なんだか、硬い話題になりそうですが・・・。
2004年の12月に「景観法」が施行されました。少しコピーします。
(目的)第一条 この法律は、我が国の都市、農山漁村等における良好な景観の形成を促進するため、景観計画の策定その他の施策を総合的に講ずることにより、美しく風格のある国土の形成、潤いのある豊かな生活環境の創造及び個性的で活力ある地域社会の実現を図り、もって国民生活の向上並びに国民経済及び地域社会の健全な発展に寄与することを目的とする。ということだそうです。
第二条(基本理念)の第五項は次の通りです。良好な景観の形成は、現にある良好な景観を保全することのみならず、新たに良好な景観を創出することを含むものであることを旨として、行われなければならない。
白川郷や五箇山の合掌造りの民家の集落は有名ですが、この集落は「現にある良好な景観を保全している」ということになるでしょう。もともと日本の民家はそれほど耐久性のある材料で造られてはいません。
合掌造りの民家の屋根は茅で葺いてありますが30年くらいで葺き替えなければなりません。「結」という地域住民の互助組織によって、葺き替えがなされています。世界遺産に登録されているこの美しい集落の景観を支えているのは、この「結」という地域社会のシステムですが、過疎化、高齢化に伴ってその維持が難しくなっていると聞きます。
昔は全国に、それぞれの地方に固有の美しい集落がありましたが、屋根などを更新することが前提の民家はそれを支える、先のシステムを失って次第に姿を消していきました。
先日書いた木曽地方のこけら板葺きの屋根も職人の減少や経済的な理由で次第に施工が容易で、安価なトタン葺きの屋根に変わってしまったのでしょう。 他の多くの職種の職人も減少し、建築文化を支える技術が消えていってしまう(消えてしまった)・・・。悲しいかな、日本の現状です。
私も学生の頃地方に民家を訪ねて出かけたことが何回かありますが、その頃が民家がきちんと残っていた最後の時代だったのかも知れません。 これからは景観法の基本理念の「新たに良好な景観を創出すること」を実践していかなくてはならないのでしょう。
(定義等)第七条 この法律において「景観行政団体」とは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下この項において「指定都市」という。)の区域にあっては指定都市、同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下この項において「中核市」という。)の区域にあっては中核市、その他の区域にあっては都道府県をいう。ただし、指定都市及び中核市以外の市町村であって、都道府県に代わって第二章第一節から第四節まで、第四章及び第五章の規定に基づく事務を処理することにつきあらかじめその長が都道府県知事と協議し、その同意を得た市町村の区域にあっては、当該市町村をいう。
なんと分かりにくいことでしょうね、日本の法文は分かりにくく書かなければならないっていう規定がどこかにあるのかも知れません。 で、この第一項のただし書きの規定によって景観行政団体となっている市町村は全国で100以上あるそうですが、長野県では小布施町だけです。他県では日光市、津和野市、萩市、湯布院町などがなっています。
先日の新聞に という記事がありました。記事によると、小布施でさえも近年プレハブ住宅が増えているとのことで、小布施の街並みに合ったプレハブ住宅の開発を依頼し、それに応じたメーカーのモデル住宅の展示場が今秋できるそうです。
宮本忠長さんの主導で実現したそうですが、これからの美しいまちづくりの現実的な方法として、大いに注目すべきだと思います。 それぞれの市町村が、独自のデザイン・コード(デザインの基準、規範)を示すことができるかどうか、そのことが課題になりそうですが。
法文の引用もしたので今回は意に反して随分長くなっていしまいました。 この際ついでに
(住民の責務)第六条 住民は、基本理念にのっとり、良好な景観の形成に関する理解を深め、良好な景観の形成に積極的な役割を果たすよう努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
のだそうです。