先月(10.12.11)、橿原市今井町が東アジアからの留学生(17人)とホストファミリーなど総勢54人を、「1日体験プログラム」として受け入れた。国際的なボランティア団体であるAFS(アメリカン・フィールド・サービス)日本協会奈良支部の事業の一環である。受け入れ側の代表者だった若林稔さん(今井町町並み保存会会長)がブログ記事「青少年大交流計画の留学生たちに、今井町での1日体験のプログラムを組みました」で詳しく紹介されている。

《AFS日本協会奈良支部が受け入れている「21世紀東アジア青少年大交流計画(通称JENESYSプログラム)」(外務省による事業)で来日した留学生たちに、日本の文化をより深く知ってもらおうと今井町での1日体験を行いました》。東アジアというが、インド、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、オーストラリア、アメリカなど、さまざまな国から来られている。

《東アジアからの留学生に日本の伝統文化を体験学習してもらう、ホストファミリーも交えて今井町町並み保存会との交流を深める、奈良に来た留学生に、奈良という地域の特殊性を知ってもらう、を目的として今井町町並み保存会がお世話して、留学生に町家ぐらしと日本の中世の文化を一日たっぷりと体験してもらいました》とある。

たまたま私が、AFS日本協会奈良支部長の松岡悦子さん(奈良女子大学教授)と若林さんを顔つなぎさせていただいた関係で、松岡さんから当日の写真データをたくさんいただいた。若林さんのブログを参照しつつ、紹介する。

当日は「今井まちなみ交流センター 華甍(はないらか)」に集合。まずは書道を体験したあと、着物を着て今井町の町並みを見学。《皆さん着物が大変お気に入り、ホストファミリーと記念写真を撮る光景があちこちで》見られたそうだ。

《昼食は子ども太鼓に迎えられて全員で重文旧米谷家で今井町町並み保存会の名物「大和今井の茶粥」を頂き、賄い、後片付けなどを体験しながら味わう》。私も「古社寺を歩こう会」で、今井の茶粥をいただいたことがある。その時は「食器~赤膚焼。赤膚山元窯の登り窯で今井の駒つなぎ、軒瓦(のきがわら)を特別に意匠して制作した茶碗・皿・箸置 膳~柿渋染めランチョンマット。今井町河合酒造の柿渋、柿は大和の名産で古くから柿渋が清酒清澄剤、血圧を下げる薬、木地食器等木製品に塗布するなど、生活に取り入れられていました。ランチョンマットは『大和今井の茶粥』と和紙に墨書してその上から柿渋を塗布し、若者たちが夜なべをして裏打ちをしました」等々という、とんでもなく手間暇のかかったもので、大変美味しくいただいた。

茶粥は旧米谷家のかまどで炊かれたそうだが「ウチにもかまどがある」という声が上がったという。ネットで百科「かまど」によると《狭義のかまどは,壁の一辺に作り付けになった,粘土製や鮭瓦製などの煮炊き用の設備をさすが,ユーラシア大陸のなかで,このような狭義のかまどが用いられている所は案外少ない。歴史的にみた場合,東アジアとそれに隣接する一部の地域に限定される》とあるので、東アジア地域にはかまどがあるのだ。
《14時から全員で・重文旧米谷家でかまどで甑(こしき)を揚げ、杵と臼でお餅をつき、食べる。へっぴり腰でおっかなびっくり、でも楽しい餅つき体験に全員大喜び》。当日、お手伝いされたKさんが、若林さんのブログにこんなコメントを寄せていた。


《東京に住んでいるが、たまたまこの日は今井町におり、スタッフに誘っていただき飛び入りで参加する事になった。何とも贅沢な一日で、留学生とホストファミリーのはしゃぎようは見ていて気持ちがいい程だった。何しろ着物で町を歩き書に親しみ茶粥を味わい餅をつくのだが、細部に宿る心遣いがどれも文化的な質の高さを秘めている》。


《後半、美しい炎に照らされた煙と湯気が立ちこめるほの暗い土間で、わあわあ言いながら餅をついては食べる空間には、全員をひとつの家族にしてしまう魔力が確かに働いていた。今井町の町並み哲学を垣間見た思いだ》。

中央が若林さん、向かって左端が松岡さん

さて、若林さんのブログに戻る。《16時 後片付けを済ませると、朝から体験した書道の作品が裏打ちを済ませてあり、自作の箸袋とあわせて各人に手渡される》。《予想をはるかに上回る参加人員で留学生も書道、着物、餅つきの体験には大喜びで、夢中になってくれたのが嬉しかった》。


今井町では建物や町並みだけでなく、生活習慣の中に「古き良き日本」が受け継がれている。留学生たちを温かく迎える「もてなしの心」も、素晴らしい。重要文化財の古民家のかまどや座敷を使うには、面倒な手続きも要したことだろう。それでも茶粥を炊き、餅米を蒸し、杵と臼で餅をついて振る舞うところが、今井の「町並み哲学」なのである。この「1日体験」の大成功で、今年はたくさんの外国人観光客が訪れるに違いない。

