透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

消えゆく火の見櫓

2021-08-26 | A 火の見櫓っておもしろい


086 松本市高宮北 4脚8〇型 撮影日2021.07.04


撮影日2021.08.21(火の見櫓はもう無い。上の写真とは逆方向から撮影した)

 国道19号沿いに立っていた火の見櫓が8月20日に解体撤去された。撤去されたのは戦前、1930年(昭和5年)に建設された火の見櫓で、松本市内では最も古い部類の1基だった。

列車のラストランには多くの鉄道ファンが駅のホームに押し寄せ、停車中の姿を撮影するなどして別れを惜しむ様子がテレビのニュース番組でも取り上げられる。だが、長年地域を見守り続けてきた火の見櫓が取り壊されるという日に、その様子を見守る人はまずいない。

寂しい・・・。



「夜明け前」

2021-08-26 | A 読書日記

 信濃毎日新聞に毎年7月から8月にかけて連載されるインタビュー記事「山ろく清談」がいつ頃始まったのか分からないが、1966年8月19日、今から55年も前の「山ろく清談」に北 杜夫が出ていたことが『マンボウ思い出の昆虫記』(信濃毎日新聞社2013年)で分かる(過去ログ)。


『マンボウ思い出の昆虫記』112頁

今年最後の「山ろく清談」、作家の宮本 輝へのインタビューが24日に掲載された。**70歳を過ぎ再び読書の虫になりました。トルストイの「戦争と平和」、島崎藤村の「夜明け前」・・・。天文学とか遺伝子工学の本も読みます。**と記事の中のにある。

しばらく前に僕が再読を終えた「夜明け前」については、19日のMGプレスの読者投稿欄にも「今、読みたい「夜明け前」」という見出しの投稿が掲載されていた。

投稿者は**読破を試み、途中で心が折れかけたなら、全4巻のうちの最終巻から読むという“奥の手”を試してみるといい。**と書いておられる。僕も同感。最終巻を読めば、主人公の青山半蔵がどのような人生を送ってきたのか気になって、第1巻に戻って、初めから読みたくなるのではないか、と思う。



この長編小説を加賀乙彦は日本の近代小説の白眉、と評しているが、高島俊男は『お言葉ですが・・・』(文藝春秋1996年)で、**へたくそな小説で、あんなものを名作という人の気がしれないが(後略)**(68頁)と手厳しい評価をしている。まあ、評価は人それぞれ。

**木曽路はすべて山の中である。**という有名な書き出しで始まるこの長編は**一つの音の後には、また他の音が続いた。**と、終わる。

何の音なのか、この小説を読んだ人なら直ちに分かるかもしれませんね。ぼくはこんなふうに終わることを忘れていましたが・・・。