
先ずは、ほぼ無事に見つかり、様々な疑いも晴れて、めでたしめでたし。
我が家は新聞をとっていない。
テレビとインターネットと携帯電話アプリからニュースは断片的に見聞きする。
その程度のニュース・ソースだけれど、七歳児はヒグマに襲われ連れ去られたのかも知れないと、はじめの頃は思った。
捜す人たちもそう思ったに違いない。
そうして『お仕置き』というキーワードが警察からのリークで出てからは、狂言かも知れないと疑うような雰囲気が作られた。
これは報道するマスコミの姿勢が表れたからだ。
何の手がかりも無く、気配すら無さそうなのは何故かと思った時に、突飛なことだけれど、飢餓海峡という映画を思い出した。
七歳児の意思ではなく、ある偶然から子供を隠すということならあり得るかも知れない・・などと。
そうして、事故と何らかの事件性の最悪の結果をも思い描いてしまっていたら、無事に発見されたのだった。
私はニュースの又聞きをして『水はどうしてた?』と先ず聞いた。
無事だったとしか聞いてないとのことだったが、熱中症の脱水症状を経験したことのある私としては、水が先ずは一番の関心事。
この七歳児と同じ年頃の時、私は母親から『うちの子じゃないから帰ってくるな』だったか、『どこにでも行け』だったか、とにかく何かをやらかして、家を追い出されたことがある。
その状況でも泣くことはせずに、前の道路を少し向こうに行っては引き返し、家の様子を見ながらやり過ごして反対方向にしばらく行き、また戻るというようなことをやった記憶がある。
どのような収まりになったかは覚えていないし、母親がお仕置をした原因も覚えていない。
また同じ頃に、ある親戚宅から黙って抜け出し、別の2kmくらい離れた親戚宅に行ってしまったことがある。
生家からは50kmも離れた大きな町長岡でのことだったから、大人たちは慌てたらしいが、私にすればうろ覚えの道でも歩けば辿り着けるだろうという目的意識があった。
この七歳児の場合、5分ほどして両親が戻ったらどこにも居なかったということだから、反対側に駆け出したのかも知れない。
子供心に何かを目指したのかもしれない。
そうなると、うろうろと辺りをまるく捜したのでは見つかる訳がなかったということになる。
七歳児の父親は過不足のない立派な挨拶をしていた。
この七歳児の6日間水だけで過ごした断食経験は、身体にどういう影響を及ぼすのだろう。
それが後に研究発表されたり、公表されたりすることはないだろうけれど、何となく気になる。