百醜千拙草

何とかやっています

米停戦案

2024-03-26 | Weblog
先週は家族が来たので、半分休んで小旅行したり外食したりして散財しました。疲れましたが、意義ある日々でした。若い昔と違って、何かワクワクするような期待感を持って旅行するわけではありません。予想した通りのことを大体なぞりながら、きっとここに来るのもこれが最後だろうと思いながら時間を過ごしました。一昨年の夏から年末にもあちこちそんな旅行をしました。その頃と比べて、わずかながらも確実に体は衰えていることを実感しましたし、その間にも親しい人も数人が世を去りました。iPhoneに入っている音楽の演奏者も半分は故人となりました。時間というものは確実に過ぎていくものです。これから坂を下っていくにつれ、この世の中とのつながりをだんだんと失っていくことになるということがあらためて実感されました。土曜の夜は連れ合いと外で食事をし、帰りがてら、昔からある地元のバーに立ち寄りました。二人でバーなどに来るのは結婚後は初めてかも知れません。私はマティーニ、連れ合いはサッパリする飲み物をと注文すると、マスターはモスコミュールを作ってくれました。食事の後にバーに立ち寄って一杯というような小さな楽しみもいつかはできなくなる日が来るのだろう、一人でやっているこの小さな店の同年代のマスターも遠からず、バーテンダーを止める日が来るだろうし、そうしたら先代から50年は続いているだろうこの店はどうなるのだろう、などとちょっと感傷的な気分になりました。

さて、私のように飢えることもなく、寒さに震えることもなく、ここまで生きてくることができて、あとは蝋燭の火がそっと消えるようにこの世を去りたいと望めるような恵まれた立場にある人間は、世界ではまだ少数派なのかも知れません。前世紀の時代遅れの帝国主義メンタリティーをもつ思い上がったものどもが、いまだに権力を持ち、我欲を満たさぬがために、罪ない人々を殺し苦難を強い、文化と環境を破壊し続けています。

ガザでは、イスラエル軍は、異常なレベルの爆弾を投下し、北部から順番に街を破壊し人々を虐殺し、生き残った100万人のパレスティナ難民を南部のRafahへと誘導してきました。今、かつてのワルシャワのGhettoそっくりの光景がRafahに展開されています。そして、人質解放とハマス殲滅を口実に、Rafahへの本格的攻撃を行いパレスティナ人の大虐殺をネタニヤフは遂行すると明言しています。

先週、バイデンは、Rafah総攻撃の計画に際し、ガザでの即時停戦を提言する国連への案を提出しました。そして、ネタニヤフはアメリカの支援がなくても、ハマスを壊滅し人質を奪還するためにRafahへの軍事作戦は遂行する、と断言しました。いまや、すでに「ハマスの殲滅とか人質の奪還」とかというネタニヤフのイスラエル国内向けの口実を国際社会は誰も信じていません。そもそも第一日目から、イスラエル軍司令官はガザで生活しているパレスティナ難民を人獣と呼び、難民支援物資や水、エネルギーの供給路を絶ち、ハマスを殲滅する、と宣言しています。ハマスであろうがなかろうが、パレスティナ人は彼らにとって「害獣」であって駆除対象だとでも考えているのがあからさまです。集団的懲罰は明かな国際法違反であり、そもそもイスラエルが虐殺と略奪を通じて作り出してきたパレスティナ難民をRafahに集めた上で、Rafahを攻撃して彼らをガザから消し去り、ガザを完全掌握するのがネタニヤフの本来の狙いであることは明白です。

さて、アメリカが国連に提出した即時停戦案ですが、さすがに国連でも孤立しながらもイスラエル支援を続けてきた国だけあって、世界が納得するような案ではなかったようです。この案に対し、ロシアと中国が批判。

もちろん、アメリカがイスラエル政権の不利になるような提案をするはずがないのです。それは、統一教会によって日本の政治が歪められているように、シオニストによってアメリカの政治はコントロールされているからです。そもそも国務長官ブリンケンからしてコテコテのユダヤ人ですし。

ロシア、中国は、アメリカの停戦提案は、国際社会が望んでいるようなガザのパレスティナ人に対する人道的な救済につながるようなものではなく、一時的な停戦を口実として、Rafahへのイスラエルの本格攻撃を容認するものであって、到底、合意できない、と主張しました。実際、アメリカ副大統領のカマラ ハリスは、演説で「即時停戦」を主張した後で、「少なくとも六週間の」とこっそり付け加えました。「停戦」は永久停戦でなければ意味がないのです。停戦が一時的なものならば、再開が前提ということですから。つまり、六週間の停戦の間に、ハマスが人質としているイスラエル人とイスラエルの刑務所に収容されているパレスティナ人を交換し、その後でイスラエルは、心置きなく、ハマス殲滅を口実にRafahを総攻撃するであろうということです。アメリカのいう「停戦」は、あたかも停戦によってガザのパレスティナ難民を救済するかのように装いながら、その実、停戦後のイスラエルのRafahへの本格的な攻撃をむしろ後押しするような内容になっていることを、ロシアと中国は指摘したのでした。この一見パレスティナ難民を救済するかのような提言に見えるが、実は全く逆の目的を意図しているアメリカの停戦提言は、わざと合意を破ってはハマスを挑発し、最終的に10-7の事件を起こさせることによって「被害者の立場」を得て、それをジェノサイドの口実に使うというイスラエルのやり口とそっくりです。停戦は「永久停戦」でなければ意味がない、これはずっと識者が主張してきたことです。

イスラエルを牽制するフリをしながら、実はジェノサイドを支援することになるアメリカの停戦案は、秋の大統領選挙に向けての米国内では政権支持率アップが期待できる一方で、イスラエルのシオニスト政権にはその野望遂行を支援することができる一石二鳥の解決法だと現民主党政権は考えたのでしょう。事実、先週、停戦提案提出の裏でアメリカ議会は、会計年度2024はイスラエルへの33億ドルの軍事支援を決定する一方、パレスティナ難民を支援してきた国連団体UNRWAへの一年間の資金供与中止を決定しています。口では停戦、やっていることはイスラエル支援とパレスティナ難民支援中止、悪い意味でアメリカらしいですな。
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