■ 『自治体格差が国を滅ぼす』田村秀/集英社新書
年末年始の休みに読もうと購入した4冊のうちの1冊、年末に読了。集英社新書は九つにジャンル分けされているが、この本はBの社会に分類されている。因みにAは政治・経済、Cは哲学・思想、Dが歴史・地理、Eが教育・心理といった具合。Bは全く疎いジャンル(疎いのはBに限らないが)だがタイトルが気になって敢えて読んでみた。
まず第1章で拡大を続けている地域間格差の実態が示される。第2章から第5章までは勝ち組自治体と負け組自治体の紹介。勝ち組の自治体としてまず紹介されるのが浦安市。負け組は、そうあの夕張市。それぞれいくつかの自治体が取り上げられているが残念ながら各自治体の実態に深く迫っているわけではなく表面的な紹介に留まっている。
国は各自治体を構成要素とするシステムと捉えることも可能だから、自治体の破綻が国の存亡に影響を及ぼすということは理解できる。そのことを実証的に論じているだろうと期待して読んだが、そのような私の期待に適う内容ではなかった。
最終章(第6章)の最終節で、自治体が生き残るための方策が示されているが総論が並んでいるだけだった(としか理解できなかった)。
年末のアルコール漬けの頭で読んだ私が重要な指摘を読み落としているのかもしれないが、少し物足りなさを感じた。