映画「名も無き日」を映画館で観てきました。
「名も無い日」は名古屋出身で米国在住のカメラマン日比雄一が自らの体験に基づき監督脚本した作品である。ここのところ、永瀬正敏が出演する映像を見る機会が多い。オダギリジョーが共演で、久々に今井美樹が登場するという情報で映画館に向かう。他にも、真木よう子、木内みどりをはじめ出演者は豪華で、藤真利子は久しぶりに見た。その夫役で井上順が出てきてもっとビックリ。
ニューヨーク在住のカメラマン(永瀬正敏)が、弟(オダギリジョー)が亡くなったという知らせを受けて故郷の名古屋に帰る。死後しばらくして発見され、どうして死んだのかもわからない状況の中、親類や昔の旧友と過ごす日々を描いている。
こういうネクラな題材だけど、どん底に落ちる訳ではない。じんわりと胸にしみる。カメラマンが作った作品だけに、映像の構図はきれいで、岩代太郎の音楽もいい。永瀬正敏が演じるカメラマンがまさに適役で無頼な感じがいい。いい映画だと思うけど、もう少し短くできたんじゃないだろうか?無理に逸話をいくつか加えた感がある。
⒈弟の真相があらわにならない序盤
弟が亡くなって主人公が帰国したというのはすぐわかる。下の弟夫妻に会ったり、叔父さん夫婦(井上順&藤真利子)や昔の同級生の母上(木内みどり)や居酒屋を営んでいる旧友(中野英雄)の元へ行って昔の仲間と飲んだり、古い女友達(今井美樹)に会ったりして軽いストーリーを積み重ねていく。ここではあっと驚くようなことはない。
しかし、何で死んだのかはハッキリしない。DNA鑑定の結果がでないというセリフからは、変死体で見つかったのではと想像するしかない。そんなストーリーが続くと同時に、熱田神宮が映る。数年前に家族と行った。ここでは祭りと思しき場面に、提灯がクローズアップされる。主人公はカメラのレンズを被写体に焦点あてようとするが、結局写さない。
⒉永瀬正敏
自由人で所帯の匂いが感じられない無頼のカメラマンである。こんな感じの役が実にうまい。今回も彼ならではの役柄だ。「茜色に焼かれる」では風俗店の店長、「空に住む」ではペット葬儀屋を演じた。ちょっとアウトローくらいの役を、実にうまくこなす。別に主演にこだわっていない。いろんな作品で永瀬正敏を見る。ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」でのアダムドライバーとのやりとりも良かった。いい俳優になった。
⒉オダギリジョー
「明日の食卓」でもあっさりあの世にいってしまい、ここでも死んでしまう役柄だ。なんか続いちゃったね。序盤戦では、兄弟の中で1人大学それも東大経由でハーバードに行き、いちばんのインテリだという場面がある。オダギリジョーの役柄にしては珍しい設定だ。でもこの主人公の弟、周りですごいと言われても本人は自慢もせずにその場を去る内気な感じだ。
そして、中盤戦になり、引きこもりのようになった姿を見せる。目には星が見える。視力に問題があるようだ。ゴミ屋敷と化した家の中で変貌した姿を見せる。。オダギリジョーらしいひょうひょうとしてすっとぼけたような明るさは見えない。でもこの場面に到達して、オダギリジョーがその実力を発揮する。
⒊今井美樹
工場勤めのようである。ネクラな女というのを映像で醸し出す。地元にいても、高校の同級会にも出席しないというセリフがある。でも、永瀬正敏と会う。見ている途中は昔の彼女で別れ別れになった存在なのかと思った。
そんな今井美樹を久しぶりに見た。昭和の最後から「プライド」を大ヒットさせた平成のヒトケタ後半まで実に輝いていた。個人的には昭和ラストの「意外とシングルガール」が好きだった。藤井フミヤと踊るシーンが印象に残る。今でも別に色あせてはいない。まだまだきれいだ。ただ、せっかく出たのにこの出番じゃもったいない。そういえば今井美樹も永瀬正敏2人とも宮崎県出身だとふと気づいた。
⒋豪華共演者
真木よう子はトラブル続きだったけど、今回は普通。実力のある女優だけに主演級の作品で見たい。往年の艶やかさは消えたけど藤真利子はまだ生きていた。その夫役で井上順が出てきてもっと驚いた。最近は息子の仲野大賀の活躍が目立つ父親中野英雄が居酒屋の店主役だが、正直ラストのクレジットではじめて中野だと分かった。そこに飲みにきている主人公の同級生役の大久保佳代子は永瀬正敏や今井美樹よりちょっと年下のような気もするが、老け顔だから通っちゃうのかな?
