『「脳」整理法』茂木健一郎/ちくま新書
■ この本に「繰り返しの美学」にも関わると思われる記述があり興味深かった。
規則性は歓びの感情を引き起こすという見出しの一文。**規則性や秩序によって呼び起こされる感情には、独特のものがあります。(中略)規則性に歓びを感じるという人間の嗜好が確かにあるわけです。**
また脳はランダムな出来事に無関心という見出しの一文にはこんな記述がある。**ランダムだとわかってしまっている現象について、脳は、基本的に興味を失って無関心になります。(中略)ランダムな事象でもそこに何らかの規則性や傾向を読み取ろうとしてしまうのが、私たちの脳のいわば「くせ」なのです。**
建築構成要素の規則的な繰り返しを美しいと感じるということは、この本によると脳の本質的な働きによるようだ。
脳はもたらされる情報を整理して、秩序づけて収納する臓器ということだ。それ故、既に秩序づけられた情報を脳は歓迎するのではあるまいか。その歓迎の「しるし」として秩序づけられたものを、私たちをして美しいと感じさせるのではないのか。だから繰り返しの美学が成立するのではないのか。
この本を読んでいて、そんな仮説が浮かんだ。この仮説、案外いけるかもしれない。