映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

誰も守ってくれない  佐藤浩市

2010-08-19 05:28:30 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
「誰も守ってくれない」は若き友人より「お勧め映画」ということで観た。
殺人を犯した容疑者の家族にスポットをあて、家族をマスコミや興味半分の外野たちから守る刑事との関係を中心に描いていく。序盤戦より飛ばしていく展開にスピード感があり、途中だれることなく盛り上げていく。ネット社会特有の現象も取り上げ、レベルが高い映画と感じた。

幼い姉妹の殺害事件で未成年の容疑者が逮捕された。その瞬間から容疑者の家族は、マスコミや世間の目を避けるため警察の保護下に置かれた。中学生の妹こと志田未来の担当は刑事の佐藤浩市に任される。追うマスコミを避けながらホテル、刑事の自宅アパート、刑事の友人のマンションを転々とするが、どこへいってもマスコミに追われる。そうしている時に容疑者の母親がトイレに閉じこもったままでてこない。。。



逮捕された瞬間に加害者の家族は世間の冷たい目にさらされる。そうとはわかっていても、彼らがどうなるのかを考えてみたことはなかった。家族に姓を変えるように離婚届を出させたり、あっと驚くようなことを容疑者家族に警察が強いる。。
パパラッチのように追う報道機関、インターネット掲示板への書き込み、加害者だけでなく家族まで写真公開がネット上にされてしまう。世の中には愉快犯がごまんといるのである。加害者の家族も大変なんだなあと感じた。そういう意味でこの映画のもつ意義は大きい

ごちゃごちゃしたその構図を君塚監督が実にうまくまとめている。ネット時代の今だから描ける傑作である。若き志田未来は好演だと思う。その恋人役の男性が出てくるが、女性かと思っていた。女子高生で女友達が男友達のようにふるまうことかと思っていた。調べたらなんと男のようだ。これには驚いた。
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映画 人間失格  生田斗真

2010-08-14 21:40:58 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
あまりも有名な太宰治の小説「人間失格」を映画化した作品。

普通に教育を受けた人ならこの本の存在は知っているだろう。中学校の教科書に載っている「走れメロス」と違って、読み切った人は意外に少ない気がする。少年のころの自分も途中で何度も挫折した。その気持ちがよく理解できなかった。今は自虐的というよりも徹底的にいい加減な主人公はよくまあここまで堕ちたものかと思わせ、かわいいと感じる。
今回荒戸清次郎が監督ということで観た。前作『赤目四十八瀧心中未遂』はたぐいまれなる傑作であった。あの異常世界の表現は日本映画の最高峰に位置する映画と今でも思っている。それで期待した部分もあるが、正直あの作品ほどではなかった。男前の主人公生田斗真をはじめとして、荒戸作品の常連である大楠道代や寺島しのぶなど配役はイメージ通りだと思う。三田佳子にはちょっと驚いた。




津軽の大金持ちに生まれた主人公こと生田斗真は、姉だけでなく従兄の女の子をはじめとしてたくさんの女性に囲まれて育っていた。どことなく頼りない性質をもった彼は上京して絵画の道に入ろうとする。しかし、金持ちのボンボンであることで、周りからたかられる。そして酒、女に付き合わされる。カフェの勘定も全部もたされる。しかし、家庭の事情で東京にある豪邸は売られることになり、本郷の下宿に住むようになる。そこの大家さんの女性をはじめとして、カフェの女給寺島しのぶ、編集者の小池栄子や石原さとみなど次から次へと女ができる。売れっ子漫画家ではあるが、はてしなくぐうたらな生活に堕ちていくのであるが。。。

中学3年の娘の教科書には相変わらず「走れメロス」が載っている。魯迅の「故郷」も同様だ。30年以上たっても、教科書の内容が変わらないというのは国語教師たちの怠慢なのであろうか?「走れメロス」を読めと生徒たちに言っても、「人間失格」を読めとは言わないだろう。同一人物が書いたとは思えないから。
「走れメロス」で試験問題出したとして、文学史の問題で太宰治のほかの作品なんて出題はありそうだ。その時は「ヴィヨンの妻」か「人間失格」が選択肢にあげられるかも?でも、もし読めという中学教師がいたら、「こんな男になっちゃいけないよ」と道徳的な見地で言うのかもしれない。でもそれはもっと大人に言う話だろう。
ここまでいい加減になりきれればそれはそれで楽しいかな?

