透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「吾輩は猫である」

2013-07-16 | A 読書日記



■ 『吾輩は猫である』再読中。昭和41年発行の古い文庫だ。

**人間もかようにうじゃうじゃいるが同じ顔をしている者は世界じゅうに一人もいない。顔の道具はむろんきまっている。大きさも大概は似たり寄ったりである。(中略)同じ材料でできているにもかかわらず一人も同じ結果にできあがっておらん。よくまああれだけの簡単な材料でかくまで異様な顔を思いつくものだと思うと、製造家の伎倆に感服せざるをえない。**(164頁)

以前、「火の見櫓を構成する要素はそれほど多くないのに、デザインは実に多様だと実感する。」(過去ログ)と書いた。

自然のデザイン力について、漱石が同じことをこの小説で書いていたことに今回の再読で気がついて驚いた。


長編なのでいつ読了できるか、分からない・・・。


コマ女

2013-07-14 | A あれこれ



 BS日テレの番組「中川翔子のマニア☆まにある」の録画CDをカフェ・バロのKさんから借りた。

今日(14日)テレビでこのCDを見た。狛犬に魅せられた若い女性画家・小松美羽さんがタレントの中川翔子ちゃんと一緒に都内の赤坂氷川神社(この神社には狛犬が7対もあるそうだ)に出かけ、そこで小松さんが狛犬の観賞マニュアル、いや、まにあるをしょこたんに伝授し、一緒に観賞するという内容だった。

そのまにあるとは
1 いろんな角度から見る。
2 毛並みに注目する。
3 生きている姿を妄想する。
4 写真を撮る。
5 ファインダー越しに楽しむ
6 離れた場所から見る
7 台座をチェック
といったものだった(表現が違っているかもしれないが)。

これが小松さん流の楽しみかたなのだ。番組からは狛犬観察を楽しんでいる様子が伝わってきて、なかなかおもしろかった。

狛犬は遠くエジプトの王家の墓、ピラミッドを守るスフィンクスあたりまでルーツが辿れるという。やがてインドや中国に伝わり、中国では皇帝の守護獣となる。さらに日本に伝わって、神社の守護神として祀られるもあまり意識されない存在。仁王像にもなってお寺も守っているがこちらの方が存在感があるかも。

しょこたんは小松さんを「コマ女」と紹介していた。歴女、山ガール、鉄子。では火の見櫓好きの女性をなんて呼ぼう・・・。やぐらガール?ぐら女?


 


「複眼的にものごとをみる」ということ

2013-07-14 | D 新聞を読んで



 大学が広告を出す時代になった。

今日(14日)の信濃毎日新聞朝刊に信州f大学の全面広告が掲載されている。広告で取り上げているのはこの春の入学式で演奏された「春寂寥」。

「春寂寥」は信州大学の前身、旧制松本高等学校の思誠寮の寮歌で、高校に入学した時に配布された歌集に収録されていた(写真)。春故のもの哀しい雰囲気がよく表現されている。好きな歌だ。


昭和44年発行の歌集から 歌詞は四番まである。

新聞広告には「春寂寥」をめぐる座談会が載っている。高校の時、国語を教わったN先生はこの座談会で、物事を一面的に見ないということを学んだ。学生には複眼の思考、何事も立体的に見る力を持って欲しいと語っておられる。

**最初の1年間は基本を学んでほしいのです。(中略)学びの原点にある普遍的な視点、複眼的な学問をまず経験すべきだと私は考えています。**という学長の挨拶文も掲載されている。

「複眼的にものごとをみる」ということが大切だということの指摘だ。

普段あまり読まない広告にも注目したい。


 


道州制

2013-07-14 | D 新聞を読んで


7月13日付信濃毎日新聞朝刊より

 昨日の新聞に「参院選後に議論本格化」という見出しで道州制のことが記事になっていた。

道州制とは? から成る記事には**都道府県を廃止し、全国を10程度の「道」や「州」に再編する構想です。外交や防衛などを除く中央省庁の仕事は道州に移し、都道府県の仕事は市町村ンが担います。推進派は、東京の一極集中の是正や地方分権の推進、行政のスリム化などの効果を挙げています。**という説明がなされている。

