理だと思います。一つのプロジェクトが出版にたどり着くまでの過程は我慢の連続です。特に後半のまとめに入った段階では、当初のワクワク感はもはやなく、数多くの面白くない仕事をひたすらこなしてデータを積み重ね、原稿を何度も書き直すという地道な作業の連続です。その我慢の作業は、やるしかないわけですが、その行動力をモチベーションに頼るのは無理があります。むしろ、それは習慣化によって成し遂げられるものだと私も思います。
キャリアの上での具体的なマイナス点を三つ挙げるとすると、健全な人間関係を築けない、自己を客観的に評価して反省するということができないこと、それから不安定さです。不安定さというのは自分の興味があることはそれなりに一生懸命やるのに、興味を失うとどんなに大切なことでもやらないということです。これは研究においては致命的だと思います。
まだ若い実験助手の人と、ある時雑談していた時、ウチの子の成績が良くないという話から、普通の学生だった彼女が大学二年目の時にいかに成績をあげたかという話になりました。大学に入って遊びに忙しかった一年目の終わりに、将来のことを考えて、このままではいけないと思ったそうです。それがモチベーションになったのですが、彼女が言うにはモチベーションはただの切っ掛けにしか過ぎず、実際に成績が上がって奨学金がもらえるようになったのは、実際に毎日授業に出て勉強したからであり、そのためにはとにかく毎朝決まった時間に起きて学校に行って勉強するという作業を習慣化したと言うのです。
二十歳そこそこの人が自分のことをこれだけ客観的に見て解析して言葉として表現できることに、私は感心しました。私が彼女の歳の頃はもっと幼稚でした。この人より十歳年上の自己愛(疑い)の人も、どうもこういうことが理解できていないようです。つまり、夢 - ゴール - 計画 - 実行 - 結果の評価と計画の練り直し、こういう複数のステップからなる自己実現の過程をどうもきっちり理解していないのです。極論すれば、この自己愛の人には「夢」しかなく、その実現に、戦略、計画、そして何より、日々のコンスタントな努力が必要であるという当たり前のことが抜けていてます。それで、興味のあることや新しいことには、比較的一生懸命取り組む(モチベーション)のに、興味が消えるとその仕事をおろそかにして、最後までコツコツとやり遂げる(自己規律による習慣化)ということができません。また、自己を客観的に見れず、また自分の欠点を見たくないので、弱点に真摯に取り組むということができず、結局、欠点はいつまでたっても治らず、いつまでたっても成長しないという結果になってしまいました。
この実験助手の人が言うように、仕事を成し遂げるのは、日々の習慣化した努力であって、モチベーションではない、というのは真理だと思います。一つのプロジェクトが出版にたどり着くまでの過程は我慢の連続です。特に後半のまとめに入った段階では、当初のワクワク感はもはやなく、数多くの面白くない仕事をひたすらこなしてデータを積み重ね、原稿を何度も書き直すという地道な作業の連続です。その我慢の作業は、やるしかないわけですが、その行動力をモチベーションに頼るのは無理があります。むしろ、それは習慣化によって成し遂げられるものだと私も思います。