「ヴィヨンの妻」は松たか子に強くスポットをあてていた。同じようにいい加減な感じを主人公が演じていても違う感じがした。役者の格は浅野忠信の方がはるかに上だが、生田斗真の方が太宰らしい気がした。そうおもわせるところに主人公に素質があると私は考えた。それとも脚本、演出の勝利かな?
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サイドウェイズ  

2010-07-10 20:50:25 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
2004年のアレクサンダーペイン監督のアメリカ映画のリメイクである。ポールジアマッティ主演で男二人、女二人のアメリカ西海岸の旅先での出会いを描いたロードムービーであった。いい味を出していた。今回は日本人が演じる。
以前アメリカに留学をしていた男が親友であった俳優に会いに行き、元俳優と一緒にワイナリーめぐりをするロードムービーだ。

仕事も私生活も冴えない中年シナリオライターの道雄は、親友の大介の結婚式に出席するためカリフォルニアを訪れる。親友は元俳優で、今は妻になる女性の親のつてでレストラン経営者になっていた。結婚式前の1週間を使って2人でカリフォルニアのワイナリーを巡る旅に出るが、その途上で教え子ながらもかつて思いを寄せていた鈴木京香と再会する。その友人菊池凛子も一緒につるむが。。。。


主演の二人の男優小日向文世と生瀬勝久は最近の日本映画では欠かせない名脇役である。名前を知らなくても、二人の顔を見たことがある人は多いだろう。一方の女性二人のほうがメジャーかもしれない。でも男女対等の立場である。前の作品でのおっちょこちょいな場面をここでも同じように見せる。アリバイ作りの自損事故の場面は笑える。それにはこの主演男優二人は適役だったのではないか?

それでも元のほうが笑えたのかもしれない。ちょっと物足りなかったのかな?
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闇の子供たち 江口洋介

2010-05-19 20:00:37 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
タイを舞台にした臓器売買や幼児売春のどきついテーマの作品。
経済発展著しいと言われるが、実態はまだ裏社会に操られているタイを描く。



江口洋介は日本の新聞社のタイ支局に務める新聞記者である。日本では一定の年齢にならないと臓器移植が出来ないことにかこつけて、タイで裏臓器売買による移植がおこなわれている事実をつかむ。タイのNGO機関に勤める宮崎あおいとのかかわりの中で、脳死状態での臓器移植ではなく、生きたままでまだ10歳に満たない少年少女の臓器が提供されている事実をつかむ。タイの裏社会では、貧しいなる故売られてきた少年少女たちを幼年趣味のための売春宿にまずぶち込み、エイズになったらごみにして捨ててしまう。そうでないときは、臓器提供にさせられてしまう。。。。。


時おりニュース等で、一定年齢に満たない日本の子供の臓器移植を海外でおこなうという話が流れる。親も必死であろう。その親の気持ちを佐藤浩市が代弁する。でも生きている子供の臓器を提供されるのでもいいんですか?と宮崎あおいが親に訴える。複雑な気分である。昨年臓器移植法案が成立して、これからは日本でも事例が出てくることと思うが、過度にきびしい日本の世論を相手にそうやすやすと臓器移植はなされないであろう。この映画のテーマにあるような海外での臓器移植の話はこれからもある気がする。

幼児の売春とは変態な行為だけど、こういった話は昔からよくきく。
一定を超えた金持ちにこういう趣味があるとも聞く。もっとも有名なのは亡くなったマイケルジャクソンであろう。
でもむごい話だなあ。

観ていて「スラムドックミリオネア」や「シティオブゴッド」を思い出した。似たような世界である。いい映画というよりも、今もこういう話がまだ世界の片隅でおこなわれていると教えてくれるノンフィクションタッチの恐ろしい題材の映画だ。
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歩いても歩いても  阿部寛

2010-05-16 07:57:26 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
なんか奇妙な題名である。映画を観てしばらくして、家族の団欒時にいしだあゆみの「ブルーライトヨコハマ」のレコードをかける画面がある。その中で有名なサビ「歩いても~歩いても~」と歌詞が流れてくる。
どうもそのメロディが題名の基本になっているのかな?と思った。
祖父が亡くなったとき、はじめて身内を亡くした内孫の自分はとてもショックだった。そのとき流行っていたのがこの曲である。子供ながらこの歌が妙にしみた。そんな思い出もある。

