■『国土学再考「公」と新・日本人論』大石久和/毎日新聞社 読了。
**われわれの暮らしをよくしていくためには、「国土に働きかけることによって、国土から恵みを得る」行為が重要になってくる。** 「おわりに」からの引用だが、大石氏は「はじめに」にも同じことを書いている。
この本から長野県の高校入試に出題された。通読して、問題文はなかなかいいところを抜き出したなと思ったがそのことには触れない。
・長いが「不十分」な日本の道路
・アジアで置き去りにされる日本の港湾
・「よりよい明日」を実現するインフラの更新
このような小見出しから著者のスタンスが分かる。
国土に働きかけ続けて**より安全に、より効率的に、より美しく快適にして、後世に持続可能な国土として引き継いでいく責務を有している。**と著者は書いている。この「より美しく」や「より快適に」が具体的にどのような状態なのかは、環境にやさしくとかエコな暮らしとかいわれるご時世、人によって見解が違うだろう。
この本で論じられていることには同意できないところもあるが、「何でも読んでやろう」に意味がある。入試に出なければ読む機会はなかっただろうが・・・。
この本を読んで和辻哲郎の「風土」をいつか再読しようと思った。
さて次は『人間の建設』。岡 潔と小林秀雄の「雑談」。なぜ今頃このふたりの対談が文庫化されたのか、事情は分からないが**日本史上最も知的な雑談**(カバーより引用)となればやはり必読だろう。