透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

すっぴんの屋根

2006-05-09 | A あれこれ

 松本地方の地域紙「市民タイムス」に先日 木曽地方には赤い屋根の民家が多いという記事が載っていた。 記者が木曽町の教育委員会や板金屋さん、塗料店などに取材してその理由を探って記事にしている。

記事によるとそれまでの板葺き屋根がトタン葺きの屋根に替わリ始めたのは昭和10年頃からのことらしい。トタンの防錆のために塗装するのだが、赤色の塗料が安価で長持ちしたというのが、どうやら屋根が赤い理由のようだ。

現在では塗料の性能が向上して色による寿命の差もなくなったそうで、赤以外の屋根も増えてきているという。 ところで、板葺き屋根は、こけら板葺き屋根というのが建築的にはより正確。地元産のサワラの木などを割って、薄い板状にしたものを重ね葺きしたもの。

藤村の『夜明け前』の時代は木曽路はすべてこけら板葺きの屋根であった。

今日、5月9日はメイクの日だそうだ。そう、5月は英語でMAYだから。赤いメイクをした屋根の街並みもそれなりに綺麗だが、夜明け前のすっぴんの屋根の連なりも周囲の自然環境によく馴染んで綺麗だったに違いない。


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