「歩いても歩いても」はある家族の帰郷の一日を描いた作品である。
大きな起伏がなく、内容が家族の会話に集約される。
でも全てのセリフが味わい深い作品だ。


阿部寛と夏川結衣夫妻には子供が一人いるが、現在失業中。彼が夏に実家に泊まりに戻る。
実家は開業医であったが、年老いた医師の父原田芳雄は、妻樹木希林と二人で暮らしている。
本当は息子に後を継いでもらいたかったが、15年前に長男は他界、次男阿部寛にはその気はなかった。今でもそのことで父と息子にわだかまりがある。妻は漂々と余生を楽しんでいる。
そんな帰郷の日を描いていく。

最後に語られる話を言っても、映画の性質上問題ないであろう。
息子夫婦が帰郷したあと、数年たって原田芳雄が亡くなり、妻が後を追うことになっている。その墓参りのシーンである意味を持たせて映画が終わる。
自分も父母は一昨年亡くなって、同じようなパターンになった。
そんな話を聞きながら、自分に照らし合わせた。
この映画はストーリーを楽しむというよりも、この帰郷の話を自分に照らし合わせてみて
何かを振り返るといった感じである。

父子の異様な確執
母が息子にこっそり語る嫁の話、母のぴんとはずれたような会話
妻と夫が次の帰郷について語る話など
同じようなことってあったっけ

原田芳雄も阿部寛そして樹木希林もうまいなあ。
派手さのない映画だけど、妙にひきつけられる。
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蛇イチゴ 西川美和

2010-04-29 19:58:59 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
西川美和監督の処女作ようやく観れました。実にいい作品です。
現代社会でいかにもありそうな話で、家庭崩壊をうまく描いている。観るものを飽きさせない脚本は実に見事で最後の最後まで目を離せない展開であった。

小学校の教員であるつみきみほの家は実直なサラリーマンの父親とその妻、そして要介護の祖父の4人家族である。つみきみほには同じ小学校に働く婚約者がいて、自宅に招待する仲であった。ある日娘が父親に電話すると携帯電話が止められていた。父親の挙動も少しおかしかった。母親大谷直子は義父の介護に疲れかけていた。そんなある日義父が食事を喉に詰まらせて死んでしまう。葬儀を迎えたとき、つみきみほは兄と葬儀会場で偶然出くわす。兄は勘当状態で家を飛び出したはずだが。。。。。


話が実に良く練られている。
小学校の生徒同士の会話に介入する主人公の話、結婚承諾にうかがう娘と婚約者の挙動、ボケた義父がうろたえているのを覚めた目で見る嫁の姿、香典泥棒の話、借金取立てと回収者の話などなど。。。
二重三重にリアルな話が展開していく。どうしようもない家族である。
その家族を取り巻くいくつもの話のつくり方が実にうまい。舅の最期の話など女性的な見方で作られている話もなるほどとうなずけられた。

本当はもっと語りたいがネタばれになりそうなのでこの辺でやめる。
おもしろかった。
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剣岳 点の記 浅野忠信

2010-04-18 22:30:54 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
ようやく観ることができた。「剣岳 点の記」は実にすばらしい作品だ。
噂で聞いていたように画像が美しい。撮影条件は天候条件の良いときだけではないのでさぞかしたいへんであったろう。主演の浅野忠信や香川照之にはかなりハードだったと思う。



明治39年陸軍の測量部門では、正確な日本地図をつくるにはまだ未登頂の剣岳を早く測量するべしとの話がでていた。そしてその指令を測量官浅野忠信が受ける。以前陸軍に在籍していた役所広司が剣岳登頂に挑戦したが、夢かなわなかった。役所に相談した浅野は地元の山案内人香川照之と行動を共にするようにアドバイスを受ける。そして現地に行った浅野は香川と一緒に山歩きをして、剣岳の山登りの難しさを知ることになる。そのころ、仲村トオルをはじめとした日本山岳会の面々が剣岳の初登頂を目指していた。一度帰還した浅野は軍の上層部より、軍の面子をかけて初登頂するように指令を受けるが。。。。。