「道州制法案 長野県知事らは反対」という見出しも付いている。 記事の最後の、**今後の焦点は。** の最後に**暮らしを大きく変える法案なので、何より地方や国民の理解を得ることが欠かせません。**と書かれている。

道州制については何も知らない。

主な区域割り案として記事に載っている2案を見ると、九州、四国、中国、それから東北、北海道は同じ。違うのはその間の区域で具体的には新潟、長野、埼玉の3県の所属。

長野県が東海というのも、別案の北関東というのもピンとこない。新潟県が北陸というのは今でもそのような線引きもあるから、分かる。でも、北関東というのはなんだかな~。埼玉県は東京と一緒に南関東になるか、北関東になるのかの違い。東京と一緒になるか、ならないかは大きな違いだろう。

どうやら区域割りで一番馴染めないのは我が長野県、ということになりそうだ。長野県は東海でもなければ北関東でもないゾ。甲信越でまとめてもらうか・・・。否、長野県は長野県。このように考えるのは長野の県民性かも。長野県内でも松本は松本、長野とは違うという認識だからな~。

この国の望ましい姿・・・。国民が幸せに暮らせる国・・・。ン~、分からん・・・。


 


「植物のあっぱれな生き方」

2013-07-13 | A 読書日記


 今春の長野県の高校入試に田中修氏の『植物はすごい』中公新書から出題された。私は偶然にも入試の直前にこの本を読んでいたが、植物のいろんなビックリが分かりやすく書かれていてなかなかおもしろかった。

同じ著者の『植物のあっぱれな生き方』幻冬舎新書を読んでいるが、植物のいろんなビックリがより柔らかな表現で書かれていて、大変おもしろい。

「石橋をたたいても渡らないタネたち」
「ひと味違う婚活」
「花の中は「家庭内別居」」

これらの小見出しからもおもしろそうな内容であることが伝わると思う。

発芽の3条件は「適切な温度、水、空気(酸素)」だということを小学生か、中学生の時に教わるそうだが、更に光が当たることという条件が必要だという。これだけの条件が整えば植物のタネは発芽するかというと、そうではないものもあるとこの本にある。

**秋に発芽すれば、すぐにやって来る冬の寒さで枯れてしまうからです。秋に結実する植物たちのタネは、冬の寒さが通過したあとでなければ、発芽しないのです。タネは、冬の通過を確認するために、「寒さ」を感じます。(中略)冬の寒さに出会う前のタネには「アプシシン酸」という物質が多く含まれています。この物質は発芽を抑えています。寒さを感じると、タネの中でこの物質が減ります。一方、暖かくなるにつれて、「ジベレジン」という発芽を促す物質がつくられます。春には、発芽を抑える物質が減り、発芽を促す物質が増えて、発芽がおこります。**(25頁)

後半に越冬芽にも同じことがおこると、紹介されているが、その文章には**私たちが何かを達成して「ひと花咲かせる」ためには、苦難の時期を耐えねばなりません。**(152頁)とも書かれている。植物が私たちに生き方も教えているというわけか・・・。



この本の帯に花のイラストが載っているが、なぜ、オシベより真ん中のメシベの方が背が高いのか? この理由が分かりやすく説明されている。近親婚を避けるための姿だそうだ。

難しいことを分かりやすく書くことは難しいと思うが、著者はそれを難なくこなしている。


 


45、46 久しぶりの飲み会

2013-07-13 | C 名刺 今日の1枚



45

高校の同期生の親睦会・24会に久しぶりに参加した。以前は松本駅前の某居酒屋が会場だったが、昨年あたり(?)から居酒屋「とんぼ」が会場になった。月一の飲み会だが、もう25年くらい、いやそれ以上続いている。

