百醜千拙草

何とかやっています

面接の話

2019-10-08 | Weblog
日が短くなり、朝が少しひんやりしてきました。秋は昔はとても好きな季節でしたが、最近は、これから寒い冬も間近だなあ、今年もすぐに終ってまた年をとってそのうち死んでいくのね、というような「最後の一葉」的な気分を感じることが増えました。あと、三年は子供の学費と買い換えたばかりの車のローン、十年は家のローンを払わねばならないのですけど。

先週は、新しい実験補助員を雇うべく、応募者の中から最終的に二人を選んで面接しました。二人とも研究スキル的には同じような感じ。一人は明るくハキハキしたタイプ。もう一人は多少控えめな感じでしたが真面目そうなタイプ。

他のメンバーとも話しして最初の一人にまず、オファーを出すことにしたのですけど、私の決め手は、将来のプランを聞いた時に、この人は将来、アカデミアで研究職について教授になりたい、と答えた点です。二人目の人は同じ質問で将来も研究職について人の役に立つような発見、開発をしたい、とは答えたのですが、まだ企業にするかアカデミアにするか大学院に進学するかどうか、決めかねていると答えました。ま、短い時間の面接で本当のところはわかりませんけど、面接する側としては、本音はともかく、聞きたい答えを聞きたいわけで、私もより聞きたい答えをくれた方を優先したということです。

ちょうど一年前も一人採用したのですけど、その時は4人面接しました。かなりレベルの高い大学に途中から編入して卒業した人がいて、面接で、勉強は大変だったでしょう、と聞くと「大変でした」と。それは良かったのですが、続けて、「大学は大変だったので、ちょっとここらで一休みしたいです」と言ったので、お断りしました。(それだけが理由ではありませんけど)きっとそれは本音ではあったのでしょうが、私の聞きたい答えではなかったからです。

素直で正直であるのは美徳であり、研究において、正直さは不可欠な資質ではあるのですが、一方で、面接は、応募者のポジションでの能力と将来の同僚としての人間性を知るためにしています。質問するのは、応募者の意見を知るという目的もありますが、それ以上に、応募者が私がどういう答えを聞きたいかを察して適切に答える能力があるかどうかを見るためでもあります。

相手が何を聞きたいかを察し、適切に返答する能力は研究に限らず、すべての社会的活動において重要だと思います。このお断りした人は、その後メールをくれて「採用されなかったのは何が悪かったのか教えてくれませんか」と質問されました。学ぼうとする態度は評価できます。不採用の理由を正直に言っても良かったのですけど、それは本人が自分で気づくべきことだと思ったので、単に「より条件にマッチする人がオファーをとってくれたから」と答えるにとどめました。

今回の最初の人は、私が聞きたい答えを答える能力があり、加えて、逆に、私に「研究の何が楽しいと感じるか」「研究で成功するには何が大切と思うか」などの質問をしてきました。意図的かどうかは別にして、こういう質問をしてくる若い人は、やる気を感じるし、当然、親近感を覚えます。面接という機会を利用して学ぼうとする姿勢も素晴らしく、 明るく、ハキハキしているところも好感が持てました。
オファーをアクセプトしてくれると嬉しいのですが。
コメント
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