
立派な構えの家には犬走りというものがある。
建物の縁を犬が走り回るほどの幅にコンクリートが打ってあったりする部分のこと。
我が家の建物周りの二辺は、隣と裏の敷地との間がちょうど犬走りくらいしか空いていない。
でも犬走りとしてのタタキになっていないから狭くて陽も当たらない地面に紫陽花や南天を植えている。
紫陽花の便りが届くようになったので、めったに行かない隙間を見てみた。
網フェンスしかないので隣の庭の一部のような、借景のような、相互補完のような、でも明らかにウチが得をしている狭い空間。
ウチの紫陽花が隣にせり出して咲いていた。
いい加減な剪定だからか、日陰だからか、色が付かずに緑色のまま咲き続けて茶色に朽ちることが多かったのに、今年は白くなったから、この後は青く染まるのかも。
背伸びして大輪を咲かせたのだから、しばらくはこのままにさせてもらおう。