透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

岡潔と小林秀雄の対談

2010-03-20 | A 読書日記
 

『国土学再考「公」と新・日本人論』大石久和/毎日新聞社 読了。

**われわれの暮らしをよくしていくためには、「国土に働きかけることによって、国土から恵みを得る」行為が重要になってくる。** 「おわりに」からの引用だが、大石氏は「はじめに」にも同じことを書いている。

この本から長野県の高校入試に出題された。通読して、問題文はなかなかいいところを抜き出したなと思ったがそのことには触れない。

・長いが「不十分」な日本の道路
・アジアで置き去りにされる日本の港湾
・「よりよい明日」を実現するインフラの更新

このような小見出しから著者のスタンスが分かる。

国土に働きかけ続けて**より安全に、より効率的に、より美しく快適にして、後世に持続可能な国土として引き継いでいく責務を有している。**と著者は書いている。この「より美しく」や「より快適に」が具体的にどのような状態なのかは、環境にやさしくとかエコな暮らしとかいわれるご時世、人によって見解が違うだろう。

この本で論じられていることには同意できないところもあるが、「何でも読んでやろう」に意味がある。入試に出なければ読む機会はなかっただろうが・・・。

この本を読んで和辻哲郎の「風土」をいつか再読しようと思った。

さて次は『人間の建設』。岡 潔と小林秀雄の「雑談」。なぜ今頃このふたりの対談が文庫化されたのか、事情は分からないが**日本史上最も知的な雑談**(カバーより引用)となればやはり必読だろう。


建築展@近代美術館

2010-03-20 | A あれこれ

 東京国立近代美術館で建築展が開催される。
 
しばらく前に世田谷美術館で内井昭蔵展が開催されたが、日本では建築展が美術館で開催されることはあまりないのではないか。

建築は絵画や彫刻のように純粋芸術ではないから、同類とは見なしにくいのかもしれない。

建築展というとギャラリー間、GAギャラリー、パナソニックミュージアム、大手ゼネコンのギャラリーあたりが直ちに会場として浮かぶが、これらはいずれも建築に関係する企業のギャラリーだ。だから近美で建築展が開催されると知って、ちょっと驚いた。

4月29日から8月8日の会期で開催される展覧会 建築はどこにあるの?(←展覧会の概要)には7人、いやアトリエ・ワンも入っているから7組か、が参加するという。

参加する建築家のひとり、伊東豊雄さんのインスタレーションはノルウェーのオスロ市ダイクマン中央図書館のコンペで提案した空間構成システムを使ったものになるそうだ。3種類の多面体を空間全体に展開させていくというシステムはNHKの「プロフェッショナル」でも紹介された。残念ながらコンペでは当選しなかったが。

内藤廣さんがどんなインスタレーションをするのかも興味がある。会期中に、参加する建築家の講演会も行われる。

近美に行かねばならぬ。