透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

丹下さんと磯崎さん

2008-01-29 | A あれこれ

 ちゃんと作品を知っていれば数倍楽しめそう、トランプの贈り主にメールでこう指摘された(無断引用ごめん)。イラストをよく観察して、きちんと書くようにということなのだろう。

丹下健三さんの帽子は先日書いたように「東京カテドラル」。HPシェルの美しいフォルム。上空から俯瞰すれば十字架に見える。教会が立体的な十字架なのだ。

安藤忠雄さんの「光の教会」にも十字架がデザインされているが、壁に十字架の開口を設けたもの。ふたりは発想が全く違う。



丹下さんの着ている服の柄は友人も指摘していたように都庁舎の外壁のパターン。ボタン?は代表作の代々木体育館、やり直しとなったハンドボールの北京オリンピックアジア予選の会場。ベストのUは何だろう・・・。そうだ! 広島の慰霊碑。

右側の磯崎新さん、目と鼻がよく似ている。帽子は「西日本総合展示場」。手に持っているのは、水戸芸術館のシンボルタワー。洋服の白い□(四角)は多分これ(下の写真)。そう北九州市立美術館の外壁の白い□。



シャンプーハットのような襟は何だろう。これほどきついウェーブが磯崎さんの作品にあったかな。バルセロナのオリンピック施設のウェーブとも違う・・・。

Sさん、トランプネタのブログ、このくらいで合格にして下さ~い。


見たことない東京

2008-01-29 | A あれこれ



 週末東京 その8

「週末東京」 なんだかつまらないタイトルでブログを書いてしまった。反省。 いしだあゆみの「ブルーライトヨコハマ」や黒沢明とロス・プリモスの「ラブユー東京」(古い!)という歌のタイトルに倣ってブログのタイトルを替えて再度アップしておく。

今回は東京国立博物館(平成館)@上野で開催中のこの特別展。

見たことありますか? 道長自筆の日記。奇を衒うでもなく平凡でもなく上手いコピーだ。

近衛家の所蔵品の展覧会。宮廷貴族が筆先に託した書の美。私の日常からははるか彼方の優雅な世界。この国には千年も前からこんなに洗練されたみやびがあったんだ・・・。

感想を書こうにも、無縁な世界のことゆえ書きようもなく・・・。





中年オジサンには分からないゾ東京

2008-01-29 | A あれこれ

 週末東京 その7
今夜はです!!

アートな週末。東京都写真美術館で開催中の3つの展覧会を観ました。

①「文学の触覚」
② スティル|アライブ
③ 土田ヒロミのニッポン

先ず地下1階で開催中の「文学の触覚」

この展覧会はブックマークしてある川上弘美 関連サイト(別に川上弘美が好きというわけではありません、あくまでも作品が好きということです)で知りました。

パンフレットには**現代に活躍する文学作家+メディアアーティストのコラボレーションとあり、本来はむ人のイマジネーションにゆだねられる文学作品の世界を、多様なかたちで視覚化します。**とあります。期待して出かけたのですが・・・。

現代アートはよく分かりませんが、とりわけ映像による表現は中年おじさんの理解を拒絶する存在です。文学から立ち上がる視覚的なイメージを映像化するなどという試みをまともに考えた私バカよね、でした。

紙ふぶきのように舞う文章。

よく分からなかったけれど谷崎の「陰翳礼讃」の文章と多分同調している映像。

「七つの質問」という作品、川上弘美の「あなたの好きな色は何色ですか?」といった(正確に覚えてはいませんが、この類の質問)と磁性を帯びた液体の造形とが一体どういう関係なのかワカンナ~イでした。

質問に液体がきちんと応答するくらいのことをプレゼンしてもらわないと・・・、そう映画「惑星ソラリス」の海のように。

次、
スティル|アライブ 

屋代敏博という作家の「回転回LOVE」、じゃなかった「回転回LIVE」というプロジェクトが面白かったです。

スローシャッターで動いているものを写すとボケて存在感が希薄になります。学校の教室や卒業式の会場などで生徒達に回転してもらってそれをスローシャッターで写真に収めると、「チビクロさんぼ(って使ってよかった?)
な世界」が写るというワケ。意味不明だと思いますから、パンフレットを写真に撮ってアップします。


学校の生徒達のパフォーマンスを撮るこのプロジェクト、表現のオリジナリティを評価していいでしょう。



ラスト、土田ヒロミのニッポン 

日本人が群れている。写っている人たちがお互いに全く無関係で極めて離散的、なんとも不思議な光景。写真という表現手段の可能性を感じました、とさ。


 


