奈良県認定の大和野菜(やまとやさい)である「結崎(ゆうざき)ネブカ」をご存じだろうか。県のHPには《観世能の発祥地川西町結崎には、江戸時代にネギの産地としての記録があり、室町時代に翁の能面といっしょに天から降ってきたネギを植えたという伝説がある。柔らかくて甘みがあり煮炊きものに美味しいネギであるが、柔らかく葉が折れやすいため、市場から姿を消していった。平成14年から農協・商工会が中心となって農家が自家栽培していた品種を発掘し産地育成に取り組んでいる》。
世阿弥の父・観阿弥清次(伊賀出身)は、能を大成した人物として知られる。両親は長谷寺の観世音菩薩を厚く信仰しており、生まれてきた子どもの名前を観音さまにお伺いしたところ、「観世(みよ)」という名前を賜ったので、「観世丸(かんぜまる)」と名付けたそうだ。観阿弥はのちに結崎に移り住み、結崎座(観世座)として能の道に精進したといわれている。
結崎ネブカは、料理研究家・おぜんさんのブログ「膳-Sai」によると《切ってる時は普通の青葱と変わりませんが、食べてみると…! 驚きの味! 美味しいお葱です。その辺の青葱とは比べ物になりません。香りは葱臭くなく、上品なお葱の香り。食感はやわらかいけど、シャッキリ、味は、青葱より濃厚、甘みもしっかりで、本当にびっくりしました。幻の葱と言われてますが、ホント、この言葉がピッタリ。この、川西町結崎でしか味わえないお葱です。日もちがしないから、ここでしか味わえないお葱。わざわざ行く価値有りです。是非是非、ご賞味ください》。
写真は試食会で09.9.24に撮影(他の写真は、すべて11.1.16に撮影)
私も以前、ホテル日航奈良で開かれた試食会の様子(09.9.24)を、当ブログ記事「結崎ネブカは、とろ~り甘い!」で紹介したことがある。おぜんさんがお書きの通り、ネギの濃厚な味と甘みが特徴である。
さて先日、さるラーメン情報誌で、「屋台ちかみちラーメン」(磯城郡川西町結崎1889-1)のことを知った。「屋台で味わう煮干ラーメンの本格派」「無化調(化学調味料不使用)」とあった。09年12月にオープンしたお店で、結崎ネブカ(刻み)のトッピングもできるという。で早速、日曜日(1/16)に訪れた。
訪ねてみて、驚いた。場所は奈良検定でもおなじみの「面塚」(めんづか=天から降ってきた能面を祀った塚)の碑の向かいだったのだ。「喫茶yorimichi(寄り道)」の駐車場に駐めてある車が調理場で、そこで注文すると、お隣りのプレハブ(カウンター席)に運んでくれるシステムである。ブログ「奈良に住んでみました」(クセになる和風味)に詳しい情報が出ていた。《東京の『たけちゃんにぼしらーめん』で修行されていたという、まだお若い店長さんのお店で、天然素材のみを使用して、煮干の旨味がタップリと味わえる、上品な和風らーめんがいただけます》。
麺塚ならぬ「面塚」
《このラーメンが、化学調味料は不使用の、とても穏やかで上品な味わいです。お蕎麦の出汁に近い印象で、ほのかな柚子の風味が感じられ、毎日でも食べたくなるような美味しさです。決してインパクトが強いワケではありませんが、食後も胃がもたれたりすることもなく、本当に満足度が高いんですよね》。
なお「たけちゃんにぼしらーめん」とは、同店のHPによると《ミュージシャンの経歴を持つ店主(坂本鐐一)が平成2年に見ず知らずの他人の借金を肩代わりする形で1台のワゴン車からはじまる》《にぼしをベースにあっさりとして奥の深いスープと、ぼそっとした歯ごたえの特製麺が特徴》というお店である。『博多一風堂・河原成美が選ぶ うまかラーメン115軒』(角川書店刊)の「今、一番気になる10軒」にも選ばれていて、「毎日でもいける天然魚系のダシのラーメン」と紹介されている。
移動式のワゴン車
屋台ちかみちラーメンは、日曜日だけは昼間に営業しているので、訪れたのは正午過ぎだった。注文したのは「しおらーめん」700円と、トッピング「結崎ネブカ」100円(ただし結崎ネブカは、10~2月のみ)。プレハブの中では、すでに何人かがラーメンをすすっている。しばらく待っていると偶然、同僚のMくん(結崎に住んでいる)が、奥さんと2人でやってきた。Mくんとは、金曜日に新年会で顔を合わせたばかりだ。家の近くなのに、このお店を訪ねるのは初めてだという。Mくんは「しおらーめん」、奥さんは「(醤油)らーめん」600円を注文された。
こちらは喫茶yorimichi(寄り道)、暖炉があるそうだ。yorimichiの手前だから「ちかみち」なのだ
