映画「仕掛人 藤枝梅安」を映画館で観てきました。
映画「仕掛人 藤枝梅安」は池波正太郎の原作の映画化で、豊川悦司が藤枝梅安を演じ、天海祐希と片岡愛之助、菅野美穂という主演級の共演と豪華キャストである。予告編に夜のムードの表現がうまい大映時代劇のテイストを感じる。
藤枝梅安は今も五反田に現存する雉子神社のそばに住むという記述がある。自分の初参り、七五三はいずれも雉子神社である。今は、ビルの中に囲まれている神社だ。しかも、池波正太郎はわたしの品川の家から徒歩10分程度のところに住んでいた。藤枝梅安に何かのご縁を感じて、事前情報なく映画館に向かう。
品川で鍼医者を営む藤枝梅安(豊川悦司)には隠密に殺しを請け負う裏稼業があった。その元を依頼人の仲介者(柳葉敏郎)が訪れて、料理屋万七の女将を殺してくれという依頼が来た。梅安には以前、前の女将を始末したことがあった。偵察のため万七に行くと、女中のおもん(菅野美穂)が相手をしてくれ、聞き出すためにおもんと深い仲になる。その場に女将(天海祐希)が挨拶に来ると、梅安は既視感に襲われる。
これが実に良かった。
何はともかく、天海祐希の存在感に圧倒された。現代劇にいくつか出演しているが、これほどの当たり役はないだろう。年相応に貫禄十分で、色気もある。セリフの間の取り方も絶妙だ。登場人物が並ぶポスターを見て、てっきり天海祐希が仕掛け人の一人だと思っていた。実は、最重要登場人物であるが、ネタバレになるのでここでは言わない。もちろん豊川悦司の冷徹な仕掛け人もさすがのうまさである。殺し方は痛快だ。長身の天海祐希なので、主役は豊川悦司しかないでしょう。
一流どころの俳優が適役に恵まれただけで、映画の質がグッとあがる良い例であろう。もちろん、梅安の相棒片岡愛之助も彼のキャラクターを生かせる役だし、梅安の自宅の女中である高畑淳子が味のあるコミカルな演技をする。最初に映る依頼人役の中村ゆりが、ここ最近の作品同様に実にいい女だった。
登場人物は割と多い方だが、状況がわかりやすく混乱しない。2時間以上まったく退屈しなかった。法律用語で言う双方代理になりかねない展開に進みそうになったり、情に揺らいでくる部分もある。仕掛人がきっちり職務を果たすと思っても、いったいどうなるんだろうと思う展開に進む。バックの音楽もスリリングな雰囲気を盛り上げる。予想外の掘り出し物であった。
この映画もある意味悪女映画の一種である。歴史的に悪女映画というと、女性の狂乱を招くマイケルダグラスの「危険な情事」やクリントイーストウッド「恐怖のメロディ」の類はある。それよりも、美人が登場する保険金殺しにからんだビリーワイルダー監督の「深夜の告白」の匂いがある。
天海祐希は料理屋の女将だけど、けっしてイヤな女ではない。裏があっても、銀座の高級クラブでよく見る涼しい顔をして店を捌くやり手美人ママに近いのではないか。客にいい女中紹介しますよと天海祐希の女将が言って、「女将がいいよ」と客に言われた時にかわす言葉がまさにやり手ママのセリフそのものだ。時代を現代に移して松本清張のミステリーに登場するようなクラブのママ役もやらせてみたい。
エンディングロール終了後、オマケがあるのでご注意を。
映画「仕掛人 藤枝梅安」は池波正太郎の原作の映画化で、豊川悦司が藤枝梅安を演じ、天海祐希と片岡愛之助、菅野美穂という主演級の共演と豪華キャストである。予告編に夜のムードの表現がうまい大映時代劇のテイストを感じる。
藤枝梅安は今も五反田に現存する雉子神社のそばに住むという記述がある。自分の初参り、七五三はいずれも雉子神社である。今は、ビルの中に囲まれている神社だ。しかも、池波正太郎はわたしの品川の家から徒歩10分程度のところに住んでいた。藤枝梅安に何かのご縁を感じて、事前情報なく映画館に向かう。
品川で鍼医者を営む藤枝梅安(豊川悦司)には隠密に殺しを請け負う裏稼業があった。その元を依頼人の仲介者(柳葉敏郎)が訪れて、料理屋万七の女将を殺してくれという依頼が来た。梅安には以前、前の女将を始末したことがあった。偵察のため万七に行くと、女中のおもん(菅野美穂)が相手をしてくれ、聞き出すためにおもんと深い仲になる。その場に女将(天海祐希)が挨拶に来ると、梅安は既視感に襲われる。
これが実に良かった。
何はともかく、天海祐希の存在感に圧倒された。現代劇にいくつか出演しているが、これほどの当たり役はないだろう。年相応に貫禄十分で、色気もある。セリフの間の取り方も絶妙だ。登場人物が並ぶポスターを見て、てっきり天海祐希が仕掛け人の一人だと思っていた。実は、最重要登場人物であるが、ネタバレになるのでここでは言わない。もちろん豊川悦司の冷徹な仕掛け人もさすがのうまさである。殺し方は痛快だ。長身の天海祐希なので、主役は豊川悦司しかないでしょう。
一流どころの俳優が適役に恵まれただけで、映画の質がグッとあがる良い例であろう。もちろん、梅安の相棒片岡愛之助も彼のキャラクターを生かせる役だし、梅安の自宅の女中である高畑淳子が味のあるコミカルな演技をする。最初に映る依頼人役の中村ゆりが、ここ最近の作品同様に実にいい女だった。
登場人物は割と多い方だが、状況がわかりやすく混乱しない。2時間以上まったく退屈しなかった。法律用語で言う双方代理になりかねない展開に進みそうになったり、情に揺らいでくる部分もある。仕掛人がきっちり職務を果たすと思っても、いったいどうなるんだろうと思う展開に進む。バックの音楽もスリリングな雰囲気を盛り上げる。予想外の掘り出し物であった。
この映画もある意味悪女映画の一種である。歴史的に悪女映画というと、女性の狂乱を招くマイケルダグラスの「危険な情事」やクリントイーストウッド「恐怖のメロディ」の類はある。それよりも、美人が登場する保険金殺しにからんだビリーワイルダー監督の「深夜の告白」の匂いがある。
天海祐希は料理屋の女将だけど、けっしてイヤな女ではない。裏があっても、銀座の高級クラブでよく見る涼しい顔をして店を捌くやり手美人ママに近いのではないか。客にいい女中紹介しますよと天海祐希の女将が言って、「女将がいいよ」と客に言われた時にかわす言葉がまさにやり手ママのセリフそのものだ。時代を現代に移して松本清張のミステリーに登場するようなクラブのママ役もやらせてみたい。
エンディングロール終了後、オマケがあるのでご注意を。