映画「アンダーカレント」を映画館で観てきました。
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映画「アンダーカレント」は豊田徹也の漫画をもとにした今泉力哉監督の新作である。真木よう子が主演、相手役は井浦新で、リリーフランキー、永山瑛太、江口のりこの実力派が脇を固める。自分にとっては2013年のベスト「さよなら渓谷」での真木よう子がすばらしく、主演作をずっと観たいと思っていただけにうれしい。事前情報は最小限で映画館に向かう。
かなえ(真木よう子)は父親が営んでいた銭湯を父の死後、夫(永山瑛太)と引き継いだ。ところがある日夫が突如失踪して行方不明になる。不在の間銭湯を休んでいたが、パートの敏江(中村久美)と一緒に銭湯の営業を再開する。そこに銭湯組合の紹介で堀(井浦新)が訪れてそのまま働くことになった。
育休中のよう子(江口のりこ)と旧交を温めたかなえは、よう子から探偵の山崎(リリーフランキー)を紹介されて、夫の捜索を依頼する。山崎から報告を聞いたかなえは身寄りがないという夫に実は両親がいたことなど知らなかった事実を聞き驚く。その後、身近なところで予期もしない事件が次々と起こってくる。
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情感のこもったすばらしい作品だった。
今泉力哉監督のナイスチョイスで原作に恵まれたと感じる。しかも、映画と銭湯は相性がいい。漫画は読まないので、原作は当然未読。登場人物に相応の役割を用意して、エピソードも数多く散りばめるので飽きがこない。今泉力哉監督は澤井香織とともに観客の興味をそそる脚本に仕上げた。2023年では自分のベスト上位だ。
ほぼ全部観ている今泉力哉の作品では、今回の「アンダーカレント」が1番良くできていると感じる。いつものように長回しの場面はあっても、セリフに余分なぜい肉はなくダラダラ感がないのも特徴だ。探偵の調査から秘密が判明する。不安な感情を起こさせる。加えていくつか不意に起こる事件で余分な謎をわれわれに与える。ミステリーの要素で緊張感が生まれる。グッと引きつけられておもしろくなる。その雰囲気に細野晴臣の音楽が合う。
真木よう子はすばらしい演技を我々に見せてくれた。ちょうど10年前の「さよなら渓谷」に劣らない。あの時もしっとりと間をもった演技を見せていた。銭湯のお湯に何度も浸かって揺らぐ気持ちを示す。失踪した夫の行方を探偵が捜索し、夫がウソをついていることがわかって動揺する。子どもの頃のつらい想い出にも悩まされるし、次々と身の回りに事件が起きる。とても冷静ではいられない。心の揺れを情感込めて演じていた。やはりこの人にはサブでなく主役をやらせたい。
井浦新は黙々と銭湯で仕事をする。薪を燃やしてお湯を沸かす。夫が戻ってくるまで働くと言って勤めている。余計なセリフは少ない。真木よう子の心の乱れに戸惑う。まったくの第三者的な存在だったのが、途中から知られていない新事実がわかってくる。徐々に井浦自身も心が揺れてくる。つい先日「福田村事件」での主役に引き続きナチュラルな演技がいい感じだ。
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リリーフランキーはちょっと変わった探偵を演じる。只者ではないキャラで適役だ。探偵の依頼主への報告にカラオケボックスや観覧車の中を使う。周囲にバレないためと言っても珍しい設定だ。でも、きっちり聞き込みをした調査で失踪した男の秘密を暴いて主人公を驚かせる。そしてラストに向かってもう一仕事をする。今泉力哉監督の前作「ちひろさん」で風俗店の元店長を演じて、真木よう子とは「そして父になる」で夫婦役だった。
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江口のりこは今泉力哉監督の「愛がなんだ」でも成田凌があこがれる個性的な女性を演じて存在感を示した。ホラー映画を除いて彼女の作品は全部観ている。いつもひょうひょうとしている。好きな女優だ。ブログでは取り上げていないけどTVシリーズの「ソロ活女子のススメ」の大ファンである。いろんなことにトライする江口のりこの独り言の声がここでも聞けてうれしい。Netflixでも見られる。そういえばソロ活で都内の古い銭湯まわりもしていたなあ。
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中村久美は「高野豆腐店の春」で藤竜也と老いらくの恋を演じる。最近主演頻度が高く、老け役が多い。今回は今泉力哉作品常連の若葉竜也が出ていない。珍しい。この作品に関しては配役するのが困難かも。どこで撮影したのか気になったけど、エンディングロールで市川,浦安方面だとわかる。銭湯は市川で、何回も出てくる橋が浦安市堀江の橋かと連想したが、Google mapsを見たら間違いなかった。バックの鉄橋を走る電車は地下鉄東西線だ。ただ、池や海は違うなあ。いい架空の街ができた。ロケハンの賜物だ。
