昨晩、知性と感性という対概念によって建築を捉えるということについて書いてから、もう少し分かりやすく捉えることができないだろうか・・・と改めて考えていた。
技術と芸術という対概念も相似的だが抽象的で分かりにくい。もっと具体的に・・・。真夜中に思索的になるのも時には悪くない。 対を成す概念ではないが数学的と材料的という捉え方ができるかもしれない。ふと、そう思った。
数学的な建築と材料的な建築。他に知的な建築を捉える具体的な指標は無いだろうか・・・。
友人がブログに書いていた。東野圭吾の「容疑者Xの献身」と「白夜行」の読後感として・・・うすい・・・と。もちろん、東野ファンに気を使いながら。
うすい、薄い。
「薄さ」は具体的な指標になるかもしれない・・・ここでは物理的な指標としての薄さ、厚さであって、先のうすいとは勿論異なる。もっと具体的に、建築を構成する壁や床の薄さによって建築を捉えてみよう。 金沢21世紀美術館の間仕切壁は確か6mmの鋼板、外皮は全てガラス。富弘美術館、こちらも薄い! こちらは1辺が52mの正方形の建築だが、やはり着陸した宇宙船のような印象。金沢と同じだ。
このふたつの美術館の設計者、妹島和世さんとヨコミゾマコトさんの「師匠」の伊東豊雄さんの建築はどうだろう。せんだいメディアテークの最初のイメージスケッチは有名だが、そこには<スラブは極力うすく>と記されている。
また、昨年末東京銀座に完成した「MIKIMOTO Ginza2」に関して伊東さんは雑誌「新建築」で<壁厚はわずか20cmである>と書いている。
薄い床や壁を志向していることが分かる。 「薄さ」というゲージは案外有効かもしれない。