tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奈良にうまいものあり! (in 奈良RC) 観光地奈良の勝ち残り戦略(68)

2013年03月03日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
2/28(木)、奈良ロータリークラブ例会の「卓話」講師にお招きいただいた。奈良まほろばソムリエの会としては、小北理事長、長岡さん(奈良市観光協会事務局長)に続き3人目となる。演題は「奈良にうまいものあり!~グルメで奈良にリピーターを呼ぼう~」。今回の卓話にお声かけいただいた鹿鳴人さんが早速、内容をまとめてくださったので、以下に紹介する。


この写真は、鹿鳴人さんが撮ってくださった。有難うございました。

奈良ロータリークラブで、tetsudaさんの卓話がありました。通常は90分でされているお話を30分にまとめられ、約140名の会員にたいへん好評でした。最初に「NPO法人奈良まほろばソムリエの会」の紹介をされ、「まほろばソムリエと巡る大和路」9コースの案内をされました。

○「奈良にうまいものなし」という言葉は志賀直哉ではなく、「県民自身が謙遜していった言葉です」と、若羽学園の田中敏子先生から生前に直接お聞きしました(志賀直哉の「奈良」というエッセイ全文を掲載した資料を配布)。私見(鉄田説)では、謙遜に加え、一般的によくいわれる「名物にうまいものなし」という言葉と混同されて広まったのではないかと思います。



以下の写真は、NTTドコモ奈良支店長の I さんに撮っていただいた。有難うございました。

当日、志賀直哉の「奈良」を配布し、「問題」の箇所を読み上げた。わずか6行である。そこにはこう書いてあった。《食いものはうまい物のない所だ。私が移って来た5、6年間は牛肉だけは大変いいのがあると思ったが、近年段々悪くなり、最近、又少しよくなった。此所(ここ)では菓子が比較的ましなのではないかと思う。蕨粉(わらびこ)というものがあり、実は馬鈴薯の粉に多少の蕨粉を入れたものだと云う事だが、送ってやると大概喜ばれる。豆腐、雁擬(がんもどき)の評判もいい。私の住んでいる近くに小さな豆腐屋があり、其所(そこ)の年寄の作る豆腐が東京、大阪の豆腐好きの友達に大変評判がいい。私は豆腐を余り好かぬので分からないが、豆腐好きは、よくそれを云う》。「奈良にうまいものなし」を正面から論じているわけではないのだ。いずれにしても昭和13年、今から75年も前の話である。

このエッセイで注目すべきは、末尾の部分である。《兎に角、奈良は美しい所だ。自然が美しく、残っている建築も美しい。そして2つが溶けあっている点は他に比を見ないと云って差し支えない。今の奈良は昔の都の一部分に過ぎないが、名画の残欠が美しいように美しい。御蓋山(みかさやま)の紅葉は霜の降りたようで毎年同じには行かないが、よく紅葉した年は非常に美しい。5月の藤。それから夏の雨後春日山の樹々の間から湧く雲。これらはいつ迄も、奈良を憶う種(たね)となるだろう》。奈良を高く評価してくれているのだ。



○奈良県の「食」について、テレビや雑誌などでの情報発信が少ないのは、確かです。奈良県民は奥ゆかしいので、あまり売り込まないのでしょう。

○奥村彪生.(おくむら・あやお)さんという伝承料理研究家.が「奈良は日本の食文化発祥の地」とおっしゃっています。牛乳・乳製品、醤(ひしお)、砂糖(鑑真和上が日本に伝えました)、豆腐・湯葉、奈良漬、そうめん、まんじゅう(まんじゅうの祖は、奈良市林小路町の林神社に祀られている林浄因)、清酒(奈良市菩提山町の正暦寺で初めて作られた)は奈良が発祥とされています。奈良漬や奈良の清酒は今もとても美味しくて、奈良を代表する土産物ですね。



