青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

田中輝路

2018年11月17日 17時00分00秒 | 飯山線

(紅いリンゴに@西大滝の直売所)

秋のこの時期、R117の沿道には地元農家の方々の直売所が軒を並べていました。一日留守を預かってもらった家族に土産物でも…という気分で覗いてみると、この時期真っ赤に色付いたリンゴが所狭しと並べられている。秋の信州と言えばやっぱりリンゴだねえ。店先で試食をつまんでみると、近所のスーパーで買ってくるリンゴの味とは違って甘みも香りも鮮烈。リンゴってのは比較的長く貯蔵できる果物だという認識(一年中売ってますからね)なのだけど、やはり食べ物には旬と言うものがあって、採れたて・もぎたて・新鮮が一番って事でしょうか。


それにしてもリンゴという果物も色々と種類があるもので、ふじ、サンふじ、つがる、紅玉あたりの定番品種からシナノスイート、シナノゴールド、北斗、王林、秋映、千秋…と見ているだけで勉強になる。そして値段も様々。調子に乗って試食を色々と食べ比べてみたのだが、やはり高いリンゴは美味いな(笑)。自分は甘さもそうなんだけどパキパキしているリンゴが好み。とりあえず特売の「千秋」を一山購入して、ついでにキノコや山芋も。信州の山と里の恵みをお持ち帰り。


クルマの中をリンゴの香り一杯にして、再び西大滝から県境を超えて新潟側へ。お気に入りの越後田中界隈、撮影ポイントの駅東側の耕地でワンカット。秋の午後4時の日差しはより一層赤みを増して、田んぼのあぜ道に立つ大イチョウを照らしています。まさに黄金の滝のように枝垂れた秋の向こうから、おいこっとがやって来ました。


「ふるさと飯山線」という写真集でもこの田中駅の田んぼで撮影されたと思しきカットが多く、絵になる撮影地でもあります。線路端に続くススキの穂波をかき分けて、ゆっくりと越後田中の駅を通過するおいこっと。西日に照らされた秋の妻有路、あまりの眩しさに、思わず車掌さんが制帽を目深に。列車の風圧でススキの穂がふわりと弾けて、キラキラと輝きました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鍋倉炎嶺

2018年11月16日 17時00分00秒 | 飯山線

(俯瞰への道@野沢温泉村七ケ巻)

蓮まで136Dを追った後は、長野方面へは深追いせずにまた信越国境方面に戻って来ました。何だかんだ言ってもこの付近の紅葉が沿線では一番進んでいるような感じなので、ここからは飯山色から離れて風景重視のアングルを狙ってみようという算段です。追っ掛けはしませんのでね、線路っぱたから離れてちょっと高いところに登ってみます。この趣味も突き詰めればそれこそ機材担いで登山のような事もなさる御仁も多いと聞きますが、まあ私の場合はクルマで行ける安全なお手軽俯瞰が好きです、ハイ(笑)。


高台の荒蕪地から、西大滝ダムとR117白鳥大橋を望む。国道からは標高で120~130mほど上になるのかな。左下側には西大滝の集落、午後になって国境付近は雲がまだらに出るようになって撮り難しくなりました。奥にうっすら雪をかぶった山並みが見えますが、越後駒ケ岳や八海山とかそっち方面だろうか。


次の186Dまで暫く列車も来ないので、クルマの中で昼寝。1時間近く寝ていただろうか、秋の日は釣瓶落としなんて言うけど、まだ15時前なのに随分と日の傾くのが早くなったもんだ。燃えるような紅葉のなべくら高原に続く山並みに茜差す頃合い、太陽光の色に沿ってWBはちょこっと晴天日陰に寄せて列車の通過を待てば、やがてスノーシェッドの中を通過して桑名川に向かう単行がキラリと西日に光った。

秋深し 燃ゆる山々 仰ぎ見て
単行キハも 輝く旅路
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蓮極楽浄土

2018年11月15日 17時00分00秒 | 飯山線

(緩やかに続くホーム@蓮駅)

136Dは戸狩もスルーし、飯山駅で135Dとの交換を兼ねてようやく15分停を持ちます。戸狩から先は飯山の市街地に入ってしまうので追っ掛けが効き辛いのですが、停車時間を使って蓮の駅へ先回り。この蓮の駅も、飯山線に出張って来るとかなりの確率で立ち寄ってしまう駅の一つ。緩やかにカーブするホームに、伸びやかなレールが続いている。替佐から長野盆地と飯山盆地を隔てる隘路を走って来た線路が、みゆき野の空の広がりにほっと一息つくような、そんな駅。


「蓮」と書いて「はちす」と読ませる、若干宗教的雰囲気のあるこの駅。駅の東側にある集落の大字から付けられた駅名だそうですが、その由来はやはり仏教の極楽浄土を想起するものであるらしい。仏様の乗っている台座が蓮の葉であるように、仏教と蓮には切っても切れない関係があります。そんな駅名とリンクするように駅の向かいには「永國(ようこく)寺」というお寺さんがあって、駅の横から小さな参道が続いています。


