赤と黒 スタンダールではありません。今回は文庫本の背表紙の色について。
私がよく購入する文庫は新潮文庫、次いで文春文庫です。その他の文庫ももちろん読みますが、購入する冊数はかなり少なくなると思います。以前新潮社に電話をして文庫の背表紙の色をどのように決めているのか問い合わせたことがあります。作家の希望で決めているとのことですが、書店の棚に並べて隣の作家とかぶらないように配慮しているとのことでした。
松本清張、新潮文庫は赤、文春文庫は黒です。 松本清張は好んでタイトルに黒を使いました。清張のイメージカラーはやはり文春文庫の「黒」でしょう。
藤沢周平、新潮文庫は赤みがかった茶色、文春文庫はピンクです。藤沢周平の作品のイメージとして、ピンクは違和感があります。この作家の色はやはり新潮文庫でしょう。
吉村昭もよく読みます。新潮文庫は黒ですが、文春文庫の色、この色をどう表現したらいいんでしょうか、手元にある日本の伝統色のカラーチャートによると柳茶あたりが近いと思います。中公文庫は青ですが、この色はあまり好きではないので手元には一冊もありません。この作家のイメージカラーは濃いグレーかな、と私は思います。
司馬遼太郎の文春文庫の色は黄色ですが、これは菜の花から採った色かもしれませんね。新潮文庫がうすい緑、どちらもこの作家のイメージではないような気がします。もっと濃い色のほうが相応しいように思いますね。
ところで文庫ではありませんが講談社現代新書の背表紙、これはいけません。以前の薄い黄色の背表紙のときにはよく購入しましたが、今のデザインになってからのものは、たったの一冊しか手元にありません。表紙のデザインは好きで、平積みの状態はいいのですが、書棚に並んだあの状態、色がバラバラで文字も読みにくくてとても手に取る気になりません。
「本は見た目が5割」いや6割くらいかもしれません。 新潮文庫で好きな色の背表紙の作家は青木玉さん、背表紙の色だけではなく中身の随筆も好きです。