『石に言葉を教える』柳田邦男/新潮社
著者の柳田さんは、NHK社会部の記者だった方。航空機墜落事故などを報ずる番組で実に冷静に的確に事故について説明していたことを記憶している。
昭和60年代の初期に出版された『マッハの恐怖』新潮文庫、『死角 巨大事故の現場』新潮文庫などでも、綿密な取材と豊富な知識によって大きな事故の原因を緻密に追求していた。このところ終末期の医療などにも関心をお持ちのようで『「死の医学」への日記』新潮文庫(平成11年)などの著書がある。
『犠牲(サクリファイス)わが息子・脳死の11日』文藝春秋に詳しいが息子さんの死が大きな転機となったようだ。 『石に言葉を教える』 先日書店で平積みにされているのを見て迷うことなく購入した。あとがきで著者は書いている。
**パソコンやケータイを介するネット社会は、物事を情報化し現実感を希薄にする性質がある上に、人々の心を自己中心的にする傾向がある。 **現代人の感覚麻痺が深刻化する中で、「言葉と心」「言葉といのち」をどう考えたらよいのか。**
この評論的なエッセイ集は「涙本」ではないけれど、つぎの話に涙がポロポロ・・・。 ある日本人夫婦がアメリカの病院で次男を出産する。不幸なことに染色体検査の結果、ダウン症候群とわかり、ふたりは大変なショックを受ける。担当医師は医学的な診断結果の説明に続けてこう述べる。「あなた方は障害をもった子どもを立派に育てられる資格と力のあることを神様が知っておられて、お選びになったご夫婦です。どうぞ愛情深く育ててあげてください」と。 加齢と共にますます涙もろくなってしまったようだ。
著者の柳田さんは、NHK社会部の記者だった方。航空機墜落事故などを報ずる番組で実に冷静に的確に事故について説明していたことを記憶している。
昭和60年代の初期に出版された『マッハの恐怖』新潮文庫、『死角 巨大事故の現場』新潮文庫などでも、綿密な取材と豊富な知識によって大きな事故の原因を緻密に追求していた。このところ終末期の医療などにも関心をお持ちのようで『「死の医学」への日記』新潮文庫(平成11年)などの著書がある。
『犠牲(サクリファイス)わが息子・脳死の11日』文藝春秋に詳しいが息子さんの死が大きな転機となったようだ。 『石に言葉を教える』 先日書店で平積みにされているのを見て迷うことなく購入した。あとがきで著者は書いている。
**パソコンやケータイを介するネット社会は、物事を情報化し現実感を希薄にする性質がある上に、人々の心を自己中心的にする傾向がある。 **現代人の感覚麻痺が深刻化する中で、「言葉と心」「言葉といのち」をどう考えたらよいのか。**
この評論的なエッセイ集は「涙本」ではないけれど、つぎの話に涙がポロポロ・・・。 ある日本人夫婦がアメリカの病院で次男を出産する。不幸なことに染色体検査の結果、ダウン症候群とわかり、ふたりは大変なショックを受ける。担当医師は医学的な診断結果の説明に続けてこう述べる。「あなた方は障害をもった子どもを立派に育てられる資格と力のあることを神様が知っておられて、お選びになったご夫婦です。どうぞ愛情深く育ててあげてください」と。 加齢と共にますます涙もろくなってしまったようだ。