美しい画像である。スタッフと俳優とも本気で登頂して撮っただけに迫力が違う。一部合成と思われる画像もあるが、雪崩や落石のシーンだけに仕方ないであろう。本気で山から転げ落ちていくシーンにはこちらの方が心配になってくる。けが人も多数出たであろう。この映画に関しては下手な論評は加えられない。それくらいすごい作品だ。
カメラマン木村大作が監督しただけに映像のコンテについては満点だと思う。初めてで最後の映画だというが、ずっとこの新田次郎の作品に狙いを定めていたのであると思う。日本はやっぱり美しいというのを改めて感じさせる。

明治時代の光景が愛知県の明治村で撮られたのは、昨年夏行ったばかりなのですぐわかった。陸軍測量部の建物は北里研究所跡の移築の建物だと思う。夏目漱石の旧家の建物も使われていたと思う。それだけにセットでないリアル感もあった。
音楽はひたすらヴィヴァルディの「四季」である。効果的に使われていたと思う。でもこの作品で日本アカデミー賞音楽賞をもらったのはどうかと思う。あくまでヴィヴァルディを使っただけなのであるから主旨は違うと私は思う。こんなことをすると格を落とす。

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ディアドクター 

2010-03-21 13:56:46 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
西川美和監督による田舎の偽医者の話である。鶴瓶が淡々とした好演で、がん患者を演じた八千草薫もベテランらしい演技、その年だからできる枯れ切った円熟味を見せる。世間の評価が高すぎでは?と思わせる部分もあるが悪くはない。ラスト10分の作り方もハラハラさせる。

いきなり田舎の診療所に警察がやってくるシーンが映る。村の診療所の医師鶴瓶がちょっと出てくるといったきり、いなくなってしまったのだ。
そのあと診療所に新米医師が真っ赤な外車のオープンカーに乗って着任するシーンに戻る。携帯電話で会話をしながらの運転でうっかり車を激突させる。ムチ打ちになって気がつくと診療所の老人たちの中に寝ていた。彼は村の診療所で鶴瓶や看護士の余と一緒に働くことになる。そのあとは鶴瓶の村の老人たちへの診察ふりを次から次へと映し出していく。滑稽なシーンが続く。そして村の住人の一人八千草薫が患者としてやってくる。貧血気味との話であった。でも胃の調子が良くない。病理検査をしてみると。。。。



偽医者って本当にできるのかな?診療報酬をもらうのに、医師免許証の提示とかないのかな?確か保健所の届出にも医師免許の提示もあったな。あれってコピーだったかな?原本だったかな?保健所がそもそもない田舎の村だったら訳もわからず、こんなことってあるのかな?なんてことを考えながら観ていた。映画はフィクションだけどあまりにもありえないことだと気持ちがさめてしまうことがある。

でもこの映画は偽医者鶴瓶と患者八千草薫の感情のふれあいの映画だと途中で思い始めて後半から違う感情を持って観ていった。鶴瓶と新米医者との会話が黒澤明監督の「赤ひげ」での三船敏郎と加山雄三の会話を思わせた。ただ大きな違いは鶴瓶が偽医者であること。それによるジレンマが会話によくあらわれ、脚本の巧みさを感じた。そう考えながら結末に向けてのうまいつくり方にもうならされた。
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ゆれる  オダギリジョー

2010-03-08 20:17:50 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
オスカー監督賞は女流監督の手に渡った。それはそれでよかったと思う。観ていないがかなり激しいシーンがありそうだ。よくこなしたものだ。日本でも女流監督が頑張り始めた。若手ナンバーワンは誰もが西川美和さんをあげるであろう。脚本も自力で書く。この「ゆれる」も文芸作品を読むような奥深さがある。傑作というべきであろう。



東京で若手写真家として名を売っているオダギリジョーが故郷の山梨に母親の一周忌に出席するために帰ってきた。葬儀にも来れずにいたので父親の伊武雅刀は複雑な心境であったが、家業のガソリンスタンドを切り盛りする兄の香川照之は温かく迎えていた。スタンドには真木よう子というオダギリの幼馴染が働いていた。兄香川は想いをよせているようだ。でもその夜、真木をオダギリが家まで送っていった。二人は旧交を深めた。法事が終わった翌日、香川とオダギリと真木で吊り橋のある渓流地にドライブに行く。オダギリが木陰で写真を撮っているとき、ふと吊り橋を見た。なんと真木が吊り橋から転落しているではないか。。。。。

このあとこの転落が事故か、香川が意図的に転落させたのかということでの話が続く。香川とオダギリとの精神の葛藤に、父親伊武と父親の兄弟である弁護士蟹江がからんでいく。

映画を通じて途中だれる場面がない。画面から目をはずせない。法廷の場面も出てくるが、法廷劇の要素が強い訳ではない。オダギリと香川の二人の心理描写をセリフだけでなく、映像に思いを込めて伝えていく。二人の演技は実に素晴らしい。表情だけで気持ちが伝わってくる。沈黙の瞬間をうまく作る。良く練られた西川美和監督の演出と脚本には感嘆する。

詳細はいえないが、終わり方が非常に素敵だった。はっとした。



西川美和さんの写真をみると、すごく素敵な人だ。まだ若い。すごい才能にただただ感心。文芸的なセンスもかなりだと思う。これからずっと追いかけていきたい。
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アマルフィ 天海祐希

2010-03-07 12:13:00 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
会社のアルバイトに来ているオバサンが「この映画景色が良いんで2回見ちゃいました。」それが「アマルフィ」だ。そういう映画の観方って悪くはないと思う。イタリアローマと世界遺産の町アマルフィを中心とした美しい情景をバックに、織田裕二と天海祐希を中心に誘拐をめぐるサスペンスを描く。

織田裕二は外交官、G8が開催されるイタリアローマでのテロの動きがあり派遣される。イタリア大使館で平田満演じる外務大臣を警護する陣頭指揮に当たっていた。同じころクリスマス休暇で天海祐希は娘を連れてローマにきていた。そんな時大使館にその子供が行方不明になっているという連絡が入る。天海祐希と大使館の新米戸田恵梨香が電話に出て対応するが、うまくいかず電話を受けた織田裕二が代わると天海の娘が誘拐されていることがわかる。男性の声に「警察か?」と聞く犯人に対して思わず「父親だ」と話した織田が外交官の職務に関係ない事件に深く関わるようになるが。。。。



身代金の受け渡しをめぐって、犯人が「この場所に来い」と次から次へと場所を指定する。誘拐映画でよくあるパターンだ。それが有名な観光名所ばかりである。古くは「ローマの休日」でヘップバーンが市内名所をあちらこちら行ったがごとく、有名観光名所を映す。確かに勧めてくれたオバサンのいうとおりだ。しかし、脚本の深みがない。多分場当たり的につくられた映画ではなかろうか?そのためか脚本のクレジットがない。

そうなると割り切って観光映画として観るべきであろう。古くはデイヴィッドリーン監督の「旅情」がベニスの美しい情景をバックに映画をつくられたのとさして変わらないと考えてもいいわけだ。でもお金がかかっている割にこの映画の映像コンテは今ひとつきれいでない。撮影が良くないのであろうか?人間と情景の融合がうまくなされていない印象を受ける。ものすごく画像がきれいという印象はなかった。

以上は個人的な感想である。
勧めてくれたオバサンには情景がきれいだったといっておこう。あと天海祐希がすてきだったと。。。。
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プラスティック・シティ  オダギリ・ジョー

2010-02-13 20:54:38 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
ブラジルを舞台にしたオダギリ・ジョー主演の中国映画である。ストーリーがちょっとハチャメチャでわかりづらい。それぞれに適役と思える配役ながら残念だ。飲んでいる席でのBGMみたいに見ている分には画像的には良いのだが、キルビルや日本のヤクザ映画やいくつかの映画のオマージュの香りがある。



オダギリジョーはブラジル日系人の子として生まれながら、親と別れ中国系マフィアのアンソニーウォンの子として育てられる。ブラジルのサンパウロで裏筋の仕事をしていたが、対抗勢力との対決に次第に巻き込まれていくが。。。。

オダギリジョーは、ビートたけし主演監督の「血と骨」にヤクザになった息子として戻ってきて、たけしとものすごいケンカをするシーンがあった。これは実に迫力あるシーンだった。だからこの作品の役柄はあっていると思う。ポルトガル語のセリフが多く、日本語から逸脱した世界だ。よく頑張ったと思う。ブラジル美人女優のものすごく肉感的な女優との絡み合いはうらやましい限りだ。よく頑張ったご褒美といったところだろう。
アンソニーウォンの表情が良い。風格があり、いかにもインテリヤクザによくいる顔だ。

でもわかりづらかったなあ。

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60歳のラブレター 中村雅俊

2010-02-09 07:14:58 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
中村雅俊、原田美枝子夫妻を中心に3組のカップルで演じる話である。
3つの別々のカップル話が少しづつ接近していく。
中年を大きく超えようとしている自分にはこういった設定の話がつい気になる。
しかし、先を読ませてしまう脚本が物足りない。中村雅俊にかかわる仕事の話も現実にありえないような話でしらけてしまう。映画としてのビジュアル的な魅力もない。
個別にはイッセイ尾形夫妻、戸田恵子はそのなかでもがんばっている。

中村雅俊は建設会社の専務だった。60になり会社を退き、愛人が経営するベンチャー企業に職を変える。妻原田美枝子とはお見合い結婚、文句も言わず30年つきあった彼女だが二人は別れることになった。その原田が別れて家政婦として出た家が翻訳家戸田恵子の家である。
戸田は独身。今は医師井上順から依頼を受けて医療の論文を訳している。井上順は妻に先立たれた医師。現在は勤務医だ。井上は戸田に関心を持っている。
その井上のところに診察にきているのがイッセイ尾形夫妻である。尾形の魚屋は中村夫妻の所に 出入りしている。ビートルズ好きだった尾形が作っていたバンドのファンが今の妻である。二人は魚屋をやっている。尾形は糖尿の気があり、定期的に井上の検診を受ける。

そういった前提状況で映画の仕掛けがそれぞれにはいっていく。
その仕掛け自体はおかしくないのだが、こうなるだろうと思ったら本当にそうなってしまう。それがなんか物足りない。監督も脚本家も実社会を良く知らない人だと思う。映画はフィクションであるのは当然だ。しかし、綿密な取材があった上でその人物像を描くべきだと思う。例えば今村昌平監督はある一人の脇役の性格をつかむためにノート3冊分取材したという。そういう姿勢がまったく感じられない。稚拙さを感じる。

中村雅俊は普通。ビジネスでの設定があまりに不自然すぎるし、題名にあるラブレターの設定もありえなそうなこと。そこが残念。その妻原田美枝子は徐々にうまい役者になっている。我々の世代は肉感的だった彼女には若き日ずいぶんとお世話?になった。今は普通の主婦が無難にこなせる役者である。井上順はもう一歩。戸田恵子はいつもどおり個性的でうまい。
でもイッセイ尾形が妻のためにギターでビートルズのミッシェルを歌う場面はちょっとぞくっとした。心温まるシーンであった。

題材が多く映画としては長くは感じさせなかった。でもわざとらしさが物足りないなあ。
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レイン・フォール  椎名桔平

2010-01-15 21:27:15 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
東京を舞台にしたアクション映画。椎名桔平が米軍の秘密機関出身の殺し屋を演じる。対するCIAの東京支局長にゲイリー・オールドマンが扮する。監督がオーストラリア人で日本の作品というべきなのかよくわからないが、主演二人は頑張っている。

父親が日本人で母親がアメリカ人というジョン・レインこと椎名桔平はアメリカ籍で、米軍で秘密工作員の教育を受けたことのある殺し屋である。特殊なオーダーを請け負う彼を追うのは、CIAの日本支局長ゲイリー・オールドマンである。国土交通省の幹部白石は機密のチップを持っていると見られている。公共事業の予算の配分を担っている国土交通省の重要データだ。その白石が狙われていることをCIAが知り、彼の後を追う。地下鉄の中で心臓発作を起こして倒れる。後ろには椎名がいた。CIAのメンバーもそこにいたが。。。。。

ゲイリー・オールドマンのCIA日本支局長はさすがという感じ。支局の中は東京中の監視カメラを見ることができる。そこから椎名を追う出先の支局員に指示をだす。大声で的確に指示を出していく場面に臨場感を感じさせる。彼を起用したのは一点豪華主義というべきだろうが、彼が公安系の仕事をさせると映画が引き締まる。個人的に好みの「レオン」「ダークナイト」いずれも良い働きを見せる。好きな俳優だ。