《AFS日本協会奈良支部が受け入れている「21世紀東アジア青少年大交流計画(通称JENESYSプログラム)」(外務省による事業)で来日した留学生たちに、日本の文化をより深く知ってもらおうと今井町での1日体験を行いました》。東アジアというが、インド、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、オーストラリア、アメリカなど、さまざまな国から来られている。

《東アジアからの留学生に日本の伝統文化を体験学習してもらう、ホストファミリーも交えて今井町町並み保存会との交流を深める、奈良に来た留学生に、奈良という地域の特殊性を知ってもらう、を目的として今井町町並み保存会がお世話して、留学生に町家ぐらしと日本の中世の文化を一日たっぷりと体験してもらいました》とある。

たまたま私が、AFS日本協会奈良支部長の松岡悦子さん(奈良女子大学教授)と若林さんを顔つなぎさせていただいた関係で、松岡さんから当日の写真データをたくさんいただいた。若林さんのブログを参照しつつ、紹介する。

当日は「今井まちなみ交流センター 華甍(はないらか)」に集合。まずは書道を体験したあと、着物を着て今井町の町並みを見学。《皆さん着物が大変お気に入り、ホストファミリーと記念写真を撮る光景があちこちで》見られたそうだ。

《昼食は子ども太鼓に迎えられて全員で重文旧米谷家で今井町町並み保存会の名物「大和今井の茶粥」を頂き、賄い、後片付けなどを体験しながら味わう》。私も「古社寺を歩こう会」で、今井の茶粥をいただいたことがある。その時は「食器~赤膚焼。赤膚山元窯の登り窯で今井の駒つなぎ、軒瓦(のきがわら)を特別に意匠して制作した茶碗・皿・箸置 膳~柿渋染めランチョンマット。今井町河合酒造の柿渋、柿は大和の名産で古くから柿渋が清酒清澄剤、血圧を下げる薬、木地食器等木製品に塗布するなど、生活に取り入れられていました。ランチョンマットは『大和今井の茶粥』と和紙に墨書してその上から柿渋を塗布し、若者たちが夜なべをして裏打ちをしました」等々という、とんでもなく手間暇のかかったもので、大変美味しくいただいた。

茶粥は旧米谷家のかまどで炊かれたそうだが「ウチにもかまどがある」という声が上がったという。ネットで百科「かまど」によると《狭義のかまどは,壁の一辺に作り付けになった,粘土製や鮭瓦製などの煮炊き用の設備をさすが,ユーラシア大陸のなかで,このような狭義のかまどが用いられている所は案外少ない。歴史的にみた場合,東アジアとそれに隣接する一部の地域に限定される》とあるので、東アジア地域にはかまどがあるのだ。

《14時から全員で・重文旧米谷家でかまどで甑(こしき)を揚げ、杵と臼でお餅をつき、食べる。へっぴり腰でおっかなびっくり、でも楽しい餅つき体験に全員大喜び》。当日、お手伝いされたKさんが、若林さんのブログにこんなコメントを寄せていた。


《東京に住んでいるが、たまたまこの日は今井町におり、スタッフに誘っていただき飛び入りで参加する事になった。何とも贅沢な一日で、留学生とホストファミリーのはしゃぎようは見ていて気持ちがいい程だった。何しろ着物で町を歩き書に親しみ茶粥を味わい餅をつくのだが、細部に宿る心遣いがどれも文化的な質の高さを秘めている》。


《後半、美しい炎に照らされた煙と湯気が立ちこめるほの暗い土間で、わあわあ言いながら餅をついては食べる空間には、全員をひとつの家族にしてしまう魔力が確かに働いていた。今井町の町並み哲学を垣間見た思いだ》。

中央が若林さん、向かって左端が松岡さん

さて、若林さんのブログに戻る。《16時 後片付けを済ませると、朝から体験した書道の作品が裏打ちを済ませてあり、自作の箸袋とあわせて各人に手渡される》。《予想をはるかに上回る参加人員で留学生も書道、着物、餅つきの体験には大喜びで、夢中になってくれたのが嬉しかった》。


今井町では建物や町並みだけでなく、生活習慣の中に「古き良き日本」が受け継がれている。留学生たちを温かく迎える「もてなしの心」も、素晴らしい。重要文化財の古民家のかまどや座敷を使うには、面倒な手続きも要したことだろう。それでも茶粥を炊き、餅米を蒸し、杵と臼で餅をついて振る舞うところが、今井の「町並み哲学」なのである。この「1日体験」の大成功で、今年はたくさんの外国人観光客が訪れるに違いない。