今年も「ベーカリー・スイーツ・カフェ スズ屋」さん(橿原市大軽町161-1 TEL:0744-27-2246)で、クリスマスケーキの予約受付が始まった。今年のパンフレットを橿原市在住のT本さんからいただいたので、末尾に掲載しておく(お店のHPは、こちら)。私は去年、予約するつもりが、急な予定が入り断念したという苦い経験がある。今年はぜひ「甘い」経験をしたいものである。なおお店は奈良県内で最大の古墳(全国でも6番目)である「見瀬丸山古墳」の斜め前なので、古代史好きにはとても分かりやすい。
オーナーパティシエの上田好孝さん(66歳)は、昨年、厚生労働省の「現代の名工」に選ばれ、当ブログでも紹介した。そして今年は、なんと「黄綬褒章」を受けられた。産経新聞奈良版(11/2付)によると、
秋の褒賞 県内から8人
平成27年の「秋の褒章」(3日付発令)が発表され、県内からは8人が選ばれた。社会奉仕活動に貢献した人に贈られる「緑綬褒章」が2人、その道一筋に励んだ人の功績をたたえる「黄綬褒章」が2人、公共の利益に貢献した人を対象にした「藍綬褒章」が4人だった。荒井正吾知事による伝達式は4日、県庁で行われる。
上田好孝さん。写真は産経新聞から拝借
黄綬褒章「スズ屋」オーナー 上田好孝さん(66)=橿原市 旺盛な創作意欲 今もなお
「人生は出会いですね」。そう感慨深げに話し、受章の喜びをかみしめた。葛城市出身。18歳で「森永乳業」に入社した。パック牛乳の製造ラインなどで働いたが25歳のとき、妻智子さん(63)と出会ったことで人生が一変する。
3人姉妹の長女である智子さんの実家は、祖父の代から続く老舗菓子店。結婚相手には「跡継ぎ」が求められていた。迷いはあったが、「甘いもの好きで、物作りが得意」だったこともあり、「菓子作りに人生を賭けてみよう」と結婚後、退職。先代の友人の紹介で、奈良市と桜井市の菓子店で2年間、洋菓子やパン作りの手ほどきを受けた。そして昭和54年4月、スズ屋に入店。智子さんと両親との4人で切り盛りし、平成15年に先代が亡くなると「ベーカリー・スイーツ・カフェ スズ屋」に改め、オーナーとなった。
ケーキなどの上に飾る「マジパン」を初めて知ったのは、30代前半で出場した「西日本洋菓子コンテスト」。砂糖とアーモンドをペースト状に練って人形や動物をかたどった砂糖菓子だが、当時県内ではまだバタークリームでの装飾が一般的で、「衝撃を受けた」と振り返る。
コンテスト後、生まれつきの器用さを生かしてマジパンづくりの技術を磨いた。県洋菓子協会の青年部長として県内の若手パティシエらにも伝授。県全体の洋菓子づくりのレベル向上を図ってきた。
昨年11月には、長男嘉規さん(36)が橿原市に洋菓子店をオープン。「父親の背中を見て育ってくれた」とほほえむ。現在はケーキを焼く傍ら、製菓学校で講演するなど、後進の育成にも力を入れる。「これからは柿やメロン、ブドウなど、旬の素材を旬に味わってもらえるケーキをたくさん作りたい」。旺盛な創作意欲は今もなお、尽きることはない。
「マジパン」(marzipan)は、「マジで作ったパン」ではない。アーモンドと砂糖をローラーにかけてペースト状にし、これを自由自在に加工して人形や動物を作るのである。橿原市生まれのY川さん(奈良まほろばソムソリエ)が「学校給食のパンはスズ屋さんが作っていたので、とても美味しかった」と言っていて、正直、大変羨ましかった。ところである日、大淀町の道の駅「吉野路大淀iセンター」でスズ屋さんのパンを見つけ、早速買い求めた。これは旨い! これこそ「マジで丹精込めて作られたパン」だ。
さあ、まもなくクリスマス。ぜひ今年は、スズ屋さんのクリスマスケーキをお買い求めください!