暑い日だった。「とりあえずビール」。この名前のビールがあれば売れるだろうと言ったのは所ジョージだったかな。その後は冷酒を飲んだ。これが後になって効いた・・・。




46

飲んだらラーメン、これ最高! 体にゃ悪いとわかっちゃいるけどやめられない。で、久しぶりに駅前の「とり栄」へ。駅前の居酒屋が会場だったころはここでよく2次会をした。

野菜たっぷりの餡かけやきそばはおすすめ。


  


シンプルなシステムの「どんぐりハウス」

2013-07-11 | A 読書日記



 先日(6月23日)名古屋で開催されたセミナーに参加したことは既に書いた。

その時の講師のひとり、東海大学の杉本教授が開発した「どんぐりハウス」は東日本大震災の被災地に供給するための仮設建築システムだ。

講演会場で買い求めたこのシステムを紹介する書籍(写真)を読んで、システムの概要を知った。もともとのアイディアは利用されない小径木の活用を目指して開発したものだという。

システムを構成する部材は90×90の柱材と柱材の半割の40×90の間柱材、同寸で断面形状が異なる外壁材の3種類のみ。これだけの部材で梁はどうするのかなと思ったが、なるほど!な解決がなされていた。

当然のことながらこの「どんぐりハウス」システムは特別な技術など不要で、容易に建設が可能だという。

この仮設建築には蓄電池を組み込んだ太陽光発電システムと、トイレにはバイオ分解式で微生物がし尿を分解するシステムが採用されている。被災地の状況を踏まえた実に合理的なシステムだと思う。

木は体にも優しいし、心にも優しい。不要になれば転用も可能ということだし、間伐材なら地元で調達できるから、搬路が断たれていても支障ないことも大きな利点だ。

プラクティカルな研究開発のレポートに刺激を受けた。


 


講演会「どくとるマンボウ家の素顔」

2013-07-10 | A あれこれ



 「北杜夫と松本」  先日松本市内でこのポスターを目にした。 北杜夫の作品には松本や美ヶ原、北アルプスがよく出てくる。

今月の21日(日)の午後、斉藤由香さんの講演会がある。先日電話で聴講の申し込みをした。北杜夫ファンとしては、娘さんの講演も聴いてみたいと思う。


 


426 朝日村の火の見櫓

2013-07-07 | A 火の見櫓っておもしろい

 
426 朝日村西洗馬上組の火の見櫓 撮影日130707

 朝日村(長野県東筑摩郡)の火の見櫓を指折り数えると17基になる。この火の見櫓はその内の1基で西洗馬(にしせば)という地区のもの。

3角形の櫓に梯子はない。櫓の3面の内、1面にブレースではなくて横材を等間隔に架けて梯子の代用としている。このタイプが村内に何基かあるが、やはり櫓は3面ともブレースが入っていて、梯子が単独で架けられているのが好ましい。櫓は立体的な構造物だが、各面が同じ構成になっている方が構造的にバランスがとれて安定することはなんとなく直感的に分かる。



3角形、いや立体形として3角錘と捉える、3角錘の屋根を支える3本の柱にスピーカーが取り付けられている。すぐ近くに防災無線柱が立っていて、そこにもスピーカーが設置されているから、このスピーカーの役割が分からない。

このようにスピーカーが設置されている火の見櫓は、この村には他には無いような気がするが、どうだろう・・・。機会があればきちんと確認したい。

朝日村の隣村、山形では消防団の詰所の建て替えに伴い、火の見櫓が撤去されている。今のところ朝日村で火の見櫓が撤去されるということは耳にしてはいないが、いつの日か全て撤去されてしまうのかもしれない。

ああ、消えゆく火の見櫓・・・。


 


見上げてごらん夜の星を

2013-07-07 | D 新聞を読んで

 七夕  織女(こと座のヴェガ)と牽牛(わし座のアルタイル)の年に一度のデートの日。一年にたった一度だけなんて・・・、とずっと思っていました。

今朝(7日)の信濃毎日新聞のコラム「斜面」は七夕に因んだ話題ですが、文中に織女と牽牛はいつも一緒にいるようなものだとあります。

なぜ? 

