透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

1316 辰野町樋口の貫通やぐら

2021-11-14 | A 火の見櫓っておもしろい


1316 上伊那郡辰野町樋口万五郎 4脚(貫通)444型 撮影日2021.11.14





「貫通やぐら」 コンクリートブロック造の消防倉庫を貫いている。火の見櫓の脚間寸法3.9m 倉庫の間口2.4m。櫓の下に少しでも広い倉庫を建てようとすれば、こうするしかない。貫通やぐらを建てる理由は他に思いつかない。



見張り台の4隅を隅切りするのはなぜ? 積極的にこうしなければならない理由は分からない。



櫓内に納めた踊り場で外付け梯子から櫓内梯子に切り替えている。消防信号板を設置してあるが、半鐘を叩く時に見るなら、見張り台に設置しないと意味がない。消防信号板の設置位置は脚元であったり、この火の見櫓のように踊り場であったりする。見張り台に外向きに設置してあることもある。なぜなのか、理由は分からない。




倉庫の正面右側の脚部の様子


倉庫の正面右側の脚部の様子 シュール!


 


辰野町伊那富の道祖神

2021-11-14 | B 石神・石仏

 今日(14日)の午前中、上伊那郡辰野町の火の見櫓と道祖神巡りをした。前稿の火の見櫓(再1130)の次にこの道祖神と出会った。


上伊那郡辰野町伊那富北大出上垣外 道祖神 酒器像 撮影日2021.11.14



大きな自然石の基壇に形を整えた石に彫った双体道祖神(酒器像)を据えている。碑の高さ約62cm、幅約60cm、厚さ約35cm。円形(直径約40cm)の中区に彫った像は高さ約33cm。



女神が提子、男神が盃(欠損しているようで分かりにくい)を持っている。公家風の衣装をまとう。顔の表情ははっきり分からないが穏やか。


 


辰野町伊那富の火の見櫓

2021-11-14 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)上伊那郡辰野町伊那富 4脚444型(踊り場の有無を表記する)撮影日2021.11.14



見張り台と踊り場に半鐘を吊り下げてある。前に見た時も同じ印象だったが、踊り場から上の櫓はもう少し細い方がバランスが良いと思う。ただし踊り場を櫓内に納める場合はこのくらい太くないと、十分な広さが確保できない。



柱の上端にもアーチ状の補強部材を入れて水平方向の変形を防いでいる。



正面のみトラス型式の脚、他の3面はブレース設置。梯子は踊り場で90度向きを変えて設置している。


 


「砂浜海岸」と対をなすのは「何海岸」?

2021-11-14 | A 読書日記

 『知ってるつもり「問題発見力」を高める「知識システム」の作り方』西林克彦(光文社新書2021年)を読んだ。どのようなカテゴリーにおいても知識の全体像を体系的に・システマティックに把握することが必要であることを説いている、と本書の内容を理解した。

第1章「知ってるつもり」をなぜ問題にするのかの第2節は私たちはこんなマズイ知識の中で育っていると刺激的なタイトルだ。この節で著者はある教科書(中学社会科)の文章を引用する。**日本の海岸線は、出入りが多く複雑で小さな岬、湾などが多く見られます。そのため日本は、国土面積に比べて海岸線が長いという特徴があります。三陸海岸や志摩半島、若狭海岸などにはリアス海岸が見られます。いっぽう、出入りの少ない砂浜海岸も多く(九十九里浜の写真)、鳥取砂丘のように砂丘が発達していることろもあります。**(32頁)この教科書の海岸についての話はこれで終わりとのこと。

とりたてて違和感のないこの説明文のどこがマズイというのだろうか・・・。

著者がまず指摘しているのは海岸として「リアス海岸」と「砂浜海岸」を対比的に取り上げているが、すべての海岸はこの2つで尽くされているのか、ということ。全体像を体系的にという観点の取っ掛かりとしてこのような説明文はどうなのか。

ぼくも教科書からこのような知識だけを得ていただけだった。海岸は大きく砂浜海岸と岩石海岸(*1)に分けられ、リアス海岸は岩石海岸に含まれるという関係だから、まず海岸として「岩石海岸」と「砂浜海岸」を対比させなければならない、そうしないと体系的ではないということか・・・。なるほど、確かに。

論考は多様なものを捉える際の「共通性」と「個別特性」について(第2章)、孤立した知識への対応(第3章)へと展開され、孤立した「知ってるつもり」は疑問を生まない(第3章 第2節)ということなどが論じられる。確かに指摘の通りだと思う。だからチコちゃんに叱られっぱなしなのだ。

ただ単に知識を得るだけでなく、知識のシステム化、知識を有機的に繋げるということについて、知識システムと教育(第5章)、知識システム構築に関する留意点(第6章)で論じられる。

知識の体系化、知識システムの構築は長いスパンで自分でやっていくしかない、ということなんだろうな・・・。本書を中高生に読んで欲しい。


*1 岩石海岸ということばは知らなかった(と正直に書く)。