和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

『 離るるるるるるるる 』

2024-11-19 | 詩歌
昨日のブログでの引用箇所で、名前を
浅野健二氏と打ち込んでしまったのですが、
浅野建二氏が正解でした。つい、パッと見て引用すると
こんな間違いをおこします。ひとのことは言えませんね。

さてっと、その浅野建二氏というのは、どういう方かと、
検索していたら、なあんだ、自宅の未読本にありました。

岩波文庫の
『わらべうた 日本の伝承童謡』と 『日本民謡集』。
どちらも、編者のひとりとしてあります。
どちらも、町田嘉章・浅野建二編とあります。
どちらも、買っても、未読のままひらいてもなし。
はい。まだひらきません。

そのまえに、岩波文庫
『 新訂 閑吟集 』がありました。
こちらは、浅野建二校注とあります。

う~ん。閑吟集も、私に読み頃をむかえたようです。
本棚から出してきて、とりあえず、パラパラと開く。
ここは、校注を読む楽しみ。ひとつ引用してみます。

 
 ただ人には、馴れまじものぢゃ 馴れての後(のち)に
      離るるるるるるるるが 大事ぢゃるもの  

はい。このあとの校注は、どうなっていたか。

「 『 ただもう、あまり人に馴れ親しむものじゃないわ。
    一度馴染んでしまったら、離れる時が大変ですもの 』
  という意で、過度の馴染みをいましめる歌。

  『隆達』の『 胸の間に蛍あるらん、焦(こが)るるるるるる、
        いつもよなよな憧(あこが)るる 』などと同様、
  『離るる』意を強調するために、
  『 る 』を重ねた唱法が特色。
  『 大事ぢゃる 』は、大事である、の転。

  人に馴れることをいましめる歌は、『古今集』恋五の
  『 見ても又またも見まくのほしければ馴るるを人は厭ふべらなり 』
  をはじめ、『宴曲集』巻四の
  『 留余波(とどまるなごり) 』『 行余波(ゆくなごり) 』を経て  
  近世歌謡にまで及んでいる。直接の継承歌に
  『 たんだ人には馴れまいものよ、馴れての後は
     るるんるる、身が大事なるもの、離るるが憂いほどに 』
           ( 松の葉・第一・裏組「賤(しず)」 )。
  下句は
  『 あたりの野辺の白真弓(しらまゆみ)、・・・・
    馴れぬほどは何にせん、馴れての後はそるぞくやしき 』
             ( 義経記・今様 )と同調。     」
                        ( p103~104 )


はい。ここだけを引用しただけで、私は満腹。
しばらくは、この岩波文庫3冊を身近に置いておきます。
たいていは、しばらくして、読まずに本棚へと戻ります。

今月目標は『日本わらべ歌全集』をパラリと各巻ひらく。


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