青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

外丸湯情

2018年11月12日 17時00分00秒 | 飯山線

(外丸は街のとっぱずれ@越後鹿渡~津南間)

津南駅の手前を快走する136D。津南の中心街は国道117号線沿いの大割野周辺ですが、津南の駅は大割野からは信濃川を挟んだ反対側。駅周辺は商店や銀行が立ち並ぶ大割野とは違い、静かな里山と言った感じです。以前は「越後外丸(とまる)」と名乗り、松之山温泉や秋山郷への入口として賑わった津南の駅。松之山へは大割野~津南駅前~鹿渡経由で頚城自動車がバスを運転してたらしいんだが、ほくほく線の開通に伴って松之山へのアクセスはまつだい駅にその位置を譲ってしまいました。いつの間にか交換設備すら撤去されてしまいましたね。


駅周辺ではボーリングによって湧出した温泉を利用した民宿や旅館が数軒。というか、駅自体も「リバーサイド津南」と言う名前の温泉施設を併設していて、源泉温度30℃程度の弱アルカリ性単純泉を加熱して利用しています。まあ、周辺に風情のあるホンモノの温泉が目白押しの中で、加熱循環であんまり温泉っぽくない温泉に入る意味があるのかどうか…(何回か利用したけどあんま客いなかったよなあ)。それだったら1駅乗り越して越後田中の駅から歩いて5分の「しなの荘」の立ち寄り入浴をお願いした方が満足度は高いのではないかと(笑)。「駅の温泉」という物珍しさと、アクセスの良さは否定しませんけどね。


越後田中の集落の先、信濃川に迫る崖をくり抜くトンネルに向かう。国道から田中の集落へ入って行く道をどんどん登って行くとマントパーク津南スキー場の上に出るのだが、そこからは信濃川が作り出す河岸段丘の雄大な眺めを見る事が出来ます。登ったらどっか飯山線の線路が俯瞰できるかな?と思って行ってみたんだけど、確かに景色は雄大だったのだが線路は何も見えなかった(笑)。このスキー場は既に営業休止になってるみたいだけど、かつては津南駅の裏にリフト乗り場があって、スキー客は列車を降りて駅前でスキー板を履き、リフトに乗ってゲレンデへ上がって行けるスキー場だったらしい。津南の駅からリフトの跡が見えるもんね。


ちなみに越後田中のしなの荘。薄黄色をしたツルツルスベスベのモール系のお湯がドバドバのかけ流し。ちょっと温めの温度といい、ゆっくり長湯が出来るのが最高。朝の撮影を終えたら、おいこっとのスジは放っといて一浴いただくのもお勧めかもしれない。まあ午前中に温泉なんか入っちゃったらその後なんもヤル気起きなくなっちゃうかもしれんけど。そしたら川を渡って左側の津南物産館にある「とんかつつまり」で津南ポークのトンカツ定食とか食べてさらにヤル気をなくしてください(笑)。追っ掛けばっかりに目を血走らせて、沿線のいいとこいいものに目が向かないのもつまんないからね。自戒含む。
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鹿渡谷渡

2018年11月11日 17時00分00秒 | 飯山線

(一度きりの渡渉@越後田沢~越後鹿渡間)

おいこっとを森宮で見送った後は、十日町でおいこっとと交換して発車してくるお待ちかね飯山色の136Dを。ファーストショットはどこでやっつけるかと考えた結果、信濃川の鉄橋のたもとからスタートすることにしました。飯山線は豊野から越後川口まで延々と千曲川&信濃川に沿って走り続ける割には、川を渡るのはただの一回こっきり。清津峡から流れて来た清津川と、信濃川の合流地点に架かる信濃川橋梁は、立派な上路ワーレントラスの橋。以前はもっとトラスが見えたはずなんだけど、線路際の灌木が伸びてしまってだいぶ撮り辛くなりましたなあ。


