映画とライフデザイン

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映画「激怒」 川瀬陽太&高橋ヨシキ

2022-08-31 07:01:20 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「激怒」を映画館で観てきました。


「激怒」は園子温とともに狂気の傑作「冷たい熱帯魚」の脚本を書いた高橋ヨシキの監督作品である。ゴールデン街での知人が出演していることに加えて刑事役の川瀬陽太の武蔵野館でのデカイ看板が気になりチョイスする。強引な捜査をするはぐれ刑事が活躍するイメージで映画を観に行った。ところが、予想外の展開に流れていき驚く。

架空の街富士見町で、極悪犯を追いかけ強引な捜査をしている深間刑事(川瀬陽太)がゴミ屋敷立退に関わる事件対応で死者が出ていったん退く。そして、怒りを鎮める治療を受けに米国に向かうが、数年ぶりに帰国すると街の悪は一掃され健全な状況になっていた。そこには自警団の存在が関わっているという話だ。

バリバリのBC級バイオレンス映画なのに、普通と違う。
もともと、市民の意識が高い富士見町で、自警団が力を持つようになる。目の付け所はおもしろい自警団が存在する映画はいくつか観たが、ここまでクローズアップするのは珍しい。BC級ムードがぷんぷんして、映画としてのレベルは高いとは言えない。でもイヤじゃない。


富士見町って名前はどうして?と思ったら、履歴をみたら高橋ヨシキは暁星高校出身のようだ。映画の町と雰囲気は違うけど、暁星は千代田区富士見にある。たぶん発想の出所はそうだろう。

⒈自警団
暴力団(マフィア)が警察と癒着してという映画によくある構造にアナロジーを感じる。富士見町の自警団は暴力的だ。裏には、町の有力者と警察幹部の癒着がある。それまで、その日暮らしのチンピラのように夜の盛り場でブイブイ言わせていた連中が、自警団に手ごめにされる。「安全、安心の町富士見町」のキャッチフレーズだ。最近は影を潜めた自粛警察にも通じる。

法律上の「自力救済」という言葉がある。法律による手続きを踏まず、強引に実力行使を図るということだ。時代劇によく出てくる仇討ちは現代で言えば自力救済だ。心情的には自力救済する立場の味方になりがちだがアウトだ。この映画で自警団が行なっている行為は合法に見せつけながら明らかな自力救済である。


⒉BC級俳優と川瀬陽太
ただ、BC級俳優が勢ぞろいで、ハチャメチャに暴れるのも見ものだ。
いきなり「岬の兄妹」で共演した松浦祐也、和田光沙コンビが、近隣に迷惑をかけているゴミ屋敷の住人役で出てきて思わず吹き出してしまう。


主演の川瀬陽太は色んな映画にでずっぱりだ。由宇子の天秤」「夜を走るなどの出演作のリストを見ると、刑事役をやっている作品もある。顔つきからして、刑事役は似合っている。

夜を走るの主演の足立智充がストリップバーの絡み酔客でコテンパンに川瀬陽太にぶっ飛ばされる。他にもあいつあの映画で見たなあというのが大勢出てくる。知人も出てきた。BC級映画といっても、演技に劣るわけではない。たぶん低予算だろう。安いギャラでも出てやろうとする心意気はそれぞれに十分感じられる。
コメント
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