映画「Coda コーダあいのうた」を映画館で観てきました。
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「コーダ」はサンダンス映画祭で人気を集めた作品だ。いくつかの映画の前に観るつもりであったが、お決まりの健全なストーリーという評価もあり後回しにした。でも、先に観た映画には容認できないキャラクターが並び少々疲れ気味になっていた。ここではまったく真逆で応援したくなる人たちばかりである。
といっても、規範逸脱の話に満ち溢れている。コンプライアンスとは無縁の人たちだ。それなのに登場人物に感情移入してしまうのには女性監督のシアン・ヘダー監督の手腕を感じる。以前「タルーラ」というエレンペイジ主演の赤ちゃん泥棒の映画を見たことがある。それも良かった。
さわやかな映画だ。
耳が聴こえない障がい者ばかりの家族なのに暗さはまったく感じない。家族愛もわざとらしくない。心が和らぎ快適な時間を過ごせた。
海辺の町に暮らす17歳のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、漁業を営む両親と兄の4人家族の中で1人だけ耳が聴こえる。毎朝漁船に乗って家業を手伝っている。獲れた魚を市場に卸す通訳の役も背負っている。
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新学期が始まると、憧れていたマイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)と同じコーラス部に入部する。顧問のV先生(エウヘニオ・デルベス)はルビーに音楽の才能を見いだし、秋のコンサートでマイルズとデュエット曲を歌うことになる。進学するつもりはなかったのに、名門バークリー音楽大学を勧められてV先生からレッスンを受けることになる。
父兄は漁獲量制限などうるさい漁協と対決して自ら販路を作って魚を売ろうとする。それにはルビーの力が必要だ。しかも海上警備隊に父と兄が捕まったり、レッスンにかかりっきりにはなれずV先生から遅刻連発でクビ宣告を受けるのであるが。。。
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ルビー演じるエミリア・ジョーンズに心がひかれる。普通の家庭とは違う。3人耳が聞こえない家族がいて、3人の代わりにやらなければならないことがたくさんある。普通の高校生とは違うのだ。でも、困難な状況であってもルビーはいつもめげない。そんなルビーに応援歌を歌いたくなるのだ。久々に好きなキャラクターに出会えた。
⒈海と池
映画がはじまり、大画面に航行している船から見る海の映像が映る。オオーと唸ってしまう。漁のシーンもダイナミックだ。これだけで映画館で観るべき映画だと感じる。父母と兄は耳が聴こえない。魚が獲れても売り渡すのは通訳に入るルビーの仕事だ。そんなルビーは家族のために自分が犠牲にならざるを得ないと自覚している。大学進学なんてありえないのだ。
そんなルビーにとっての気晴らしの場所が湖とも池ともなんとも言えないところだ。崖から飛び込む。一緒にデュエットをすることになったマイルズと泳ぐシーンは青春の響きを感じさせて清々しい。透き通った水のようにピュアな心が流れている。初老の域に入ってこんな高校生にひかれることが多くなった。
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⒉ちょっとおかしいコーラス部の顧問教師
ルビーが所属するコーラス部の顧問教師V先生がいい味だしている。映画に深みを与える。メキシコ系でラテン系の匂いを出す。少し見て、「シャルウィーダンス」でラテンダンスを踊る竹中直人が登場した時の髪型を連想する。宮本亜門の雰囲気も若干残っている。
ルビーは歌が上手いのになぜか自信がない。コーラス部に入っていても人前で歌いたがらない。そんなルビーだけど、歌声を聴いただけで、V先生は才能を見出す。男子高校生のマイルズとデュエットのコンビを組ませるのと同時に、個別レッスンを引き受ける。V先生の母校バークリー音楽院を目指せというのだ。こんな面倒見のいい教師はそうはいないだろう。キャラクターに魅かれる。
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⒊ジョニミッチェル
ピアノレッスンでV先生のピアノで歌うのはジョニミッチェルの歌だとすぐわかる。先生はジョニミッチェルの歌だからちゃんと歌えよと言う。世の中に反戦の空気が高まる真っ只中1968年に歌った「青春の光と影」が引用される。この名曲を聴いて、60代後半から70代の人たちの方は違った感動を持つであろう。
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⒋愛情あふれる家族とおかしなシーン
デュエットを練習するのにルビーの家にマイルズが来て2人で歌っていると、きしむ音となんかおかしな音が聴こえる。ルビーは両親を疑い、すぐさま2人のベッドルームへ行くとメイクラブをしている最中だった。両親は身体がかゆいので通訳係のルビーを連れて病院に行くと、インキンタムシだからSEXを控えるようにと言われ困るなあという顔をしていたばかりの話だ。
セックスレス夫婦の真逆の話だ。まさに夫婦生活が円満で、仲がいい。そんなルビーの家は幸せに満ち溢れる。この映画の好感度が高いのも素朴で裏がない家族全員に魅かれるからだろう。
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⒌無音の効果
「ドライブマイカー」で主人公の西島とドライバーが雪の北海道に向かうシーンがある。その際、完全な無音となるシーンがある。いい感じだった。そして、「ゼログラビティ」でサンドラブロックが宇宙を彷徨うシーンでも無音になった。この無音の感覚は映画館でしか味わえない醍醐味だ。
