東寺の五重塔はまだまだ上方に繰り返している?
上方への繰り返し、敢えて相輪の部分をカットしてしまうと何層の繰り返しなのか分からないから繰り返し感が増す(画面をタイトルが隠れるまで移動してみて下さい)。下の写真と比較するとよく分かる。上の写真の場合、脳が勝手にまだまだ上方に向かって屋根が繰り返しているとイメージしてしまうからだろう。もちろん既知の情報として5層だということがインプットされているからそれ程でもないと思うが。五重塔を知らない小さな子供で試して見たいが、周りにはもう小さな子供はいない・・・。
下の写真の場合には屋根の上の相輪まで写っているからそのようなことは起こらない。塔の完結を脳が一瞬にして認知してしまうからだろう。
脳はこのように得られた情報を都合よく補ってしまうものらしい。事実を常に正しく認知しているとは限らない。2枚の写真を比較してみるとそのことが確認できる(なんちゃってネ)。
ところで観光地などに出掛けると、「あ、ここガイドブックに載ってた!」と紹介されているスポットで記念写真(そこを訪れたという証拠写真?)を撮ってお終いというケースが実は多いのではないか。
写真を撮ったことに満足してしまって自分の目で観察するということをしないのだ。今回の「京都日帰り行」がまさにその通りだった。時間に追われてじっくり観察することができなかった。反省。「繰り返しの美学を巡る」とテーマを決めて出かけたのは正解だったとは思うが。
別のテーマをもって出かければ全く違うフォトログになるだろう・・・。
下の写真を入れ替えた。昨日アップした写真では何を撮りたかったのか分からないと反省。で、トリミング。デジカメは便利だ。
■ 路上観察@哲学の道
蔵の壁に穿たれた窓、梅の花をモチーフにしたと思われる。丸窓は珍しいと思うが、この窓は昔からのものだろうか・・・、分からない。 路上観察失格!
■ みやげ物屋さん@銀閣寺付近
お正月らしい色彩、思わずカメラを構えてしまった。
■ 帰りの新幹線 のぞみ34号 動いているものを撮るのは苦手だが、これはタイミングがよかった、と自己満足。これがかわせみのくちばしをヒントにデザインされたという500系車両。
以上で「新春京都日帰り行」の記録 オシマイ。
■ 昨年末に読み始めた『再生巨流』を読み終えた。今年最初の読了本。京都日帰り行に連れて行った文庫。この作家の作品の魅力は大胆かつ緻密な構想だが、この作品も例外ではなかった。
左遷人事を受けた主人公が物流の世界に画期的なシステムを導入するまでのプロセスを描いた小説。実践の参考になりそうな台詞が頻出する。
**こうした大きなプロジェクトを行なう時にはな、まず最初に理想的な最終像を具体的な形でメンバーの全員が共有するのが大切なんだ。**
**プレゼンに使うパワーポイントの画面はもっと要点を絞り込んでおいた方がいい。手渡す資料とプレゼンの画面が一緒なんて、能無しのすることだ。**
**こけおどしのようにぶ厚い資料を用意するのは能無しのやることだ。**
この台詞で『企画書は1行』という本を思い出した(野地秩嘉/光文社新書)。
この作家の小説はとても知的。欠けているものを敢えて指摘すれば、それは「恋」。不倫でもなんでもいいい。男と女の恋愛を織り込んでもらったら嬉しいが、私の知っている限り物語はいつもクールに展開する。
主人公は極めて優秀、目的を実現するために知恵を絞り、必死になって働く。いくつもの困難を乗り越えて夢に向かって突き進む。
最後に大どんでん返しが待ち構えているのかと思いきや、ハッピーなエンディングだった。そう小説はやはりハッピーエンドがいい!
**駅前からタクシーに乗り込んだ吉野は、「南禅寺へ」と、ドライバーに行き先を告げた。**
この辺は帰りの新幹線で読んだがまさかこんな場面が出てくるとは思わなかった。偶然。
さて『したたかな生命』ダイヤモンド社を読み始めよう。年末年始に読む予定の最後の1冊。「ロバストネス あらゆるシステムの基本原理」って一体なんだろう・・・。