「日本わらべ歌全集23上」(柳原書店)は、「福岡のわらべ歌」。
子守り歌の箇所にある。解説から、まず引用してみます。
「 東北から九州まで、広く各県に分布する子守歌・・・
可愛さの表現に、星の数、松葉の数、砂の数をうたうのは、
『 閑吟集 』以来の常套だが、伝承は古く、限りなく
こまやかな母親の愛情が忍ばれる。
この系譜の歌で最もすぐれたものは、
静岡県沼津のものという浅野健二博士の指摘がある。‥」(p216)
はい。では、福岡と静岡の歌を順にならべてみます。
坊やはよい子だ ( ねかせ歌 )
坊やはよい子だ ねんねしな
坊やのかわいさ かぎりない
山では木の数 草の数
草の数より まだかわい
天にのぼれば 星の数
星の数より まだかわい
千本松原 小松原
松葉の数より まだかわい
( 行橋市行事 )
( p216 「日本わらべ歌全集23上・福岡のわらべ歌」 )
この子のかわいさ ( ねさせ歌 )
坊やはよい子だ ねんねしな
この子のかわいさ 限りなさ
天にのぼれば星の数 七里ヶ浜では砂の数
山では木の数 萱(かや)の数
沼津へ下れば千本松 千本松原小松原
松葉の数より まだかわい
ねんねんころりよ おころりよ ( 沼津市大岡 )
( p198 「日本わらべ歌全集11・静岡山梨のわらべ歌」 )
子守歌では「 ねかせ歌 」以外に子守が歌う「 守り子歌 」があり、
そちらも引用しておかなければバランスがとれないのでしょうね。
ここには、宮崎県の「 守り子歌 」から2つ。
いやだいやだよ ( 守り子歌 )
いやだいやだよ 泣く子の守りは
子からせつかれ 親からがられ(叱られ)
世間の人から にらまれる ( 串間市笠祇 )
雨の降る日と ( 守り子歌 )
雨の降る日と 日の暮れぐれにゃ
親の在所が なつかしや ハーヨイヨイ
この子(か)泣かんちゅて わしゃ守り来たが
いつも泣きべす 泣き暮らす ハーヨイヨイ
わしが死んだら 誰(だい)が泣いちぇくりゅか
浜の松の下で せみが鳴く ハーヨイヨイ
せみじゃござらん おっかさんでござる
おっかさん泣きゃんだ わしゃ死なん ハーヨイヨイ
( 延岡市島野浦 )
( 以上はp424 「日本わらべ歌全集25・熊本宮崎のわらべ歌」 )
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