映画とライフデザイン

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映画「コンパートメントNo.6」

2023-02-14 19:54:01 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「コンパートメントNo.6」を映画館で観てきました。


コンパートメントNo.6はフィンランド映画カンヌ映画祭でグランプリを受賞している作品である。大好きなフィンランドの名監督アキ・カウリマスキ作品のテイストもあるという話で行こうとすると、予約で一杯。東京ではシネマカリテしかやっていないのだ。それでもネット予約して何とか行くと、受付で門前払いされている客が多いのに驚く。もちろん満員だ。

基調はロードムービーだ。
舞台はロシアだ。モスクワからサンクトペテルブルグを経由して北端の駅まで2昼夜走る寝台列車に乗っていくのだ。外は雪が降り続く。主人公ラウラ(セイディハーラ)はフィンランド人だけど、モスクワに住んでいる。女性の恋人がいる。でも、一緒に行くはずだったのに、結局一人旅になってしまう。


何故か、まったくの他人の男女が同じ客室で一緒になる。何それ!と思ってしまう。同室のプーチンのような顔をしたいかにもロシア人リョーハ(ユーリーボリソフ)が大酒をくらって絡んでくる。これはヤバイと女性の車掌に部屋を変えてくれと訴えても無視される。


それが、仕方なしに列車に乗っているうちに、粗暴なリョーハの態度も少しづつかわる。お互い徐々に好感を持つようになるという話だ。それを見せつけるエピソードと小話を積み上げていく。

カネがかかっている映画ではない。元々、アキ・カウリスマキの映画に出てくるバックの風景のように、いかにもノスタルジーな世界である。二人の男女は美男美女ではない無愛想な女性車掌にカウリスマキ映画のテイストを感じる。列車で知り合った男の知り合いのおばあちゃんの肌合いも同様だ。純粋なロシア人の素朴な感じがにじみ出る。


好きなタイプのやさしい映画だ。列車は札幌から稚内に向かうような雰囲気だけど、この映画の移動距離は半端じゃない。しかも、行き先が世界最北端の駅ムルマンスクだ。嵐のシーンの風雪が凄すぎる。かなりのロングタームの旅の中で、狭い空間にいる二人の嫌悪の目が徐々に恋に近づいていく空気感にほのぼのとした感触をもった。日本ではなくなりつつある食堂車がいい感じだ。
コメント
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