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映画「アンダーカレント」は豊田徹也の漫画をもとにした今泉力哉監督の新作である。真木よう子が主演、相手役は井浦新で、リリーフランキー、永山瑛太、江口のりこの実力派が脇を固める。自分にとっては2013年のベスト「さよなら渓谷」での真木よう子がすばらしく、主演作をずっと観たいと思っていただけにうれしい。事前情報は最小限で映画館に向かう。
かなえ(真木よう子)は父親が営んでいた銭湯を父の死後、夫(永山瑛太)と引き継いだ。ところがある日夫が突如失踪して行方不明になる。不在の間銭湯を休んでいたが、パートの敏江(中村久美)と一緒に銭湯の営業を再開する。そこに銭湯組合の紹介で堀(井浦新)が訪れてそのまま働くことになった。
育休中のよう子(江口のりこ)と旧交を温めたかなえは、よう子から探偵の山崎(リリーフランキー)を紹介されて、夫の捜索を依頼する。山崎から報告を聞いたかなえは身寄りがないという夫に実は両親がいたことなど知らなかった事実を聞き驚く。その後、身近なところで予期もしない事件が次々と起こってくる。
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情感のこもったすばらしい作品だった。
今泉力哉監督のナイスチョイスで原作に恵まれたと感じる。しかも、映画と銭湯は相性がいい。漫画は読まないので、原作は当然未読。登場人物に相応の役割を用意して、エピソードも数多く散りばめるので飽きがこない。今泉力哉監督は澤井香織とともに観客の興味をそそる脚本に仕上げた。2023年では自分のベスト上位だ。
ほぼ全部観ている今泉力哉の作品では、今回の「アンダーカレント」が1番良くできていると感じる。いつものように長回しの場面はあっても、セリフに余分なぜい肉はなくダラダラ感がないのも特徴だ。探偵の調査から秘密が判明する。不安な感情を起こさせる。加えていくつか不意に起こる事件で余分な謎をわれわれに与える。ミステリーの要素で緊張感が生まれる。グッと引きつけられておもしろくなる。その雰囲気に細野晴臣の音楽が合う。
真木よう子はすばらしい演技を我々に見せてくれた。ちょうど10年前の「さよなら渓谷」に劣らない。あの時もしっとりと間をもった演技を見せていた。銭湯のお湯に何度も浸かって揺らぐ気持ちを示す。失踪した夫の行方を探偵が捜索し、夫がウソをついていることがわかって動揺する。子どもの頃のつらい想い出にも悩まされるし、次々と身の回りに事件が起きる。とても冷静ではいられない。心の揺れを情感込めて演じていた。やはりこの人にはサブでなく主役をやらせたい。
井浦新は黙々と銭湯で仕事をする。薪を燃やしてお湯を沸かす。夫が戻ってくるまで働くと言って勤めている。余計なセリフは少ない。真木よう子の心の乱れに戸惑う。まったくの第三者的な存在だったのが、途中から知られていない新事実がわかってくる。徐々に井浦自身も心が揺れてくる。つい先日「福田村事件」での主役に引き続きナチュラルな演技がいい感じだ。
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リリーフランキーはちょっと変わった探偵を演じる。只者ではないキャラで適役だ。探偵の依頼主への報告にカラオケボックスや観覧車の中を使う。周囲にバレないためと言っても珍しい設定だ。でも、きっちり聞き込みをした調査で失踪した男の秘密を暴いて主人公を驚かせる。そしてラストに向かってもう一仕事をする。今泉力哉監督の前作「ちひろさん」で風俗店の元店長を演じて、真木よう子とは「そして父になる」で夫婦役だった。
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江口のりこは今泉力哉監督の「愛がなんだ」でも成田凌があこがれる個性的な女性を演じて存在感を示した。ホラー映画を除いて彼女の作品は全部観ている。いつもひょうひょうとしている。好きな女優だ。ブログでは取り上げていないけどTVシリーズの「ソロ活女子のススメ」の大ファンである。いろんなことにトライする江口のりこの独り言の声がここでも聞けてうれしい。Netflixでも見られる。そういえばソロ活で都内の古い銭湯まわりもしていたなあ。
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中村久美は「高野豆腐店の春」で藤竜也と老いらくの恋を演じる。最近主演頻度が高く、老け役が多い。今回は今泉力哉作品常連の若葉竜也が出ていない。珍しい。この作品に関しては配役するのが困難かも。どこで撮影したのか気になったけど、エンディングロールで市川,浦安方面だとわかる。銭湯は市川で、何回も出てくる橋が浦安市堀江の橋かと連想したが、Google mapsを見たら間違いなかった。バックの鉄橋を走る電車は地下鉄東西線だ。ただ、池や海は違うなあ。いい架空の街ができた。ロケハンの賜物だ。