広角で信濃川と清津川の出会いのシーンを入れ込んで。信濃川発電所からのアングルは、春は東電の発電所の脇に咲く桜が楽しめる撮影ポイントでもあります。信濃川発電所のタービンを回す水は上流の西大滝ダムにて取水された水で、長い導水管によってここまで運ばれ、首都圏の電気を作り出しています。対岸の河岸段丘の森の色付きはややピーク前、と言った感じですけど、築堤にそよぐススキの穂波を泳ぐように走って来た136D。次の停車駅は、越後鹿渡です。
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北越雪譜

2018年11月10日 17時00分00秒 | 飯山線

(おいこっと、栄村の秋を行く@信濃白鳥~平滝間)

平日であれば、9時台~お昼前まではガッツリとスジが開いてしまう森宮野原界隈ですが、土日はスカスカのスジを使って快速「おいこっと」が運転されます。どんくらいスカスカかって、飯山から十日町まで交換ナシで走れるくらいスカスカ(笑)。以前は午前中にも戸狩から十日町へ下る普通列車があったようなんですが、そこのスジに入っているのが現在のおいこっと。秋色に染まる、平滝のスノーシェッドを行く。


飯山線の臨時列車では、季節運転される「風っこ」や、日本酒の飲み比べが人気の「越乃Shu*Kura」に比べると、あまり乗車率の良いイメージのない「おいこっと」。春~秋にかけて運行回数も多いので、プレミアム感が薄いという事も影響しているのでしょうか。定期の普通列車を補完する快速列車がたまたま少し立派な車両で、ちょっとばかり特別料金を取られるという感覚に近いかもしれない。まあ快速と言っても速達性は皆無なのであるが。


奥志賀へ続く山並みを背に、横倉の集落をSカーブで抜けて行くおいこっと。山からの水を引き込むため、飯山線の線路の上に渡された樋がY-Yの形になっているのがここのアングルのアクセント。横倉には栄村唯一の小学校である栄小学校があり、平日の126Dや163Dでは通学シーンも見られるとか…


青空の森宮野原。まあなんだかんだ言っても本数の少ない飯山線戸狩以北にあって、午前中のいい時間帯に走ってくれる列車は貴重。以前の飯山線の臨時列車と言えば何はなくとも冬のスキー臨で、上野から急行妙高に併結された「快速戸狩スキー」や、小諸からの「いいやまスキーエコー」なんて列車が走っていました。


飯山線沿線でも、戸狩や野沢、ちょっと奥に行って木島平村の辺りは農業をしながら冬はスキー宿で生計を立てている人も多いと聞きますが、バブルをピークに日本のスキー人口は激減。いわゆる「シュプール号」なんてジョイトレが信越地区を跋扈していた時期は遠く過ぎ去り、昨今の流行はどちらかと言えばネイチャーツーリズム。平成の30年をかけて「私をスキーに連れてって」から「鈴木牧之」の世界へフェーズが移行したようである。「雪国観光圏」なんていう取り組みも、北信妻有を中心に広がっているらしい。

個人単位で、その土地のありのままを愉しむのが時代の流れ。
「おいこっと」のアテンダントが、一生懸命のおもてなし。
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岩沢郷愁

2018年11月09日 17時00分00秒 | 飯山線

(達筆だな@越後岩沢駅)

適当に県境付近で紅葉を愛でた後は、川口から返してくる午前の飯山色ラスト、182Dをお迎えに越後岩沢の駅まで行ってみました。ってそこのコンビニまで子供を迎えに行きました、みたいなテイで簡単に言ってるけど、信濃白鳥から越後岩沢って45kmくらいあるからね。小田急線換算で言うと新宿から本厚木まで位の距離なんだよなあ(笑)。津南から十日町市街への朝の混雑をまったり流しながら越後岩沢の駅に着くと、筆で力強くしたためられた駅の看板が迎えてくれました。


