薄紫と若葉色のタペストリー 060528
■ このブログには建築か本に関することについて書くと決めています。この藤をどちらかに結び付けないと・・・。
『木』幸田文/新潮文庫 をもう一度取り上げましょう。(0501既出)この本は著者と木々との交流を綴ったエッセイ集ですが「藤」も出てきます。
大正末期か昭和初期の頃のことでしょう。春にお寺の境内に植木市がたったそうで、父親の露伴が文に娘(青木玉さんのことでしょう)の好む木でも花でも買ってやれ、とガマ口を渡したことがあったそうです。娘さんが欲しがったのは、藤の鉢植えだったそうですが、とても高価だったために代りに山椒の木を買い与えたとのことでした。
そのことを知った父親に**おまえは親のいいつけも、子のせっかくの選択も無にして、平気でいる。なんと浅はかな心か、しかも、藤がたかいのバカ値のというが、いったい何を物差しにして、価値をきめているのか、多少値の張る買物であったにせよ、その藤を子の心の養いにしてやろうと、なぜ思わないのか(中略)金銭を先に云々して、子の心の栄養を考えない処置には、あきれてものもいえない**と真顔でおこられたと書いています。
やっぱり、幸田露伴は厳しかったんですね~。藤の花を眺めながら、ふとこのエッセイを思い出しました。