椎名桔平もいい。彼自身殺し屋を連想させる独特のムードを持っている。ここではそれが生かされる。年をとったが、演技は円熟の域に達する寸前だ。今後も彼を追いたい。
自然死と見せかけて殺された白石の長女を演じるのが長谷川京子である。これはもう一歩かな?不自然な感じだ。ビジュアルで選んだであろうが、ちょっと大根過ぎた。残念
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チームバチスタの栄光  

2009-12-20 07:25:01 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
心臓手術でバチスタというのがあるらしい。いったん心臓を止めておこなう手術だ。成功率60%なのに26戦連戦連勝だった病院のグループが3連敗を喫していた。何でなのだろうと心療内科の医師竹内結子に調査依頼が下るという話である。2時間の映画だが、1時間半程度犯人が分かりづらくなっている。そういった意味では楽しめるミステリーだ。

ある大学病院でいつも風変わりな患者を相手にしている心療内科医師竹内結子に、病院から依頼があったのはバチスタ心臓手術の失敗が人為的なものなのかどうかである。執刀医師、助手、病理医、麻酔医、検査技師、看護師と一人一人竹内が面談する。抜群の腕前を誇る執刀医吉川浩司はアメリカで鍛えて帰ってきたバリバリだ。一通り調べたがよくわからない。そんな時、疑問を感じて病院に乗り込んできたのが、やり手の厚生労働省の技官阿部寛である。彼はわざと怒らせたりしながら、相手の本音を引き出そうとメンバーを面接するが。。。。。。

仕事で医者とかかわることが多い。最近の医者のルックスの傾向をよくつかんで配役をしている印象だ。むしろ阿部寛の厚生省職員の方に難があるかも?竹内結子のような美人医師も最近は目立つようになって来た。吉川晃司のタイプは一番多いタイプだ。

ミステリーには最初に犯人が分かるパターンと、最後まで引きずるパターンがある。どちらかというと最後まで引きずる方が好きだ。「飢餓海峡」は名作といわれるが、犯人が分かる時間が早すぎる。この映画くらいが良い気がする。なかなか見る機会がなく、テレビ版も見なかった。でもこの映画はそれなりに楽しめた。
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不毛地帯

2009-10-24 19:56:25 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
不毛地帯がテレビで始まった。2回目を終えて、早くも戦闘機選定の話に入ってきた。最初にこの小説を読んだのは、大学2年生のときだった。スケールの大きさに圧倒された。政財界が裏で絡み合う姿に驚かされた。ずっと書棚においてある本だ。

元日本軍大本営参謀だった瀬島龍三さんをモデルにしているのは、あまりに有名である。瀬島さんは商社マンとして、伊藤忠商事の会長まで上りつめた後も、中曽根政権のブレインとして政府直轄の審議会の委員等を務めた。
この小説を読んだとき、なんと商社マンはかっこいいものかとあこがれた。
主人公のライバル商社マンの鮫島は、国会証人喚問で有名な日商岩井の海部八郎元副社長をモデルにしている。読んでいると、むしろ行動力あふれる鮫島の方が好きになった。
残念ながら、大学卒業時には、実家の家業に近い仕事を選ぶのが家族も喜ぶかと思い、商社マンの道はあきらめた。結局は実家も商売をやめてしまって、そのままサラリーマンを続ける今、あらためてあこがれる世界だ。

シベリアでの捕虜生活は第一回で終えて、第二回からは商社マンとしての主人公の話にしている。シベリアでの話はあまりに暗すぎるので、これはこれで良いのかもしれない。
唐沢寿明は商社マンというイメージは強いが、元陸軍参謀とするとイメージが違うかもしれない。でも他は適役がそろっている。社長の原田芳雄や里見常務の岸部一徳はまさに適役だ。岸部は元タイガースのイメージから完全に脱却した。いつも期待にこたえる演技を銀幕で繰り広げている。小雪の秋津千里はちょっと違うかなという気がするが、これからに期待である。天海祐希の銀座のママは実にかっこいい。こんなに良い女がいるなら多少高くても通ってしまうかもしれない。意外に水商売系の役は少ない彼女だったが、これから増えるかもしれない。同じように水商売役が似合う米倉涼子と競わせるような役とかやったら面白いだろうなあ。

これから先が実に楽しみだ。
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