星の寿命を1億年、人の寿命を100年とすると1年ごとの星のデートは人では30秒ごとになるから。国立天文台の渡辺潤一さんという方の本にこのような説明があるそうです。

そうか・・・。

人のスケールで考えてしまうから1年ごとのデートなんてかわいそうなんて思ってしまうのですが、星は寿命が長いんですね・・・。1億年なんてイメージできません。

旧暦の7月7日は今年は8月13日だそうです。鄙里の夜は暗いので晴れて月が出ていなければ星がよく見えます。

♪見上げてごらん夜の星を・・・ 


 


ワタシの一行

2013-07-06 | D 新聞を読んで

 

 今日(6日)の朝刊に新潮社の広告が載っていました(写真)。

以下その広告文からの引用です。

**本を読んでいると、ある一行に心をつかまれることがあります。(中略)宝物を探すように、言葉の世界を旅すれば、とっておきのあなたの一行に出会えるはずです。**



繰り返し何回も読んだ福永武彦の『忘却の河』新潮文庫からワタシの一行。

**世の中には不親切な人はいっぱいいるわ。小父さんは私が病気だから親切にしてくれるんじゃなくて、御自分が寂しい人だから、わたしみたいな寂しそうな女を見ると親切にしなくちゃ気がすまないのよ。**(44頁)

手元に昭和54年の17刷版と平成19年の33刷版がありますが、2冊ともこの箇所に付箋が付いています。

若かりし頃、心惹かれる女性は皆どこか寂しそうでした。明るく振舞ってはいてもときどきみせる寂しげな表情に惹かれてしまうのはなぜ・・・。

この一行を読んでその理由がわかったのでした・・・。


 


着物に出る個性

2013-07-03 | A 読書日記



■ 早起きは三文の得  なぜ三文得なのかについて、何かで読んだような気がすると先日書いたが、もしかしてこの本ではなかったかと読み返してみたが、見つけることはできなかった。

この本の「着物での暮らし」という章を改めて読んでみた。

**あるお正月、テレビ番組で立派なお座敷に女性たちが着物で並んでいた。十代から七十代近い女性までいたが、驚いたことに、全ての人の着方が同じだった。一目で、着付師が着せたことと、その着付師が着物を知らないことがわかった。**(214頁) ずいぶん手厳しいが、この文章は田中優子さんが書いている。

**着物の着方とは、自分の個性を知ることであり、個性を表現することである。(中略) 着物の着方とは、具体的にいえば、着物と帯と帯揚げ、帯締めの取り合わせ方から始まって、襟のあげ具合、襟の色の選び方、襦袢の襟と着物の襟の重ねる割合、帯の位置、後ろのたいこの大きさ、体と帯の間隔、裾の微妙な長さのことである。それらに自分の好みをはっきり持つ必要がある。(中略)着物は顔と同じで、その人の人格と思想とセンスが出るものだったのである。**(216頁)

なるほど・・・。確かに着物の着方は一様ではなく、人それぞれだということをこちらのブログで感じている。


 


ブックレビュー 1306

2013-07-02 | A ブックレビュー

 早くも半年が過ぎました。

既に書いたことですがこのブックレビューはブログを始めるまで読書記録をつける代わりに読了本を並べて写真に撮ってダイアリーに貼っていたことに由来します。


読了本を写真に撮ってダイアリーに貼っておくという簡便な方法

ブログに載せるなら文章を書いてふり返ることをしなくては、と思って続けていますが、今回はあっさりと・・・。



『経済学的思考のセンス』 大竹文雄/中公新書

経済学の入門書としてなかなかおもしろく読みました。当然のことだとは思いますが実に論理的な思考を要することが分かりました。



『信長の城』千田嘉博/岩波新書

発掘の成果や文学的な史料などを統合して明らかにする城の姿。できればもっとビジュアルに示して欲しかった、と思います。



『門』夏目漱石/新潮文庫

読むたびに新鮮、漱石の作品。