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C1 新型コロナワクチン本当の「真実」

2021-08-25 | A 読書日記

C1『新型コロナワクチン本当の「真実」』宮坂昌之(講談社現代新書2021年)

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 新型コロナワクチン接種をためらっている人に一読をおすすめしたい本。**本書は、免疫学者である著者が、新型コロナウイルスとワクチンに関する最新の科学的知見を分析して、一般の方々にぜひ知っていただきたい情報をまとめたものです。**と「はじめに」に紹介文がある。

カバーと言った方がよいと思うような幅広の帯に**数年後に悪影響や副作用は出ない?**とある。まさにこのことが心配で接種を控えている人も少なくないと思われるが、本書の中で著者の宮坂昌之氏(*1)はこのことについても、分かりやすく解説している。

本書の構成は以下の通り。

はじめに
プロローグ 新型コロナウイルス感染症はただの風邪ではない
第1章 新型コロナワクチンは本当に効くのか?
第2章 新型コロナワクチンは本当に安全か?
第3章 ワクチンはそもそもなぜ効くのか?
第4章 ワクチン接種で将来「不利益」を被ることはないのか?
第5章 ワクチン接種で平穏な日常は戻るのか?
第6章 新型コロナウイルスの情報リテラシー
第7章 「嫌ワクチン本」を検証する
第8章 新型コロナウイルス感染症の新しい治療法、そして未来
エピローグ

数年後の悪影響について、宮坂氏は
**万が一、新型コロナウイルスの一部が私たちのDNAに組み込まれて、これが子どもや孫まで遺伝するのではないか・・・** 
**数年後、ウイルスの遺伝子が動き出して、思わぬ影響をもたらすのではないか**(ともに148頁)
といったことを具体的に挙げ、このような不安に対して、
**mRNAワクチンによって、ウイルスのmRNAが細胞に入っても、そこからDNAが合成されることはないため、私たちのDNAにウイルスが組み込まれることはないのです。**(149頁)とセントラルドグマ(情報の流れの一方向性で、逆行することはない。すなわちDNA→mRNAという流れ、この逆のmRNA→DNAという流れはない)という基本原則により説明している。

さらに、**mRNAワクチンの中にある遺伝子はスパイクタンパク質を作る設計図しかありません。特定のパーツしか作ることができない単純な遺伝子が、複雑極まりないヒト遺伝子の転写制御システムを組み換えることなどできません。**(149、150頁)と説明している。

**そもそもウイルス遺伝子がゲノムに入り込むことを恐れるのであれば、ワクチン接種よりも、生きた新型コロナウイルスそのものが細胞内に入り込む「感染」を恐れるべきです。**(161頁)確かに。

**専門家がマスコミを介して発する情報のなかにも科学的なエビデンスが著しく不足しているものも少なくありません。**とも指摘している。

まあ、様々な情報の中から信ずるに足る情報だけを取り出して、それらをきちんと吟味・判断して接種する、しないを判断するしかないだろう。


*1 大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授(カバー折り返しに掲載されている著者のプロフィールより)

本書をまだ読了しておらず、しかも内容を咀嚼できていないので、本文の引用が多くなっていますが、ご容赦願います。