透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

諏訪湖流域下水道のマンホール蓋

2021-05-09 | B 地面の蓋っておもしろい

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岡谷市湊5丁目 撮影日2021.05.08 
海なし県の長野、県歌「信濃の国」は諏訪の湖(うみ)には魚(うお)多しと謳う。

 諏訪湖南岸沿いの帰路を走行中、コンビニコーヒーでも飲んでいこうと駐車場に入るとき、カラーマンホールが目に入った。車を停めて改めて見てみると、諏訪湖流域下水道のマンホール蓋だった。御柱を描いた新しいマンホール蓋の設置が始まることを昨年(2020年)の確か秋ころ新聞記事で知り、諏訪大社下社春宮辺りまで出かけてみたが、その時はまだ設置前だったのかどうか、見つけることができなかった。その蓋を昨日偶々見つけたのだった。



諏訪大社四社、それぞれの社殿の四隅に御柱を建てる建御柱の様子を具象的に描いている。円いということを意識したデザインではない。諏訪湖流域下水道は岡谷市、諏訪市、茅野市、下諏訪町、富士見町、原村、それに立科町、以上7市町村の下水を処理している。

7市町村のマンホール蓋も挙げておく。下諏訪町の蓋は円いということを意識したデザインで好ましく、見る者に風車のような回転をイメージさせる。円い蓋でしかできないデザインであるかどうか、このような観点で評したい。


▲岡谷市 諏訪市


▲茅野市 富士見町


▲下諏訪町 立科町


▲原村


 


1273 諏訪市豊田の火の見櫓

2021-05-09 | A 火の見櫓っておもしろい


1273  諏訪市豊田 4脚44型 撮影日2021.05.08

 交通量が多い主要道路沿いに火の見櫓が立っていても車を停める適当な場所が見つからず、観察をあきらめて通り過ぎることもある。昨日(8日)も数基パスした火の見櫓があった。この火の見櫓は背が高く遠くから見えていたが、やはり一旦通り過ぎてから引き返し、集落内の狭い生活道路に入り込んで適当な場所に車を停めた。


姿形が整っていて、屋根と見張り台の大きさのバランスも良い。櫓の下半分がちょっと大きすぎるかもしれないが、どっしりとしていて安定感がある。スピーカーが7つも付いているのは残念だが、仕方ない。見張り台の手すりに「火の用心」と一文字ずつ取り付けてあるが、正面の櫓に縦に付ける方が分かりやすいと思う(一番下の写真)。

▲ 3枚のカットを繋いでみた。割とうまく繋がった。

踊り場に下げた半鐘には小屋根が付いている。半鐘に雨や雪ががかからないようにという、地元の人たちの優しい気持ちが感じられる。笠地蔵という民話が浮かぶ。



この方向(正面の右側)からは全形が見えないが、上部の様子は分かりやすい。消火ホースを乾す作業をするためのカンガルーポケット(このことばを使うのは久しぶりだなあ)があることが分かる。見張り台手すりの文字は火の用心の「の」。

やめられない とまらない 火の見櫓巡り



801 高山村高井柴 撮影日170512


建てぐるみ

2021-05-08 | A あれこれ

 諏訪地方には「建てぐるみ」と呼ばれる民家の形式がある。蔵を住宅でくるんでいるから建てぐるみなのだと私は思う。蔵は火災に強く、大切なものを保管する役目を持っている。だから金庫が建築化されたもの、と言えなくもない。蔵を完全にくるんでしまわないで見えるようにしているのは、ドーダ(過去ログ)の表現なのかも。







② 破風を交叉させてすずめ踊りと呼ばれる形にしてあり、妻だれと呼ばれる雨除けを付けてある。




 


1271 諏訪市湖南の火の見櫓

2021-05-08 | A 火の見櫓っておもしろい


1271 諏訪市湖南 4無44型 撮影日2021.05.08

 前稿の火の見櫓(1269)は屋根が小さかったが、この火の見櫓は屋根がやけに大きい。頭でっかちな火の見櫓。櫓は太目、太っちょ櫓。





注目はこの最下部。脚が無いのは別に珍しくもないが、ブレースのリングから下を埋めてあるのはそれ程多くはない。なぜこんなことにしたのか、分からない・・・。

この櫓は昭和34年11月3日竣工(銘板による)。


 


1270 諏訪市湖南の火の見櫓

2021-05-08 | A 火の見櫓っておもしろい


1270 諏訪市湖南 4脚44(隅切り)型 撮影日2021.05.08

 湖南という地名が示す通り、諏訪湖の南側にある地区に立つ背の高い火の見櫓。踊り場が2カ所あり、上の踊り場には消火ホースを掛けるためのフックが設置されている。このフックの高さは地上11メートルくらいだろうから、屋根のてっぺんまで15、6メートルくらいありそうだ。このような俯瞰的なアングルの写真が撮れる場所があるとうれしい。



見張り台との大きさのバランスを見ると屋根が小さい。この大きさだと半鐘を叩く消防団員は雨が降っていれば濡れてしまうだろう。もっとも梯子を登ってくる間に濡れてしまうだろうが。



下の踊り場にも半鐘が吊り下げられている。見張り台まで登るのは怖いくて大変だから、という理由が直ちに浮かぶ。この櫓は4つのパーツからなり、3カ所の接合部があるが、その内の2カ所が上の写真に写っている。4本の柱材の等辺山形鋼を上下重ね、それぞれ10本のリベットで接合していることが分かる。



背の高い火の見櫓を脚。このくらいガッチリできていると見た目にも安心感があって好ましい。 設置されている銘板に建設年月日が昭和36年8月10日と記されている。昭和30年代に建設された火の見櫓が多い。


