■ 昨日(6月12日)の信濃毎日新聞朝刊にこの記事が載った。宇宙は生まれてから現在まで、およそ137億年経つことが知られているが、生まれてから13億年後の宇宙の様子を観察したという。私にはまったく理解の及ばない世界だ。
理解が及ばないと言えば、この頃、この2冊の本を読んだ。
『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』 大栗博司/幻冬舎文庫
素粒子論が専門で世界的にも名の知られた研究者が物理学のニュートン力学から始まる諸理論、特殊相対性理論、一般相対性理論、量子論、超弦論構築の歴史を難しい数式など使わず、喩え話をまじえて「分かりやすく」解説した本。
アメリカ大リーグを代表するピッチャーが少年野球の選手を相手にキャッチボールをするように、とでも表現すればいいだろうか・・・。仮に草野球をするとしても控えにまわるような私では、いくら受けとりやすいボールを投げてもらっても何回も後ろに逸らすことになったが・・・。
**学校で習うユークリッド幾何学では、円の中心角は三六〇度、三角形の内角の和は一八〇度など、図形と角度の関係が決まっています。でも、それは「平面上での話。数学の世界では、曲った平面上の図形について考える幾何学もあります。**(92頁)
ここで著者は紙で作った円錐(とんがり帽子の形)に円(頂点から等距離にある点を結んだ線)を描いて、それを平面に開いた様子をイラストで示している。
また、アリにとっては水をまくのに使うホースの表面は縦にも横にも行ける2次元空間だが、鳥の場合、足がホースの太さよりも大きいので、縦方向にしか移動できない。つまり、アリの位置は縦・横の二つの情報で決まるが、鳥の位置は一つの情報で決まる。アリにとって2次元空間が鳥にとっては1次空間にしか見えない。この喩えは分かりやすい。私などは3次元空間より高い次元の空間はイメージできないが、10次元というような高次の空間をイメージできる人もいるのかもしれないと思えてくる。
宇宙の謎に迫るって、非常に抽象的な概念、凡人には到底理解できないことを考えることになるんだ、ということは「よく」分かった。
『はじめての〈超ひも理論〉 宇宙・力・時間の謎を解く』 川合光/講談社現代新書
この本の著者もまた、大リーグを代表するエースのような研究者が物理学の究極的な理論といわれる超ひも理論(超弦理論)を説く本。大学野球のレギュラー選手を相手にキャッチボールをするように、つまり大学で物理学を専攻している学生くらいのレベルの読者を想定して書かれている。
それにしても「1メートル宇宙」などというものをイメージすることは到底できない。また、著者らの研究チームが唱える、宇宙はビッグバン―ビッグクランチ、つまり宇宙の始まりと終わりを繰り返すというサイクリック宇宙論などは私には全く理解の及ばない理論だが、それにも始まりと終わりがあるのだろうか、それとも数珠のようにエンドレスなんだろうか・・・。
う~ん、皆目分から~ん。