透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「雪国」

2007-01-04 | A 読書日記



正月、午後からビール。 アルコールなブログ。

「雪国」を読みたい、ふとそう思った。

有名な書き出しで始まるこの小説は **踏みこたえて目を上げたとたん、さあと音を立てて天の河が島村のなかへ流れ落ちるようであった。**  と終る。

この小説を初めて読んだのは高校一年生のころ、当時の文庫本は文字が細かくて読みにくい。書店で新たに買い求めた。再読してみると、この小説、なんだかエッチ。
 アルコールなブログだからね。

**「こいつが一番よく君を覚えていたよ。」と、人差指だけ伸した左手の握り拳を、いきなり女の目の前に突きつけた。**

中高生がこんなくだりを読んで??だからといって、国語の先生が若い女性だったら解説なんかお願いしたらダメ。大人になって再読して気がつけばいいんだよ、川端康成ってスケベなオッサンだったんだって。

**駒子はそっと掌を胸へやって、「片方が大きくなったの。」「馬鹿、その人の癖だね、一方ばかり」** 

**細く高い鼻が少し寂しいけれども、その下に小さくつぼんだ唇はまことに美しい蛭(ひる)の輪のように伸び縮みがなめらかで、(後略)** 

あの鳥のようにするどい目で女性を実に詳細に観察していたんだな。

**人物は透明のはかなさで、風景は夕闇のおぼろげな流れで、その二つが溶け合いながらこの世ならぬ象徴の世界を描いていた。**

島村が雪国に向かう汽車のなかで窓に写る葉子を夕景色に重ねて観察するシーンは印象的。

**紅葉の銹色(さびいろ)が日毎に暗くなっていった遠い山は、初雪であざやかに生きかえった。**

**裸の天の河は夜の大地を素肌で巻こうとして、直ぐそこに降りて来ている。**

さすが、単なるスケベなオッサンではないよな、この感性、この描写! この際『眠れる美女』も再読してみるか。

ノーベル賞作家の作品、アルコールしながら読むなんてフキンシン?


007

2007-01-04 | E 週末には映画を観よう

今年は2007年。2007、2007、・・・  そうか、007!

007 カジノ・ロワイヤル」が公開中だ。「硫黄島からの手紙」だっていい映画なんだろうけれど、今年最初に観る映画は「007」だよ、なんてったって。久しぶりの007、今回が21作目だそうだ。最初の作品の公開は40年以上も前、ということだから、このシリーズも随分長い。

ストーリーやボンド・ガールの顔は忘れたけれど、タイトルだけは覚えているなぁ。「ドクターノオ」「ロシアより愛をこめて」「007は二度死ぬ」「死ぬのは奴らだ」「ムーンレイカー」。特に前半の作品のタイトルは覚えている。「女王陛下の007」っていうタイトルも思い出した。ジェームズ・ボンドといえばショーンコネリー、ロジャームーア。中年ボンド。

今回、ボンドは随分若返ってダニエル・クレイグ。なんでも「ミュンヘン」に出ていたらしいけれど観ていないから、知らない。若い頃のスティーブ・マックイーンに似ているって、あるブログで読んだけれど、なるほど確かにそんな雰囲気だった。

「モンテネグロ」ってどこにあったっけ?? 脳内検索してもヒットしなかった。名前だけは知っていたけれど場所が分からない・・・。帰宅してから世界地図で調べてみた。「ここか」、地名をマークしてある。調べたのはオリンピックの時かな。地図に国境線の表示がない。どうやらごく最近できた国らしい。

映画のストーリー?、ンなもんトレースしても意味無い。鉄骨の建て方をしている工事現場でのシンジラレナーイ、アクションシーンから始まる。いきなりクライマックス。カジノ・ロワイヤルでとんでもない大金をかけたポーカー、映画だから最後には勝つことが分かっていても、はらはらする賭。

ラストにはベネチアが登場。そうあの水の都。ビルを水没させるなんて考えたね、いいアイデア。あれれ、ボンド・ガールが死んじゃうのか?

これは大人の贅沢な娯楽映画。正月映画はやはりこうでなくっちゃね。