透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「妖精が舞い下りる夜」

2007-01-09 | A 読書日記



小川洋子さんの作品では、第一回本屋大賞を受賞し映画にもなった『博士の愛した数式』がいちばん読まれていると思う。

手元の『薬指の標本』新潮文庫についている帯にはフランスで映画化決定!と記されている。

小川さんの小説の特徴のひとつは海外の作品のような雰囲気が漂っているところだろう(その意味では「博士の愛した数式」は本流から外れている)。だから『薬指の標本』がフランスで映画化、ということに違和感は感じない。

小川さんの作品で文庫化されたものはほとんど読んでいるが、先日書店で『妖精が舞い下りる夜』角川文庫を見つけた。このエッセイは未読だった。

小川さんが阪神ファンということは以前から知っていたが(「博士の愛した数式」にも阪神のことや江夏の背番号のことが出てくる)、このエッセイにも家族そろって阪神ファン、ということが出てくる。

**巨人戦。テレビをつけたら、いきなり六対〇。すぐにスイッチを切る**  **わたしの育った家では、団欒といえば、テレビのナイター観戦だったし、朝はラジオの朝日放送で、中村鋭一さんの『六甲おろし』を聞きながらごはんを食べたし、(後略)** 

阪神ファンにおすすめの一冊だ。

書評も何篇か載っている。金井美恵子の『愛の生活』新潮文庫 は小川さんが小説を書きたいと願うようになった作品だという。この小説は未読、タイトルすら知らなかった、書店で探してみよう。

ところで映画『薬指の標本』は既に完成し、日本でも公開されたらしい。出来れば観たいが地方でも公開されるのだろうか。