○奈良の地名を冠した食べ物も、多数あります(吉野葛、三笠まんじゅうなど)。

○ミシュランガイドでは、最初の年(2011年)は25ヵ店を数え、2年目は22ヵ店に減ったとはいえ、大方の予想以上にたくさんの店が選ばれています。

○ミシュラン掲載を機に、近頃はグルメコンテストもたくさん行われています。e-1グランプリ(環境に配慮した料理コンテスト。今年は4月6日~7日。奈良県文化会館で開催する「暮らしと環境フェスティバル」の一環)など。

○県下では大和肉鶏、ヤマトポークなど、畜産物がおいしい。絶品なのが大和野菜で、大和野菜は「京野菜」のルーツです。奈良は魚もおいしい。京都市から日本海への距離を奈良市からの同じ距離で比べると、伊勢湾までいってしまいます。奈良は海にも近いのです。



○奈良のグルメスポットは路地裏にあることが多いので、チェックしてから行きましょう。

○飲食店は事前に情報を仕入れてから行きましょう(奈良県の人口あたりの飲食店数は、全国で最も少ない)。『あまから手帳 奈良うまい店100選』、『美味しい奈良』、「三ツ星グルメ」(県のHP)などを参考に。

○最後に、
・地元民が奈良のことをもっとよく知り、奈良に「愛情」と「誇り」を持とう。
・来訪者に、奈良を「巡る楽しみ」を知ってもらおう。
・「奈良のうまいもの」を食べてもらおう!
・そしてリピーター(奈良ファン)を増やそう。リピーターは最も有難い観光客だから(泊まってくれ、おカネを使ってくれ、友達を連れてきてくれる)。

と結ばれました。会員のお店の料理などを直接取材・撮影して作られたパワーポイント資料に基づき、30分でコンパクトに話された卓話は、宿泊や飲食、食品などの仕事に携わる会員のみならず、多くの会員が感心して聞いておられました。
拙い話の内容を、うまくコンパクトにまとめていただいた。最後の部分は、いつも申し上げていることである。県民は、もっと地元に愛情と誇りを持ってほしい。その前提として、地元のこと(歴史、史跡、行事、土産物、出来事など)にもっと関心を持ってほしい。周辺の見どころやお土産物を問われて、答えに詰まるようでは失格である。

これまでの奈良は「見る・知る・学ぶ」のつまらない「るるぶ」だった(JTBの「るるぶ」は、見る・食べる・遊ぶ)。これからは「巡る・食べる・喜ぶ(感動する)」の楽しい「るるぶ」にしなければならない。

特に奈良市は、これまで修学旅行客に頼りすぎてきた。少子化・旅行先の多様化で、奈良には目が向かなくなっている。これは構造的な変化なので、いくら自治体が修学旅行客誘致にシャカリキになってもムリな話で、それは旅館がどんどん廃業に追い込まれるのを見ても分かる。

これからは個人やカップル(男女に限らず、例えば老母と娘)、少人数のグループ客を誘致しなければならない。そのカギを握るのが「食」である。奈良は史跡や観光名所に十分恵まれている。そこに「食」の魅力を加えるのである。

1度来て気に入ってくれたお客は、2度、3度と繰り返し来てくれるし、口コミで奈良の良さをPRしてくれる。どれほど多くのリピーター(奈良ファン)を作れるか、が奈良観光振興のカギを握るのである。

今回の卓話で使ったPowe Point資料では、料理の写真が8枚出てくるが、これらはこの日に備えて新たに撮った(食べた)ものであり、すべて奈良ロータリークラブ会員企業のホテルや飲食店の料理である。ちなみにトップ画面の写真は、春日ホテルさんの「大和の昼膳」2,000円、最後の画面は日本料理おばなホテルサンルート奈良)さんの「季節の点心」(昼のお料理)2,900円である。どちらも、とても美味しくいただいた。

鹿鳴人さん、I支店長はじめ奈良ロータリークラブの皆さま、このような貴重な場を設けていただき、有難うございました!  
コメント (8)
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