オダギリ演じる次男が何で死んじゃったのかは結局よくわからない。引きこもりになり、目に異常が出て本来手術すべきなのにしない。次男は東大出の設定だ。なんか仕事で辛いことあったんだろうか?悩みは誰でもあること。でも、自分の周囲にいる東大出身者はみんなそつなく要領がいい。ましてや滅入って自死するような奴はいない。(弟のキャラどこまで実話なのであろうか?)むしろ高校の同級で京大に行った奴がこのオダギリジョーのキャラクターに近いような気がした。そして40代に入って自殺で死んだ。彼を連想し映画を見終わって同級生の冥福を祈った。
「名も無い日」は名古屋出身で米国在住のカメラマン日比雄一が自らの体験に基づき監督脚本した作品である。ここのところ、永瀬正敏が出演する映像を見る機会が多い。オダギリジョーが共演で、久々に今井美樹が登場するという情報で映画館に向かう。他にも、真木よう子、木内みどりをはじめ出演者は豪華で、藤真利子は久しぶりに見た。その夫役で井上順が出てきてもっとビックリ。
ニューヨーク在住のカメラマン(永瀬正敏)が、弟(オダギリジョー)が亡くなったという知らせを受けて故郷の名古屋に帰る。死後しばらくして発見され、どうして死んだのかもわからない状況の中、親類や昔の旧友と過ごす日々を描いている。
こういうネクラな題材だけど、どん底に落ちる訳ではない。じんわりと胸にしみる。カメラマンが作った作品だけに、映像の構図はきれいで、岩代太郎の音楽もいい。永瀬正敏が演じるカメラマンがまさに適役で無頼な感じがいい。いい映画だと思うけど、もう少し短くできたんじゃないだろうか?無理に逸話をいくつか加えた感がある。
⒈弟の真相があらわにならない序盤
弟が亡くなって主人公が帰国したというのはすぐわかる。下の弟夫妻に会ったり、叔父さん夫婦(井上順&藤真利子)や昔の同級生の母上(木内みどり)や居酒屋を営んでいる旧友(中野英雄)の元へ行って昔の仲間と飲んだり、古い女友達(今井美樹)に会ったりして軽いストーリーを積み重ねていく。ここではあっと驚くようなことはない。
しかし、何で死んだのかはハッキリしない。DNA鑑定の結果がでないというセリフからは、変死体で見つかったのではと想像するしかない。そんなストーリーが続くと同時に、熱田神宮が映る。数年前に家族と行った。ここでは祭りと思しき場面に、提灯がクローズアップされる。主人公はカメラのレンズを被写体に焦点あてようとするが、結局写さない。
⒉永瀬正敏
自由人で所帯の匂いが感じられない無頼のカメラマンである。こんな感じの役が実にうまい。今回も彼ならではの役柄だ。「茜色に焼かれる」では風俗店の店長、「空に住む」ではペット葬儀屋を演じた。ちょっとアウトローくらいの役を、実にうまくこなす。別に主演にこだわっていない。いろんな作品で永瀬正敏を見る。ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」でのアダムドライバーとのやりとりも良かった。いい俳優になった。
⒉オダギリジョー
「明日の食卓」でもあっさりあの世にいってしまい、ここでも死んでしまう役柄だ。なんか続いちゃったね。序盤戦では、兄弟の中で1人大学それも東大経由でハーバードに行き、いちばんのインテリだという場面がある。オダギリジョーの役柄にしては珍しい設定だ。でもこの主人公の弟、周りですごいと言われても本人は自慢もせずにその場を去る内気な感じだ。
そして、中盤戦になり、引きこもりのようになった姿を見せる。目には星が見える。視力に問題があるようだ。ゴミ屋敷と化した家の中で変貌した姿を見せる。。オダギリジョーらしいひょうひょうとしてすっとぼけたような明るさは見えない。でもこの場面に到達して、オダギリジョーがその実力を発揮する。
⒊今井美樹
工場勤めのようである。ネクラな女というのを映像で醸し出す。地元にいても、高校の同級会にも出席しないというセリフがある。でも、永瀬正敏と会う。見ている途中は昔の彼女で別れ別れになった存在なのかと思った。
そんな今井美樹を久しぶりに見た。昭和の最後から「プライド」を大ヒットさせた平成のヒトケタ後半まで実に輝いていた。個人的には昭和ラストの「意外とシングルガール」が好きだった。藤井フミヤと踊るシーンが印象に残る。今でも別に色あせてはいない。まだまだきれいだ。ただ、せっかく出たのにこの出番じゃもったいない。そういえば今井美樹も永瀬正敏2人とも宮崎県出身だとふと気づいた。
⒋豪華共演者
真木よう子はトラブル続きだったけど、今回は普通。実力のある女優だけに主演級の作品で見たい。往年の艶やかさは消えたけど藤真利子はまだ生きていた。その夫役で井上順が出てきてもっと驚いた。最近は息子の仲野大賀の活躍が目立つ父親中野英雄が居酒屋の店主役だが、正直ラストのクレジットではじめて中野だと分かった。そこに飲みにきている主人公の同級生役の大久保佳代子は永瀬正敏や今井美樹よりちょっと年下のような気もするが、老け顔だから通っちゃうのかな?
オダギリ演じる次男が何で死んじゃったのかは結局よくわからない。引きこもりになり、目に異常が出て本来手術すべきなのにしない。次男は東大出の設定だ。なんか仕事で辛いことあったんだろうか?悩みは誰でもあること。でも、自分の周囲にいる東大出身者はみんなそつなく要領がいい。ましてや滅入って自死するような奴はいない。(弟のキャラどこまで実話なのであろうか?)むしろ高校の同級で京大に行った奴がこのオダギリジョーのキャラクターに近いような気がした。そして40代に入って自殺で死んだ。彼を連想し映画を見終わって同級生の冥福を祈った。