■ 吉村順三が軽井沢の別荘地に設計したハーモニーハウス(1983年)と同一敷地内にあるクライアントのエロイーズ・カミングハム女史の別荘の見学会に参加した。
カミングハム女史は宣教師の父親と共に1900年に来日、以降毎年夏を軽井沢で過ごしたそうだ。戦後、子どもたちのために毎月無料でコンサートを開催していたそうで、1983年に音楽を学ぶ若者のために建設したのが、ハーモニーハウス。
120人収容のホール、4室ある宿泊棟、食堂などからなる施設で、今年(2015年)の春から、食堂はカフェとして使用されている(冬季は閉鎖されるそうだ)。
吉村順三の木造建築は簡素な素材を使いながら、絶妙なプロポーションによって、実に居心地のよい空間となっている。
カフェは図面によると9.0m×5.4mの平面寸法で、天井高は2.22m(m単位を使ったが一般的にはmm単位)。天井は岩面吸音板仕上げだが、図面では吉村建築お決まりのラワン合板仕上げになっている。後年、ラワン合板の上に岩綿吸音板を張ったようだ。
ここで昼食をとりながら見学時間になるまでのんびり過ごした。
カフェの外観。2階は展示ホール(下)などとして使われている。
ホールのスロープから見るとこんな様子。以下は次稿で・・・。
■ 道祖神を塞神、障神(さえのかみ、さいのかみ)と呼ぶ地方もあるが、塞(ふさ)ぐという漢字から分かる通り、集落に悪霊や厄病神、邪鬼が入ってこないように守る神様だといわれている。あるエリアを守るという役目は狛犬も仁王像も同じ。
道祖神は他にも五穀豊穣、子孫繁栄などの願いを託す神様として、地域の人びとの暮らしに最も身近な存在だ。
昨日(12日)、軽井沢からの帰路、佐久市布施でこの道祖神と出会った。宮廷貴族風衣装を身にまとい、向かって左側の女神が手に大きな酒器を持ち、右側の男神が手に持つ盃に酒を注ぐ様子が彫り込まれ、祝言を表している。表情はやや硬い。
右隣に祀られていたこの道祖神は摩耗が進み、双体だということが分かるのみ。お互いやや内側を向き、握手をしているように見えないこともないが・・・。