透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

村上春樹の世界を可視化する

2007-08-14 | A あれこれ

 村上春樹の世界を可視化しようという試み。

村上春樹の世界とはどういうものだろう・・・。それが単一の「層」ではなく「二層」、「多層」から成るものだ、ということは感覚的に理解できる。

その具体的なイメージを思い描こうとするが、なかなか浮かんでこない・・・。浮かんでくるのは抽象的な、曖昧模糊としたイメージだ。

『ねじまき鳥クロニクル』に出てくる「井戸」は一体何を意味しているんだろう・・・。何の象徴なんだろう・・・。

途中まで読み進んだところでチラッとこの「井戸」の話を春樹ファンの友人にしてみたのだが、「重要なポイントだから」(だったかな)とはぐらかされてしまった。

この作家の描く多層な世界。「現実」と「心の深層」、「こちら側」と「あちら側」、「精神・意識」と「肉体」、「現実」と「想像・記憶」、「実在」と「記号」・・・。

とすると「井戸」とはこれらの層を繋ぐトンネルなのか・・・。

この井戸のイメージを可視化するとあるいはこの本の表紙の絵のようなものなのかもしれない。深夜 自室にこもっていてふとそう思った。

別に「臨死体験」のことではない。あくまでもこの絵のイメージだ。異界、異層に通じているトンネル。



多層な世界とそれらを繋ぐトンネル。「?」「・・・・・」「」  

深夜に考え事をすると突拍子もないことが浮かんでくる。

村上春樹の世界を可視化すると「せんだいメディアテークのコンセプトモデル」になる・・・。こんな珍説を唱えるのは私だけだろう。

この説に説得力をもたせるには時間が必要だ。じっくり時間をかければ「なるほど!」という説にすることができるかもしれない。

あるいは全く異なるイメージが立ち上がってくるかもしれない・・・。例えば、ひとつの世界がいろんな世界を同時に内包しているようなイメージ。そう、この「金沢21世紀美術館」のような。

村上春樹の世界を可視化すると「金沢21世紀美術館のプランのダイアグラム」になる・・・。



いくつかの物語をひとつの物語のなかにばらまいて(もちろん意図的にではあるが)その再構築を読者に委ねてしまう・・・。

ビジュアライズしたいと考えてしまうのは僕の脳みその「くせ」なのだろう。


 


横須賀美術館に行こう

2007-08-14 | A あれこれ

 今回は・・・山本理顕さん。

この建築家の作品といえば古くは「岡山の家」そして「保田窪団地」(熊本県の県営住宅)あたりが浮かぶ。どちらも山本さんの家族観をストレートに建築化した作品だが、後者は当時大分話題になった。建築関係者が賞賛する一方、そこに住む人たちからは使いにくさを指摘する声があがった。マスコミにもよくとり上げられた、と記憶している。

 

この団地については上野千鶴子さんがこの本でとり上げて詳細に論じている。

**上野千鶴子が、建築を社会学する。**と帯にあるが、まさにその通りの内容で、以前興味深く読んだ。

さて、山本さんの近作といえば「埼玉県立大学」や「はこだて未来大学」あたりか。中国でも集合住宅の仕事をいくつか手がけているようだが、その内容はほとんど何も知らない。

この4月に最新作、「横須賀美術館」がオープンした。既に建築関係の雑誌に紹介されていているが、「建築技術」8月号にも詳しく紹介されている(雑誌の名前が示す通り、技術的な内容をかなり詳しくとり上げる唯一の雑誌)。

この美術館の建築的な特徴、それはガラスと鉄ふたつの層によって外壁(屋根も)を構成しているということ。雑誌には「ガラスと鉄のダブルスキン」と題する文章が掲載されている。

美術館を臨海部の厳しい自然から守りつつその自然と一体化させる。

この相反する条件をクリアするために採られたアイデア(安藤さんもコンクリートの外壁保護のためにガラスで覆うというアイデアを既に「兵庫県立美術館」などで採用しているから、特に新しいものではない)がこのダブルスキン。

雑誌には断面詳細図も掲載されているが、それによるとかなり複雑な空間構成のように見える。

直接体験してみたい空間。交通の便があまりよくなさそうだから、ル・コルビュジエ展とセットで日帰りはきついか・・・。
 


 


好きな村上春樹本

2007-08-14 | A 読書日記

 

 
 好きな本を3冊に絞り込むことができなかったので4冊挙げます。順位はつけていません。

『風の歌を聴け』
『1973年のピンボール』
『羊をめぐる冒険』
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
『ノルウェイの森』
『ダンス・ダンス・ダンス』
『国境の南、太陽の西』
『ねじまき鳥クロニクル』
『スプートニクの恋人』
『海辺のカフカ』
『アフターダーク』

最初の作品に全てが出ているとよく聞きます。長篇『風の歌を聴け』と短篇集『中国行きのスロウ・ボート』がそれぞれ最初の作品。再読するならこの2冊ですね。