それを「コーダ」でも体験できた。どこで体験するかは観てのお楽しみだが、耳が聴こえず娘の才能がわからない父親にある示唆を与える。素敵なシーンだった。
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「コーダ」はサンダンス映画祭で人気を集めた作品だ。いくつかの映画の前に観るつもりであったが、お決まりの健全なストーリーという評価もあり後回しにした。でも、先に観た映画には容認できないキャラクターが並び少々疲れ気味になっていた。ここではまったく真逆で応援したくなる人たちばかりである。
といっても、規範逸脱の話に満ち溢れている。コンプライアンスとは無縁の人たちだ。それなのに登場人物に感情移入してしまうのには女性監督のシアン・ヘダー監督の手腕を感じる。以前「タルーラ」というエレンペイジ主演の赤ちゃん泥棒の映画を見たことがある。それも良かった。
さわやかな映画だ。
耳が聴こえない障がい者ばかりの家族なのに暗さはまったく感じない。家族愛もわざとらしくない。心が和らぎ快適な時間を過ごせた。
海辺の町に暮らす17歳のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、漁業を営む両親と兄の4人家族の中で1人だけ耳が聴こえる。毎朝漁船に乗って家業を手伝っている。獲れた魚を市場に卸す通訳の役も背負っている。
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父兄は漁獲量制限などうるさい漁協と対決して自ら販路を作って魚を売ろうとする。それにはルビーの力が必要だ。しかも海上警備隊に父と兄が捕まったり、レッスンにかかりっきりにはなれずV先生から遅刻連発でクビ宣告を受けるのであるが。。。
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ルビー演じるエミリア・ジョーンズに心がひかれる。普通の家庭とは違う。3人耳が聞こえない家族がいて、3人の代わりにやらなければならないことがたくさんある。普通の高校生とは違うのだ。でも、困難な状況であってもルビーはいつもめげない。そんなルビーに応援歌を歌いたくなるのだ。久々に好きなキャラクターに出会えた。
⒈海と池
映画がはじまり、大画面に航行している船から見る海の映像が映る。オオーと唸ってしまう。漁のシーンもダイナミックだ。これだけで映画館で観るべき映画だと感じる。父母と兄は耳が聴こえない。魚が獲れても売り渡すのは通訳に入るルビーの仕事だ。そんなルビーは家族のために自分が犠牲にならざるを得ないと自覚している。大学進学なんてありえないのだ。
そんなルビーにとっての気晴らしの場所が湖とも池ともなんとも言えないところだ。崖から飛び込む。一緒にデュエットをすることになったマイルズと泳ぐシーンは青春の響きを感じさせて清々しい。透き通った水のようにピュアな心が流れている。初老の域に入ってこんな高校生にひかれることが多くなった。
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⒉ちょっとおかしいコーラス部の顧問教師
ルビーが所属するコーラス部の顧問教師V先生がいい味だしている。映画に深みを与える。メキシコ系でラテン系の匂いを出す。少し見て、「シャルウィーダンス」でラテンダンスを踊る竹中直人が登場した時の髪型を連想する。宮本亜門の雰囲気も若干残っている。
ルビーは歌が上手いのになぜか自信がない。コーラス部に入っていても人前で歌いたがらない。そんなルビーだけど、歌声を聴いただけで、V先生は才能を見出す。男子高校生のマイルズとデュエットのコンビを組ませるのと同時に、個別レッスンを引き受ける。V先生の母校バークリー音楽院を目指せというのだ。こんな面倒見のいい教師はそうはいないだろう。キャラクターに魅かれる。
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⒊ジョニミッチェル
ピアノレッスンでV先生のピアノで歌うのはジョニミッチェルの歌だとすぐわかる。先生はジョニミッチェルの歌だからちゃんと歌えよと言う。世の中に反戦の空気が高まる真っ只中1968年に歌った「青春の光と影」が引用される。この名曲を聴いて、60代後半から70代の人たちの方は違った感動を持つであろう。
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⒋愛情あふれる家族とおかしなシーン
デュエットを練習するのにルビーの家にマイルズが来て2人で歌っていると、きしむ音となんかおかしな音が聴こえる。ルビーは両親を疑い、すぐさま2人のベッドルームへ行くとメイクラブをしている最中だった。両親は身体がかゆいので通訳係のルビーを連れて病院に行くと、インキンタムシだからSEXを控えるようにと言われ困るなあという顔をしていたばかりの話だ。
セックスレス夫婦の真逆の話だ。まさに夫婦生活が円満で、仲がいい。そんなルビーの家は幸せに満ち溢れる。この映画の好感度が高いのも素朴で裏がない家族全員に魅かれるからだろう。
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⒌無音の効果
「ドライブマイカー」で主人公の西島とドライバーが雪の北海道に向かうシーンがある。その際、完全な無音となるシーンがある。いい感じだった。そして、「ゼログラビティ」でサンドラブロックが宇宙を彷徨うシーンでも無音になった。この無音の感覚は映画館でしか味わえない醍醐味だ。
それを「コーダ」でも体験できた。どこで体験するかは観てのお楽しみだが、耳が聴こえず娘の才能がわからない父親にある示唆を与える。素敵なシーンだった。
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