透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「重力とは何か」

2012-06-10 | A 読書日記

 左脳は論理的に、右脳は直感的に理解する領域を受け持っているといわれる。脳梁が左右の脳をつないでいるのだから、実際はどの程度機能分担がされているのか分からないが、とにかくそのようになっている(らしい)。

左利きの場合は右脳の領域、右利きの場合は左脳の領域が得意だと聞く。まあ、そのような傾向が見られるということだろう。ボクはもともと左利きだ。で、確かに右脳の領域、直感的に分かる分野が得意、と言うか好きだ。



『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』大栗博司/幻冬舎新書を買い求めた(著者の大栗博司さんは「素粒子論」で世界的に知られた研究者)。

この手のテーマには興味があるが、姿形を具体的にイメージできないことの理解がボクの脳は苦手だ。抽象的な説明はどうもよく理解できない。だが、本の帯には**最先端の理論が直感で分かる、エキサイティング宇宙論。**とある。「直感で分かる」ならば、ボクでも少しは理解できるかもしれない、そう思って読んでみることにした。

ところで「超弦理論」は「超ひも理論」と同義。「ひも」には別の意味もあるわけで、どうも・・・、ということからか分からないが、専門家は超弦理論と呼ぶことが多いとのことだが、この本を手にするまでは超ひも理論ということばしか知らなかった。





なんでもかんでも読んでみよう。


 


「ま、いっか。」浅田次郎

2012-06-10 | A 読書日記


「ま、いっか。」浅田次郎/集英社文庫

 女性誌「MAQUIA」に連載されたエッセイを集めた本。

浅田次郎の熱心な読者でもないが、先日書店で平積みされていたこの本を迷うことなく買い求めた。「ま、いっか。」 このタイトルに惹かれたのだ、きっと。

望むレベルには達していないけれど、「ま、いっか」と妥協してしまうことは日常生活で時々ある。処世術として必要かどうかは分からないけれど・・・。いや必要だな。

漱石の『草枕』の書き出し**智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。** この意地を通せば窮屈だという指摘って、「ま、いっか」も必要なんだと理解できないかな。いや、そこまでは言ってないな・・・。

さて、このエッセイから。

浅田さんが発見した美人顔の重要ポイント **絶世の美女と謳われる女優さんなどは、洋の東西を問わずこの口元が美しいことに例外はない。淋しげな一重瞼でもお肌が荒れていても、エラが張っていても鼻が低くても、なぜか美人は美人だという秘密はこれで、まさしく口元の良さこそ「七難を隠す」のである。**(54頁) モナリザか・・・。弥勒菩薩のアーカイックスマイルか・・・。

**しまりのない口元は、一見して品性に欠ける。表層をどれほど上手に糊塗しようが、品のない顔に美しさを見出すことはできない。(中略)口元を知性の表象とする人相学にも一理はある。**(55頁) なるほど。巷に氾濫する「目だけ美人」への忠告。口元に注意は男にも当て嵌まるだろうから心しないと・・・。

粋なという形容がピッタリの浅田さんのすじの通った生き方を知る。