散歩コースの一つに、異世界への道のような雰囲気を醸し出すコースがあり、昨日はそこを目指す。
日野岳の裾野には日野川や日野誕生院や日野氏墓所があり、町名は必ず日野○○町であり、つまり日野氏の荘園があった地。
その山手は、古くからの地元農家の畑や竹藪があった場所なのだろうけれど、宅地造成されて建売された住宅地が所々にある。
その一方で、選択から漏れた部分や宅造不適地が斑らに残り、畑も耕作されずに荒れていたりする。
竹藪も荒れ、果樹の枝ぶりは伸び放題なら、実もつけたまま腐っていたりもする。
そういう中を細い道があり、ちゃんと両側に矢印の付いた境界杭があるので、細くても私道ではなく公共の道らしいので散歩コースにする次第。
人と会うことは今までかなり通っていても1回しかなく、それも相手は迷い込んだ余所者という感じだったので、こちらも余所者ながら慣れた道を行く風にしてすれ違ったことがある。
昨日は早い時間だったので、分かれ道を奥の方へと進み、2、3回覗いたことのある古びた社の様子を確かめに行ってきた。
そこは、アニメや映画に出てきても良さそうな、というよりモデルやロケ地になっても良い雰囲気。
昔からの住人はそれなりに広い敷地の古い家のままが多いので、それと分かるけれど、継ぐ人がいても大変だろうな、というのは私の田舎のことを思わなくても、見て取れる。
それでも、社は雪の降らない地だし竹藪に囲まれて風雨に酷く晒されていないことの分かる格好で整っていた。
手前の建物は大日堂とあり天道大日如来の提灯が下がっており、あまり古びていない。
奥の建物には畑出地蔵尊御詠歌とあり『ありがたやいなばのやまの まつかげにひとをたすける はたでぢぞう』と書いてある。
この近所のイナバという地名の山にある畑で発見された地蔵尊を祀っているということなのだろうと思われる。
すると、日野イナバ町というような地名が、現在もあるのかも知れず、二つの社が小綺麗に保たれているということは、守る人も残っているという事だろう。
賽銭箱は設置されてなかったけれど、次に行くときには小銭を置いてきたい気分だ。