映画とライフデザイン

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映画「茶飲友達」岡本玲&外山文治

2023-02-15 18:50:29 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「茶飲友達」を映画館で観てきました。


映画「茶飲友達」は老人向けの風俗に焦点をあてた作品。自分も60を超えたので、ある意味気になる題材で映画館に向かう。この映画も東京ではユーロスペースでしか上演していない。そのせいか、地味な映画なのに「コンパートメントNo.6」同様超満員で驚く。外山文治監督の前作「ソワレ」村上虹郎主演の若者の物語だったけど、がら空きだった。

老人パワーはすごい。客席には男女を問わず老人が多い。身近に感じられるのであろう。岡本玲や名脇役渡辺哲など一部の俳優を除いては、一般人の老人がかなり出演している。


非常によくできた映画である。
傑作と言っても良い。素人も混じっているのにリアル感が半端じゃない。ドラマ仕立てで、ドキュメンタリータッチというわけでもないのに真に迫るものがある。それぞれのセリフに不自然さがない。一定の年齢に達した人がこれを観ると、誰もが思うことがあるだろう。

妻に先立たれた1人住まいの老人が新聞を読んでいると、「茶飲友達」募集という三行広告に気づく。電話すると若い女性が「ティーフレンドです」と応答した。会ってみると、お相手とスタッフの2人の女性と面会する。メニューは普通のコースと玉露コースに分かれていて、玉露コースではハードなお付き合いもできるのだ。運営者の代表は元風俗嬢のマナ(岡本玲)で、若者たちで運営している。送迎やトラブル対応をしていて、大勢の老女コールガールを抱えている。


⒈勧誘
店のオーナーであるマナがスーパーで買い物をしていると、万引きをしようとする初老の女性に気づく。おにぎりをバッグに入れたところを店員に見られ摘発されそうになっている。その場をマナが見つけて、お母さんレジに行きましょうと助けの手を伸ばす。まったく関係ないので初老の女性は啞然とする。そして、マナは自分たちのアジトに連れて行って勧誘する。当然、最初はそんな気はないと抵抗するが、未亡人の初老の女性マキは気がつくと「ファミリー」に入っているのだ。


あとはパチンコ屋にいるいかにもカネを突っ込んで金欠の女性などにも目をつける。みんな金がない。前借りもしょっちゅうだ。浪費家がその道に入っていく。ある意味、貧困ビジネスの要素もある。何かのきっかけで、「ティーフレンド」に来た女性をスタッフが手取り足取り初歩から教えていくのだ。

⒉男性たち
ネットというよりも全国紙の三行広告の方が効果がある。「茶飲友達募集」ということで連絡すると、待ち合わせ場所には初老の女性と若いティーフレンドのスタッフが待っている。そして、雑談を少しした後でバイアグラを差し出す。気がつくと一気にディープなコースに進んでしまうのだ。リピート率も高い。深い仲になったあと、男性側は普通の付き合いも求めるがそれには応じない。タイマーが終了したら、さっさと出ていく。


ここで「ティーフレンド」は別の需要に気づき一歩先に進んでしまう。老人ホームの個室で対応するのだ。お見舞いのふりをして、若いスタッフと初老の老女が部屋に入っていき、あとは老女にお任せだ。偉そうなことを言っても男は女性にキスされるともうダメ。かなりの重症で自分で何もできないような要介護老人にも対応する。白髪まじりの老女が入っていったら、施設の人も心配しない。


しかし、ずっとうまくいくことはない。ある時点で転換期を迎える。ここからはネタバレなので言えないが、万一の時にどうするか?ということもマニュアル化しておけばうまく逃げ切れたのかもしれない。当然、こんな映画の存在で実際に商売のネタにする人たちがいることも考えられる。その際には、いい事例になるだろう。

スタッフの人間模様にも着目する。
ただ、ここまでやらなくてもいい気もした。そうすると、120分以内で簡潔にまとめられるかもしれない。
コメント
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