ほどなく運ばれてきた「しおらーめん」(=トップ写真)。結崎ネブカがわんさか載っている。このトッピングが100円とは、超破格値だ。まずはスープを。上品だがシッカリした煮干しダシ(鰹、鯖、ムロアジなど)に、豚骨(豚のげんこつ=足関節)でコクを加えた独特のスープであるこれはうまい! やみつきになりそうな味、まさに「屋台で味わう煮干ラーメンの本格派」だ。これに、濃厚な味の結崎ネブカが、ピッタリと合う。麺は、私好みのもっちり太麺。これは絶品の「結崎ネブカラーメン」である。
Mくんの奥さんの醤油ラーメンも、撮らせていただいた。これも「とても美味しい」と満足そうだった。HP「奈良グルメ図鑑」管理者のnaranaraさんのブログには《スープは煮干しがきいた豚骨醤油。醤油の角が取れまろやかな味、どこにでもありそで、なさそで、うっふんな感じ。表面に浮いた油がコクを出している。麺は太めの平打ち麺。もちもちとした食感でスープをよく吸い込んでうまい》《今回いただいた品はどれも完成度が高く、おいしい店が少ないと揶揄されることの多い奈良のラーメン店の平均点は確実に上がったことだろう。店主には感謝である》とあった。
醤油ラーメン600円
なお、naranaraさんのブログに《店主のブログを読んでいると「でっかくなって東京に戻る」とか「5~7年後には支店を出していたい」とか、なかなか先々に夢を持っておられるよう》とあった。東京になんて帰らず、ぜひこのまま奈良県の名物ラーメンとして発展していただきたいと思うのだが…。
屋台ちかみちらーめん店主・若井教生さんのブログは、Twitterを思わせるほど頻繁に情報を更新されていて、お店を訪ねる前には要チェックである。何しろ屋台なので、「天候不順により休業」という事態もあるからだ。この屋台は移動できるので、出張販売やケータリングにも応じてくれる。
結崎ネブカの里・川西町結崎で味わえる「屋台で味わう煮干ラーメンの本格派」、ぜひいちどお訪ねいただきたい(「食べログ」の同店サイトはこちら)。
※奈良県磯城郡川西町結崎1889-1(喫茶yorimichi駐車場内)
営業時間
月~木 18:00~22:00
金・土 18:00~23:00
日 11:30~15:00
休業日
毎月一日(ついたち)&悪天候&仕込みの多い日
メニュー
らーめん600円(ゆず入は11月~3月)
塩らーめん700円
つけめん800円(~11月)
大盛り+100円
トッピング(各100円)
チャーシュー、味玉子、メンマ、のり、しそ、たまねぎ、白ねぎ、結崎ネブカ(10月~2月)
ドリンク
発泡酒200円、烏龍茶200円
世阿弥の父・観阿弥清次(伊賀出身)は、能を大成した人物として知られる。両親は長谷寺の観世音菩薩を厚く信仰しており、生まれてきた子どもの名前を観音さまにお伺いしたところ、「観世(みよ)」という名前を賜ったので、「観世丸(かんぜまる)」と名付けたそうだ。観阿弥はのちに結崎に移り住み、結崎座(観世座)として能の道に精進したといわれている。
結崎ネブカは、料理研究家・おぜんさんのブログ「膳-Sai」によると《切ってる時は普通の青葱と変わりませんが、食べてみると…! 驚きの味! 美味しいお葱です。その辺の青葱とは比べ物になりません。香りは葱臭くなく、上品なお葱の香り。食感はやわらかいけど、シャッキリ、味は、青葱より濃厚、甘みもしっかりで、本当にびっくりしました。幻の葱と言われてますが、ホント、この言葉がピッタリ。この、川西町結崎でしか味わえないお葱です。日もちがしないから、ここでしか味わえないお葱。わざわざ行く価値有りです。是非是非、ご賞味ください》。
写真は試食会で09.9.24に撮影(他の写真は、すべて11.1.16に撮影)
私も以前、ホテル日航奈良で開かれた試食会の様子(09.9.24)を、当ブログ記事「結崎ネブカは、とろ~り甘い!」で紹介したことがある。おぜんさんがお書きの通り、ネギの濃厚な味と甘みが特徴である。
さて先日、さるラーメン情報誌で、「屋台ちかみちラーメン」(磯城郡川西町結崎1889-1)のことを知った。「屋台で味わう煮干ラーメンの本格派」「無化調(化学調味料不使用)」とあった。09年12月にオープンしたお店で、結崎ネブカ(刻み)のトッピングもできるという。で早速、日曜日(1/16)に訪れた。
訪ねてみて、驚いた。場所は奈良検定でもおなじみの「面塚」(めんづか=天から降ってきた能面を祀った塚)の碑の向かいだったのだ。「喫茶yorimichi(寄り道)」の駐車場に駐めてある車が調理場で、そこで注文すると、お隣りのプレハブ(カウンター席)に運んでくれるシステムである。ブログ「奈良に住んでみました」(クセになる和風味)に詳しい情報が出ていた。《東京の『たけちゃんにぼしらーめん』で修行されていたという、まだお若い店長さんのお店で、天然素材のみを使用して、煮干の旨味がタップリと味わえる、上品な和風らーめんがいただけます》。