キャンティレバー東京

2008-01-29 | A あれこれ


 週末東京 その6

今回の週末東京、もうひとつの目的はこの「静岡新聞・静岡放送 東京支社」@新橋の観察でした。 

設計者は丹下健三さん(左)。但しこの独創的な建築のアイデアは磯崎新さん(右)が提案した空中都市に拠るということはよく知られています。下の2枚の写真を見比べるとそのことが分かると思います。

空中都市を構成する最小単位がこの「静岡新聞・静岡放送」、これをいくつも繋いでいくことで空中都市を形成するという構想。

既に40年も経っているのに凛とした姿は変わりません。存在感が際立っています。シリンダーから持ち出された4つの「箱」、下の箱は向かいの建物を写して青くなっています。

意匠と構造が一体となった建築、これも名作だと私は思っています。

「代々木体育館」も「東京カテドラル聖マリア大聖堂(丹下さんが被っている帽子)」もそうですが、初期の丹下さんの作品の造形の特徴は見事なまでの「構造と意匠との一体化」にあると私は思っています。

因みに磯崎さんが被っているのは「西日本総合展示場」ですね。





■ 磯崎さんの空中都市計画(1960、61)

何に見えますか東京

2008-01-29 | A あれこれ



Q この門扉、何に見えますか?

 週末東京 その5

東京駅の丸の内北口前、「丸の内オアゾ」の書店丸善は私が東京する際に必ず立ち寄るスポットです。ゆったりとしたスペースで静かに本を探すことができます。インテリアも「優」。4階のカフェでの読書は「幸」。

この書店で『銭湯からガウディまで 一眼レフカメラの建築観察日記』下村純一/クレオという本を見つけました。カバーデザインにはちょっと軽い中身か?と思わせるような雰囲気が漂っていますが、実際はいたって「まとも」。

建築の魅力をキッチリ伝える写真、文章もまた真面目。藤森さんのような柔らかな表現で綴ってはいませんが、こんな文章が書けたらいいなと思います。

この本にも取り上げられているのが、有名な鉄製の門扉。有名なと書いて、設計者がギマールだということは知っていますが、この建物の名前は・・・?、カンニングして、カステル・べランジェ 19世紀末の作品、そうアール・ヌーボー。

A 左を向いた女性の顔

「ふたつの小さな点が目で、門扉の左側は顔の輪郭、右側には髪と首筋を表現している」と説明されるとなるほど確かにそう見えてくるから不思議です。

この門扉はデザインを取り上げた本にはよく紹介されていますが、このような指摘は初めて読みました。 この建物のオーナーのマダム・フルニエではないかと著者は推察しています。

このように著者は建築をじっくり観察してデザインの背後にあるものをこの門扉の例のように読み取っています。

なかなかいい本です。が、製本がよくなくて既に私の本はばらばらになってしまいました。

ところで、先の門扉の写真を美大出身の友人に見せたところ直ちに「女性の顔」に見えると答えました。感性が鋭いのでしょう・・・。

今は私も女性の顔にしか見えません。そのような「先入観」を持ってしまいましたから。


ロートレック東京 

2008-01-29 | A あれこれ
■ 週末東京 その4

「ロートレック展」が3月9日までの会期で始まった(サントリー美術館)。ロートレックといえばシンプルな構成のポスター。

ロートレックが描く踊り子を始めとする人物はどうも表情が暗い。暗くてどこか寂しげな表情をしている。それは私がそのように彼の絵を観ようとしているからなのかも知れない・・・。

会場にはモデルになった踊り子達の写真も何点か展示されていた。写真とロートレックの絵を比べてみるとふっくらとした顔が絵ではほっそりとした顔に描かれている。

展示作品には小さく描かれた顔のデッサンもあった。上手い!! びっくり!

ロートレックに関する知識は全くなかった。会場で手にしたパンフレットによると、彼は南仏の貴族の家系に生まれたということだが、少年期に骨折がきっかけで脚の成長が止まってしまったという。「濃い血」が原因ではないかと友人から聞いた。

身体的なハンディが彼の心に少なからぬ影を落としたに違いない、と私は勝手に決め込んでしまった。絵の鑑賞には「解釈」という側面があると思うがその比重が案外大きいのかも知れない。

ダンスホールや娼館に通いつめてそこの人々を彼独自の視点で捕らえた作品に宿る「影」、それはこの画家の心象の投影、あるいは鑑賞者としての私の心象の投影に違いない。



 chat_noirさん、庭園美術館で始まった興味深い展覧会の情報をいただきましたが、ロートレック展でタイムアップ、行くことができませんでした。残念です。情報提供のお礼に「CHAT NOIR」を載せます。