■ 村上春樹の世界を可視化しようという試み。
村上春樹の世界とはどういうものだろう・・・。それが単一の「層」ではなく「二層」、「多層」から成るものだ、ということは感覚的に理解できる。
その具体的なイメージを思い描こうとするが、なかなか浮かんでこない・・・。浮かんでくるのは抽象的な、曖昧模糊としたイメージだ。
『ねじまき鳥クロニクル』に出てくる「井戸」は一体何を意味しているんだろう・・・。何の象徴なんだろう・・・。
途中まで読み進んだところでチラッとこの「井戸」の話を春樹ファンの友人にしてみたのだが、「重要なポイントだから」(だったかな)とはぐらかされてしまった。
この作家の描く多層な世界。「現実」と「心の深層」、「こちら側」と「あちら側」、「精神・意識」と「肉体」、「現実」と「想像・記憶」、「実在」と「記号」・・・。
とすると「井戸」とはこれらの層を繋ぐトンネルなのか・・・。
この井戸のイメージを可視化するとあるいはこの本の表紙の絵のようなものなのかもしれない。深夜 自室にこもっていてふとそう思った。
別に「臨死体験」のことではない。あくまでもこの絵のイメージだ。異界、異層に通じているトンネル。
多層な世界とそれらを繋ぐトンネル。「?」「・・・・・」「!」
深夜に考え事をすると突拍子もないことが浮かんでくる。
村上春樹の世界を可視化すると「せんだいメディアテークのコンセプトモデル」になる・・・。こんな珍説を唱えるのは私だけだろう。
この説に説得力をもたせるには時間が必要だ。じっくり時間をかければ「なるほど!」という説にすることができるかもしれない。
あるいは全く異なるイメージが立ち上がってくるかもしれない・・・。例えば、ひとつの世界がいろんな世界を同時に内包しているようなイメージ。そう、この「金沢21世紀美術館」のような。
村上春樹の世界を可視化すると「金沢21世紀美術館のプランのダイアグラム」になる・・・。
いくつかの物語をひとつの物語のなかにばらまいて(もちろん意図的にではあるが)その再構築を読者に委ねてしまう・・・。
ビジュアライズしたいと考えてしまうのは僕の脳みその「くせ」なのだろう。