短いながらも丁寧に敷かれた石畳の参道から飯山線の線路を見る。蓮の駅と永國寺は集落の高台にあって、千曲川沿いの集落と耕地を見下ろしています。この時期は参道の両脇に植えられたモミジが赤く染まり、風趣のある秋の雰囲気が一杯。


千曲川の川風が吹き抜ける蓮の駅。ホームに落ちた枯葉がカサカサとアスファルトの上を転がって行きます。澄み渡った乾いた風に吹かれながら列車の到着を待っていると、ついウトウトとしてしまって危うく涅槃に連れて行かれそうになる。やがて軽やかなエンジン音を響かせて136Dが蓮の駅に到着すると、いつの間にか列車を待っていた一人の学生さんが乗り込んで行きました。


永國寺の参道から、列車の去った蓮駅のホームを望む。「天国にいちばん近い島」と歌ったのは原田知世だったが、さしづめここ蓮の駅は「極楽にいちばん近い駅」と言ったところか。日蓮聖人は、「蓮は佳きもの、泥より出でたり」として、泥の中から綺麗な花を咲かせる蓮に煩悩の渦巻く俗世に咲く極楽浄土を見たといいます。泥から出て綺麗な花を咲かせる蓮には、俗世に染まらない「浄土」の力があると言う事ですね。これを仏教の言葉では「淤泥不染の徳(おでいふぜんのとく)」と言うそうですが。

煩悩にまみれた浄土信州飯山色原理主義一派の鉄道マニアが言ったところで何をかいわんや、ってトコでしょうけど、仏教の考え方と言うものに触れておくのも、たまには悪いことでもないのかなと(笑)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

千曲川秋模様

2018年11月14日 17時00分00秒 | 飯山線

(色は褪せても@桑名川駅)

信号が開通し、桑名川を出て行く136D。今回飯山色を追い掛けていて気が付いたのですが、昨年の春から走り始めたこの飯山色も、特徴であるビビッドな色合いがさすがにやや色褪せて来ました。この特別塗装は公式には「2017年3月10日(金)~2019年3月末まで(予定)」とありますので、次の出場の際には、そのまま飯山色が解除されて一般色に戻るのかもしれません。が、ここまで人気のある飯山色を期間限定にするのは勿体ない。キハ110の一般色に比べて塗装が面倒なのは百も承知で、長総車セ様におかれましては再塗装をお願いしたいものです(笑)。


上桑名川から先、H鋼で作られたスノーシェッドと落雪覆いを抜けて戸狩へ向かう136D。飯山盆地から信越国境に向かって、開田山地と志賀高原に続く山並みを分かつ千曲川は、下流の西大滝ダムによる堰き止め効果もあって緩やかに流れています。車の流れも少ない県道から見る秋の青空。大規模な護岸工事が行われてたりして、だいぶ川の周りの景観が変わった場所があるのは気掛かりではありますが、その雄大な流れをいつまでも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

桑名川半化粧

2018年11月13日 17時00分00秒 | 飯山線

(青倉の築堤@森宮野原~横倉間)

信越国境の染まる山々をバックに、栄大橋の先にある青倉の築堤を行く136D。ここからの景色、背後に見える山肌が大きく削られておるのが目立つのですが、これは平成23年3月12日未明に起こった長野県北部地震(栄村大震災)によって大規模に崩壊した斜面。青倉の集落も、複数の家屋が倒壊するなど栄村の中ではかなり被害の大きかった地域と聞いています。


136Dが走る時間はちょうどお昼時にあたるのですけど、秋も深まって来ると夏のようなトップライトを気にしなくて良いので助かります。見頃に色付いた山を愛でながら、平滝の駅でお出迎え。この飯山色を狙っての追っ掛けの同業者がチラホラ。136Dは十日町から飯山までの間がほぼ直通のダイヤとなっておりまして足が速い。多少時間調整とかしてくれると、撮影プランが楽になるんですがねえ。


白鳥の駅を出る136D。横倉手前、平滝、そして白鳥の駅先とカット数はそれなりに稼げますが、あまり練った構図にならないのはお許しいただきたく。飯山線の駅は交換設備を取っ払って棒線駅にしたところが多く、かつては分岐器が置かれていた部分で微妙にカーブしているんですよね。これが「棒線駅の前後だから直線だ」と思って撮影していると車体にバンクが付いてたりして撮り難しいのよ。構図の平衡感覚が狂うこともしばしば。信濃平とか。


交換駅の桑名川では、交換列車はありませんが一応閉塞区間が変わるという事で出発信号機の開通待ち。1分足らずの停車時間ですが、この停車時間も貴重な撮影タイム。秋の陽射しを一杯に浴びた友情の列車が、爽やかな秋空の下で佇む至福のひと時。周辺の山々の紅葉にちょっと遅れて、駅の大イチョウが衣装替えの真っ最中です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする