電源が止まれば原発は水素爆発するという弱点を公表すれば、テロリスト達が原発に電気を送っている変電所や送電ケーブルを数か所、「破壊」すれば良いと教えることになります。それらの復旧に24時間以上かかると原発は水素爆発するのです。
したがって原発は絶対に安全だという宣伝を、政府、官僚、原子力村の学者達がして来ました。
その宣伝の根拠は次の2つに尽きます。
(1)原発の炉心は「圧力容器」に入っていて、その圧力容器は頑丈な「原子炉格納容器」に入っています。そして更に鉄筋コンクリートの丈夫な建物に入っています。
つまり3重に密閉してあるので万一事故が起きても放射能は絶対に外へ漏れません。
この3重構造はジェット戦闘機が突っ込んでも壊れない強度で出来ています。勿論、どんなに強い地震が起きても壊れません。
(2)万一事故が起きた場合はシリコンカーバイト(減速材)の棒が核燃料棒の間に瞬間的に挿入され、核連連鎖反応を停止させますから絶対に安全なのです。
シリコンカーバイトの棒の挿入は停電になっても良いように油圧で行います。だから安心なのです。
以上の説明は多くの人々が耳にタコが出来るほど何度も聞いたはずです。新聞にも何度も書かれていました。そして原子力村の偉い学者がその安全性を書いていたものです。
しかし今回の福島原発4基の水素爆発で「原発の安全神話」が木端微塵に吹き飛んでしまったのです。
上の(2)はその通り作動しましたが、(1)は全くのウソだったのです。
つまり冷却水が止まった後で核燃料棒が自然崩壊熱で1600度、2000度と加熱され水素ガスを多量に発生したのです。
その水素ガスが「圧力容器」と「原子炉格納容器」の数多くの配管の隙間から漏れ出し、建物の中に充満し、停電後やく24時間で大爆発を起こしたのです。
大爆発とともに半減期の長い放射性セシウムを大量に福島県と茨城県北部へ播き散らしたのです。
(1)に書いてある・・・つまり3重に密閉してあるので万一事故が起きても放射能は絶対に外へ漏れません・・・は全くのウソだったのです。
この重大なウソを真実のように見せかけるために以下の2つの技術的情報を公表しなかったのです。特にマスコミなどで報道されないようにしたようです。
(1)燃料棒の自然崩壊熱で水素ガスが多量に発生するという事実。
(2)その水素ガスが格納容器の配管の隙間から出て、建屋に充満し、やがて大爆発をするという事実。
この2つの弱点はかなり秘密だったので、原子力の専門家ですら福島原発爆発のとき「あれは水蒸気爆発だ」と言っていたのです。爆発後しばらくたってから水素爆発だったというマスコミ報道が流れたのです。
恥ずかしい話ですが、大学の工学部を卒業し、技術研究を職業としていた私も、上の(1)と(2)は全く知りませんでした。爆発の後で考え直して、成程、当然起きるべきことは起きると納得したのです。
福島原発の爆発のとき原子力村の学者でさえ水素爆発だと公言した人は殆どいませんでした。
この弱点の機密保持が成功したのです。
しかしその機密保持の代償はあまりにも甚大でした。大きな悲劇をもたらしました。
何故このような悲劇が起きたのか深く、繰り返し考えています。
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それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。
後藤和弘(藤山杜人)
下の写真は大悲劇の前、大津波が福島原発を襲っている様子です。