映画とライフデザイン

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映画「ドリーム」 タラジ・P・ヘンソン&オクタヴィア・スペンサー

2017-10-05 19:00:46 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「ドリーム」を映画館で観てきました。


ソ連に遅れてアメリカがはじめて有人宇宙飛行に成功したとき、NASAで働く3人の黒人リケジョの裏方に支えられていた話を描いている。こういう3人が活躍していたことは初めて知った。

自分がなり切れないあこがれもあってか、数学の能力に優れた天才を描いた映画って好きだ。天才ぶりをあらわす逸話もふんだんに披露される。現代アメリカ映画らしく、美術、衣装は完璧で色彩設計もすばらしい。ソウルフルなミュージックも画面にあわせて軽快に流れる。気分よく見れるサクセスストーリーである。

東西冷戦下、アメリカとソ連が熾烈な宇宙開発競争を繰り広げている1961年。ヴァージニア州ハンプトンのNASAラングレー研究所では、優秀な頭脳を持つ黒人女性たちが“西計算グループ”に集い、計算手として働いていた。リーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)は管理職への昇進を希望しているが、上司ミッチェル(キルスティン・ダンスト)に「黒人グループには管理職を置かない」とすげなく却下されてしまう。技術部への転属が決まったメアリー(ジャネール・モネイ)はエンジニアを志しているが、黒人である自分には叶わぬ夢だと半ば諦めている。


幼い頃から数学の天才少女と見なされてきたキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は、黒人女性として初めてハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部に配属されるが、オール白人男性である職場の雰囲気はとげとげしく、そのビルには有色人種用のトイレすらない。それでも、それぞれ家庭を持つ3人は公私共に毎日をひたむきに生き、国家の威信をかけたNASAのマーキュリー計画に貢献しようと奮闘していた。(作品情報より)

1.数学にすぐれたキャサリンの活躍
60年代初め、アメリカは明らかにソ連に宇宙開発で遅れていた。ソ連はガガーリン飛行士による有人宇宙飛行を成功させ、NASAは焦っていた。ケビン・コスナー演じる研究本部のハリソン本部長は軌道の設計ができる解析幾何学にすぐれた奴はいないのかと部下をしかりつめる。その時、遡上に上がったのがキャサリンだ。この当時、黒人女性で大学院まで卒業するというのはめったになかったと思う。若き日から数学の才能にすぐれたキャサリンが研究本部の計算係として異動する。


研究本部はエリート白人男性ばかりで、黒人はもちろんいないし、白人女性も補助だけだ。広い本部の部屋に入るとみんなから白い目で見られる。ロケットの軌道計算の見直しをやるように指示を受けるが、肝心な数字が黒のマジックで消されている。おいおい、これじゃ仕事できないじゃないの。でも彼女は光にあて、マジックの下の字を一部読み取り、行間から推測して正しい数字を見せつける。これにはみんな唖然だ。


そんな感じで、徐々に本部長の信頼を得る。しかも、宇宙飛行士グレンのいる前で、大気圏突入と落下位置をスパッと計算するのだ。こんな逸話がたのしい。

2.計算センターの女性リーダーの昇進
一方、別館の計算センターにいる優秀な黒人女性のなかで実質リーダーをしていたドロシーは、何度も昇進を懇願したが、受け入れられなかった。(ここでのキルスティンダンストの嫌味っぷりも見どころだ。)その中でコンピューター言語のFORTRANを自力で学んで、IBMの大型CPUの操作をマスターするなんて逸話もある。目のギョロっとした芸達者なオスカー女優オクタビア・スペンサーはいつもながらの名演技である。


映画の世界でも60年代前半というと、黒人と白人との激しい対立が描かれている。アカデミー賞受賞した「夜の大捜査線」なんか見てもすごいよね。グレゴリーペックが黒人の冤罪を弁護する正義あふれた弁護士を演じた「アラバマ物語」も1962年だ。キャサリンがいる研究本部には黒人女性用のトイレがない。わざわざ別館まで走っていかねばならない。こんな場面も黒人の阻害ぶりを示している。

ただ、解析幾何って高校で習う図形を座標軸で計算するやつだよね。微分積分の解析と違うなら、解析幾何学ってそんなに特殊な学問かなあ?訳し方が違うのかなあ?あと、天才少女ぶりを示すという黒板の問題って誰でもできるずいぶんと簡単な問題だけど、アメリカってこういうのが難しいということになるの?このあたりは不思議だけど、主人公が計算能力に優れているということは間違いないだろうね。

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