 


抽象か具象か

2021-05-08 | A あれこれ

 

 建築設計という行為は極めて曖昧で抽象的なイメージを次第に具体的な物へと落とし込んでいく一連の作業、ということができるだろう。どこまで具体的な物に落とし込むか、ということに関しては設計者によって随分異なる。

左は金沢21世紀美術館。SANNA(妹島和世さんと西沢立衛さん)設計。この美術館はサイズの異なる白い箱(ホワイトキューブと表現したりもするが)をいくつも並べ、それらをガラスの円柱で束ねるという構成が抽象的な外観を創っていて、それが特徴になっている。

白い箱が展示空間になっているが、そのうちのひとつは写真のように屋根というか天井が正方形に切り取られた静かな冥想空間。見学した時は真っ青な空をジェット機が通過していった。まるで映像アートを観るようだった。

この白くペンキされた部分の材料がなんであるのかは分からない。この美術館は形といい材料といい抽象的で、具象化へのプロセスのかなり手前で止められている。

それに対して内藤廣さん設計の安曇野ちひろ美術館に使われている形や材料は具体的だ。右の写真を見れば材料が木であることは容易に分かるし、木肌によって具体的にはカラマツであることも分かるだろう。外観だって倉庫のようで具体的だ。

抽象から具象へのプロセスのどこで建築化するか・・・。この頃の建築はますます両極化する傾向にあるように思う。

具象がいいな、とずっと思っていたが知的な抽象も悪くないな、と「金沢」を見学したときは思った。


初稿 2009.04.23  加筆再掲

 


「楡家の人びと」

2021-05-06 | A 読書日記



 久しぶりに松本駅近くの丸善書店へ出かけた。

新潮文庫のコーナーに並ぶ北 杜夫の作品を見ると『どくとるマンボウ青春記』『幽霊』『楡家の人びと』、以上の代表3作品がちゃんとあった。出版社には作家の代表作をいつまでも絶版にしないという責務がある、と僕は思う。

『楡家の人びと』を再読し始めた。現在書店に並ぶ新潮文庫のこの作品は活字が大きくなり全3巻になっているが、僕の手元にあるのは、1978年16刷のもので上下2巻だ。

昔の文庫は活字が細かいが、小説を読んでいるという満足感が得られる。大きな活字となったこの頃の文庫では味わえない読書の幸福感が味わえる。それに長編が相応しいような気もする、なんとなく・・・。

ところで、小説の書き出しについてだが、夏目漱石は『草枕』を画家の思念から書き始めているし、島崎藤村は『夜明け前』を舞台となる木曽の地理的な状況の描写から始めている。また川端康成は『雪国』を例の有名な書き出しから一気にズームインさせている。

**楡病院の裏手にある賄場は昼餉の支度に大童であった。** 北 杜夫はこのように『楡家の人びと』をいきなり舞台となる楡病院の様子から始める。なんだか、イタリアあたりの古い映画の始まりのようだ。

大正から昭和、太平洋戦争が終わるまでの激動の時代を背景に楡家の三代にわたる個性的な人びとが織りなす繁栄から凋落までの壮大な物語をじっくり味わいながら読み進めよう。


 


やぐら女子から届いたはがき

2021-05-04 | A 火の見櫓っておもしろい



 松本市在住のKさんはやぐら女子。過日、妹さんと姪っ子さん2人とで松本市山辺地区の火の見櫓巡りをしたそうで、そのことを知らせるはがきが届いた。はがきには火の見櫓の写真が印刷されていたが、2基の火の見櫓の写真とほぼ同じアングルで私も写真を撮っていた。こんな偶然もあるんだ、とビックリ。
 
(再 左)松本市入山辺中村 3脚66型 撮影日2016.08.07
(再 右)松本市入山辺駒越 2脚(梯子)無無型 撮影日2016.08.07

この火の見梯子は隣の集落に火災の発生を知らせて応援を求めるためのものと思われる。拙著『あ、火の見櫓!』にも載せている(ただし別のアングルの写真)。


 


「おいしいにっぽんシリーズ」切手

2021-05-03 | D 切手

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 やぐら女子のKさんから届いたはがきに貼ってあった切手は初めて見るものだった。

2020年の1月15日に発売されたおいしいにっぽんシリーズの第1集の切手で福岡名物を載せたものの一枚、ということが調べて分かった。

切手にはたけのこと赤かぶがデザインされている。福岡県はたけのこの生産量が日本一、ということも、糸島市志摩芥屋地域でのみ栽培されている「芥屋かぶ」という福岡を代表する伝統野菜があるということも知らなかった。

それにしてもいろんな切手があるものだ。


 


火の見櫓のある風景

2021-05-02 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)東筑摩郡朝日村小野沢 3脚〇〇型 撮影日2021.04.27

 長野県の朝日村。村の中央を西から東に流れる鎖川が形成した河岸段丘の上段、下段にそれぞれ集落が点在している。下段にある旧役場庁舎は戦前に造られた木造の建物で(過去ログ)、新しい庁舎が上段にできる数年前まで使われていた。

旧庁舎の脇に火の見櫓が立っている。段丘の上下を繋ぐ学校坂(坂の上に小学校があるのでこのように呼ばれている)から、この火の見櫓のある風景を俯瞰することができる。

旧役場庁舎は登録有形文化財に必要な要件を満たすので登録も検討されたようだが、村は解体を決めた。いずれ解体されるだろうが、その際、火の見櫓も解体されてしまうかもしれない。そうなればこの魅力的な風景も凡庸な風景になってしまうだろう・・・。