透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「35 男はつらいよ 寅次郎恋愛塾」追記

2021-08-18 | E 週末には映画を観よう

 夜、庭で虫たちが鳴いている。いつの間にか野外音楽堂で虫たちのオールナイトコンサートが始まっていた。今はもう秋・・・(なんちゃって)。お盆休みは庭の草むしりを予定していたが、連日雨降りであきらめ、寅さん三昧ということに。

で、今日(17日)も寅さんを観た。

第35作「寅次郎恋愛塾」。「知床慕情」と比べてしまった。恋のアシストをする寅さんということでは両作品同じだが、「知床慕情」では熟年ふたりの普段の様子がきちんと描かれていて、観ていて、ああ、お互いに相手のことが好きなんだなと分かった。だが、「寅次郎恋愛塾」ではなぜお互いに惹かれるのか、特にマドンナ・若菜(樋口可南子)が司法試験を目指しで勉強ばかりしている民夫(平田 満)のことをなぜ好きになったのか、観ていて分からなかった。民夫は別に魅力的でもないのだ。

それに若菜が寅さんに惹かれているのかどうかもよく分からなかった。「知床慕情」ではマドンナのりん子(竹下景子)が寅さんに惹かれていることも、その訳も分かった。りん子はとらやで寅さんの魅力について語ってもいる。りん子と若菜、寅さんとの距離感が違う。演出なのか、細かな演技や表情の違いなのかは分からないが。

若菜は不幸な生い立ちで、祖母に育てられたが、その祖母が亡くなったとき、寅さんにお世話になったという感謝の気持ちというか、負い目を感じてはいるだろうが、慕っているのかどうか・・・。寅さんにしても、若菜のことが好きだとは思うが、りん子の時は違い、それ程でもないように見える。

寅さんのおぜん立てでデートした若菜と民夫、デートは寅さんの想定通りに進む。デートから帰って若菜が民夫を2階の自分の部屋に誘ってからの出来事も何だか・・・、民夫は寅さんじゃないんだから。

その後のドタバタした展開も、不自然な感じで僕は好きじゃなかった。作品には印象に残るような場面もセリフも無かった。「知床慕情」では男は黙って何とかビールの三船敏郎、いや順吉が意を決してスナックのママ・悦子に惚れてるんだ、と告白する。その時の悦子の姿に僕は涙してしまった。「寅次郎恋愛塾」にはそんな感動的な場面もなく・・・。

好きな寅さんシリーズでも、ストーリーの設定や展開の好み、ということになると差がでるもの。あくまでも個人的な評価というか、好みだが、甘くしても「寅次郎恋愛塾」は★★☆☆☆くらい。ちなみに「知床慕情」は★★★★★。

観た作品が30作を越えた。


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