麺塚ならぬ「面塚」
《このラーメンが、化学調味料は不使用の、とても穏やかで上品な味わいです。お蕎麦の出汁に近い印象で、ほのかな柚子の風味が感じられ、毎日でも食べたくなるような美味しさです。決してインパクトが強いワケではありませんが、食後も胃がもたれたりすることもなく、本当に満足度が高いんですよね》。
なお「たけちゃんにぼしらーめん」とは、同店のHPによると《ミュージシャンの経歴を持つ店主(坂本鐐一)が平成2年に見ず知らずの他人の借金を肩代わりする形で1台のワゴン車からはじまる》《にぼしをベースにあっさりとして奥の深いスープと、ぼそっとした歯ごたえの特製麺が特徴》というお店である。『博多一風堂・河原成美が選ぶ うまかラーメン115軒』(角川書店刊)の「今、一番気になる10軒」にも選ばれていて、「毎日でもいける天然魚系のダシのラーメン」と紹介されている。
移動式のワゴン車
屋台ちかみちラーメンは、日曜日だけは昼間に営業しているので、訪れたのは正午過ぎだった。注文したのは「しおらーめん」700円と、トッピング「結崎ネブカ」100円(ただし結崎ネブカは、10~2月のみ)。プレハブの中では、すでに何人かがラーメンをすすっている。しばらく待っていると偶然、同僚のMくん(結崎に住んでいる)が、奥さんと2人でやってきた。Mくんとは、金曜日に新年会で顔を合わせたばかりだ。家の近くなのに、このお店を訪ねるのは初めてだという。Mくんは「しおらーめん」、奥さんは「(醤油)らーめん」600円を注文された。
こちらは喫茶yorimichi(寄り道)、暖炉があるそうだ。yorimichiの手前だから「ちかみち」なのだ
ほどなく運ばれてきた「しおらーめん」(=トップ写真)。結崎ネブカがわんさか載っている。このトッピングが100円とは、超破格値だ。まずはスープを。上品だがシッカリした煮干しダシ(鰹、鯖、ムロアジなど)に、豚骨(豚のげんこつ=足関節)でコクを加えた独特のスープであるこれはうまい! やみつきになりそうな味、まさに「屋台で味わう煮干ラーメンの本格派」だ。これに、濃厚な味の結崎ネブカが、ピッタリと合う。麺は、私好みのもっちり太麺。これは絶品の「結崎ネブカラーメン」である。
Mくんの奥さんの醤油ラーメンも、撮らせていただいた。これも「とても美味しい」と満足そうだった。HP「奈良グルメ図鑑」管理者のnaranaraさんのブログには《スープは煮干しがきいた豚骨醤油。醤油の角が取れまろやかな味、どこにでもありそで、なさそで、うっふんな感じ。表面に浮いた油がコクを出している。麺は太めの平打ち麺。もちもちとした食感でスープをよく吸い込んでうまい》《今回いただいた品はどれも完成度が高く、おいしい店が少ないと揶揄されることの多い奈良のラーメン店の平均点は確実に上がったことだろう。店主には感謝である》とあった。
醤油ラーメン600円
なお、naranaraさんのブログに《店主のブログを読んでいると「でっかくなって東京に戻る」とか「5~7年後には支店を出していたい」とか、なかなか先々に夢を持っておられるよう》とあった。東京になんて帰らず、ぜひこのまま奈良県の名物ラーメンとして発展していただきたいと思うのだが…。
屋台ちかみちらーめん店主・若井教生さんのブログは、Twitterを思わせるほど頻繁に情報を更新されていて、お店を訪ねる前には要チェックである。何しろ屋台なので、「天候不順により休業」という事態もあるからだ。この屋台は移動できるので、出張販売やケータリングにも応じてくれる。
結崎ネブカの里・川西町結崎で味わえる「屋台で味わう煮干ラーメンの本格派」、ぜひいちどお訪ねいただきたい(「食べログ」の同店サイトはこちら)。
※奈良県磯城郡川西町結崎1889-1(喫茶yorimichi駐車場内)
営業時間
月~木 18:00~22:00
金・土 18:00~23:00
日 11:30~15:00
休業日
毎月一日(ついたち)&悪天候&仕込みの多い日
メニュー
らーめん600円(ゆず入は11月~3月)
塩らーめん700円
つけめん800円(~11月)
大盛り+100円
トッピング(各100円)
チャーシュー、味玉子、メンマ、のり、しそ、たまねぎ、白ねぎ、結崎ネブカ(10月~2月)
ドリンク
発泡酒200円、烏龍茶200円