和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

この子のかわいさ。

2024-11-18 | 詩歌
「日本わらべ歌全集23上」(柳原書店)は、「福岡のわらべ歌」。

子守り歌の箇所にある。解説から、まず引用してみます。

「 東北から九州まで、広く各県に分布する子守歌・・・
  可愛さの表現に、星の数、松葉の数、砂の数をうたうのは、
  『 閑吟集 』以来の常套だが、伝承は古く、限りなく
  こまやかな母親の愛情が忍ばれる。
  この系譜の歌で最もすぐれたものは、
  静岡県沼津のものという浅野健二博士の指摘がある。‥」(p216)


はい。では、福岡と静岡の歌を順にならべてみます。


        坊やはよい子だ    ( ねかせ歌 )

     坊やはよい子だ ねんねしな
      坊やのかわいさ かぎりない
     山では木の数 草の数
      草の数より まだかわい
     天にのぼれば 星の数
      星の数より まだかわい
     千本松原 小松原
      松葉の数より まだかわい
                   ( 行橋市行事 )
        ( p216 「日本わらべ歌全集23上・福岡のわらべ歌」 )



       この子のかわいさ    ( ねさせ歌 )

     坊やはよい子だ ねんねしな
     この子のかわいさ 限りなさ
     天にのぼれば星の数 七里ヶ浜では砂の数
     山では木の数 萱(かや)の数
     沼津へ下れば千本松 千本松原小松原
     松葉の数より まだかわい
     ねんねんころりよ おころりよ   ( 沼津市大岡 )

        ( p198 「日本わらべ歌全集11・静岡山梨のわらべ歌」 )


 子守歌では「 ねかせ歌 」以外に子守が歌う「 守り子歌 」があり、
 そちらも引用しておかなければバランスがとれないのでしょうね。
 ここには、宮崎県の「 守り子歌 」から2つ。

        いやだいやだよ   ( 守り子歌 )

     いやだいやだよ 泣く子の守りは
     子からせつかれ 親からがられ(叱られ)
     世間の人から にらまれる     ( 串間市笠祇 )


         雨の降る日と   ( 守り子歌 )

     雨の降る日と 日の暮れぐれにゃ
      親の在所が なつかしや ハーヨイヨイ
     この子(か)泣かんちゅて わしゃ守り来たが
      いつも泣きべす 泣き暮らす ハーヨイヨイ
     わしが死んだら 誰(だい)が泣いちぇくりゅか
      浜の松の下で せみが鳴く ハーヨイヨイ
     せみじゃござらん おっかさんでござる
      おっかさん泣きゃんだ わしゃ死なん ハーヨイヨイ
                   (  延岡市島野浦 )

  ( 以上はp424 「日本わらべ歌全集25・熊本宮崎のわらべ歌」 )  



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