飯山線沿線を巡ると、どの駅の駅舎も比較的最近改築されたんだろうな、と思われる駅舎が多い事に気が付きます。旧来からの木造駅舎は、老朽化や合理化による駅の無人化とも相まってその姿を消しておりますが、この越後岩沢の駅だけが、おそらく国鉄時代からの駅舎が現在でも残っている飯山線唯一の駅なのではないかと思われます。一応飯山線の駅全部見てるんで、間違いはないと思うけど。


屋根から雪がずり落ちないように、横板を渡したトタン屋根の駅舎は、いかにも雪国の駅と言う趣あるものです。越後岩沢は以前は相対式の2面3線の規模を持つ駅だったようで、飯山線の唯一の優等列車であった急行「野沢(長野~長岡)」も、この駅に停車をしていました。飯山線にはもう一つ急行「うおの(新潟~十日町)」という列車も走っていたのですが、越後川口~十日町間は普通列車扱いだったとか。いずれも昭和の時代の話。


岩沢の駅のホームから川口方を見やれば、木造駅舎の雪囲いの羽目板も味わい深く…。ここに大きな荷物を持った旅人の姿でもあれば実に絵になる物語の始まりそうな駅だな、という印象を持ちます。


ホウキグサが紅く染まるホームに、飯山色を先頭にして182Dが入線して来ました。ワンマン運転用のミラーが若干風趣を削ぎますが、今や日本全国のローカル線のほとんどがワンマン運転なのでしょうがないですかね。よく見ると駅舎には列車接近表示とかも実装されていて、昔は駅員さんがやっていた事の大部分が省力化されているのが分かります。


182Dから下車したお客さん1名。早朝5時から飯山線をフル走破する運用は、なかなかハードなものがあります。ま、それに付き合ってメシも食わずに追っ掛け回している自分も自分なんだけど(笑)。182Dは十日町まで走った後、お昼前に改めて136Dとして長野に向かうまで約2時間半のインターバルがありますから、こちらもワンブレイクして朝食でもいただきましょうか。

…と立ち寄った十日町手前のコンビニのレジの子がカワイかったので、午後からの追っ掛けにも気合が入ろうというものです(笑)。

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白鳥歳時記

2018年11月08日 17時00分00秒 | 飯山線

(秋の朝日に輝いて@平滝~信濃白鳥間)

123Dはケツ飯山(言い方×)なので、栄大橋でやってから森宮~十日町は無理に追わずに紅葉がいい感じな栄村界隈で朝の列車を狙います。森宮で123Dと交換する126Dは、所定が片運キハ111の固定2連になるので、両運車の飯山色はまず入らない運用です。平滝の集落の外れ、秋の陽射しが半逆光で注ぐ築堤。駆け抜けて行く126Dのサイドが輝きます。飯山色が好きなのは間違いないけど、その前提として飯山線の沿線風景が自分にしっくり来るよね。そうでもなきゃこんなに何回も来ない。


森宮滞泊の始発で出て行った162Dが、戸狩から163Dで返してきました。信濃白鳥界隈も、飯山線沿線に出張って来た時は必ずと言っていいほど来てしまう場所。白鳥の長野側の三種踏切(大門踏切)から眺める風景。大ケヤキの向こう側に、燃えるような里山を背にした小さな白鳥の駅があって、火の見櫓と片流れのトタン屋根の家が見えます。


山華やかに錦を纏う北信の秋も、里の葉が落ちる頃には、山の上から白くて長い冬がやって来ます。これは今年の一月に訪れた時の写真。同じ大門踏切から、ほぼ似たような構図で撮影していた。撮ってから気付いたのだから自分の構図選びがワンパターンなのに呆れてしまうのでありますが、これも定点観測だと考えてセットで見れば味わい深いのかもしれない。あとひと月も経てば、長く厳しい雪との戦い。それが北信の暮らしのルーティーン。

そうやって四季は巡り、時は流れ、また人は一つ歳を重ねた事を書き記す。
白鳥の歳時記を、写真で追い掛けてみたくなりました。
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