少し大きな視野で見ると、世界の多くの国々は多民族国家であることが分かります。同じ国や領域に違った民族が共に住んでいるのです。
中国に行くと白い布で頭を覆った回族の人々が漢族と混じって住んでいます。ある地域には朝鮮族の自治区があり、モンゴル族の自治区もあります。チベット人自治区もあればウイグル人の自治区もあります。南西の奥地にはいろいろな少数民族の村々が散在しています。
ですから日常使用されている文字も複数あり、看板などには併記してあります。
北京の故宮(紫禁城)に入るといろいろな建物の入り口に額がかかげてあり、漢字と満州文字が並んで書いてあります。
こういうことは世界の国々ではごく普通のことなのでしょう。
昔のエジプトではヒエログリフ(絵文字)とその民衆文字のデモティック文字とギリシャ文字が同時に使われていたのです。エジプトにもギリシャ人も住んでいたと考えられます。
この3種の文字が刻みこんであるロゼッタストーンは解読不能になってしまっていたエジプトのヒエログラフの謎を解く貴重な鍵になったのです。
このヒエログリフを解読したのはフランスのシャンポリオンで、1822年にその解読文がパリで発表されたのです。ナポレオンが1799年に発見してから僅か23年で解読されたのです。
その結果、エジプトに残る膨大なヒエログリフ文が解読され、古代エジプト王朝の歴史が明らかになったのです。それはヨーロッパ人が成し遂げた偉大な歴史研究の成果なのです。そのキッカケになったのがたった一個のロゼッタストーンだったのです。
さてアジア地域を考えてみますと、解読されていない文字の例としてしばしば西夏文字が上げられます。あるいは中国奥地の少数民族の絵文字もあります。もっとも西夏文字は西田 龍雄博士によって解読されたが、まだまだ謎の多い文字です。
尚、未解読文字の一覧表はこの記事の末尾についています。
満州文字は現在読める人が非常に少なくなっているそうです。
現在、絶滅しつつある民族も多いといいます。したがって絶滅した言語や文字もあります。
動物や植物の絶滅危惧種は大切に保存しようと努力しています。
しかし絶滅しつつある民族、その言葉、そして文字はどのようにして保護するべきなのでしょうか?
経済原理に従って困窮する民族は絶滅し、言語も失われるのです。経済発展の陰にこのような悲劇が起きているのです。困ったものですね。淋しいですね。どうしたら良いのでしょうか?
何方かご意見を頂けないでしょうか?
下にロゼッタストーンの写真と、北京にあるチベット佛教寺院の本堂の上に掲げてある額の写真を示しておきます。お暇の方は出典の詳しい文章をお楽しみ下さい。
ロゼッタ・ストーン: 上から順に、古代エジプトのヒエログリフ、古代エジプトのデモティック(草書体)、ギリシア語を用いて同じ内容の文章が記されている。
===上の写真と説明の出典は、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%BC%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B3です。=============
下は北京にあるチベット佛教寺院の本堂の上に掲げてある額です。
中華人民共和国、北京市東城区にあるチベット仏教寺院、雍和宮の本堂に相当する「雍和宮」に掲げられている扁額。4つの文字で「雍和宮」と書かれているが、右から順に
- 清(中国)の支配民族である満族の言語である満州語を満州文字で、
- 清の多数民族である漢民族の言語である中国語を漢字で、
- チベット仏教の発祥国(当時は清の保護国)のチベットの言語であるチベット語をチベット文字で、
- 第2のチベット仏教信仰民族であるモンゴル族の言語モンゴル語をモンゴル文字で、
以上の4種類の文字で記載されている。なお、チベット文字だけは横書きのために、1音節ごとに区切って横書きされている。この他の諸堂や諸門の扁額もほとんど全て、この4つの文字で記載されている。紫禁城の扁額は満州文字と漢字の2つだけなのはチベット仏教と関係がないからであろう。
===写真と説明の出典は、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Yonghe-gong_Temple_board.JPG です。=================
参考資料:未解読文字の一覧:
- オルメカ文字 (en:Olmec hieroglyphs) - オルメカ文明、紀元前およそ900年、おそらくメソアメリカ最古の文字。象形文字。
- 地峡文字 (en:Isthmian script) - 紀元前およそ500年、明らかに表語文字。
- サポテカ文字 (en:Zapotec writing) - サポテカ文明、紀元前およそ500年。
- ミシュテカ文字 (en:Mixtec script) - ミシュテカ、14世紀、おそらくピクトグラフ。
- 結縄 - インカ帝国、15世紀、非言語的な記号体系。
- インダス文字- インダス文明、紀元前およそ3300年以降、おそらく原文字。
- ウルク古拙文字 - ウルク文化期(紀元前3200年)にシュメール人による。絵文字としての性格が強いシンボルで、楔形文字の先祖。
- 原エラム文字 - エラム、紀元前およそ3200年以降。
- エラム線文字 - 紀元前およそ2200年以降。
- 線文字A - ミノア語、紀元前およそ1900年以降、音節文字。
- クレタ聖刻文字 - 紀元前およそ1900年以降。
- ワディ・エル・ホル文字 - 紀元前およそ1800年、おそらくアブジャド。
- ビブロス文字 - ビブロスの市街、紀元前およそ1700年。音節文字。
- ファイストスの円盤- 紀元前およそ1600年、一つしか存在しないテキスト。
- キュプロ・ミノア文字 - 紀元前およそ1500年以降。音節文字。
====解説================
人類は文字を獲得して以来、様々な事柄を文字にして記録に残してきた。昔の人間が書いた内容は様々な学問の分野において価値がある。だが現在の視点から見て、昔の文字体系を全て解明することはできていない。
理由として以下のことがあげられる。
- 既存の言語からかけ離れた関係にある孤立した言語
- 発見された文献に使用されていた文字の量が少なすぎ、資料が不足している
未解読とされる文字体系のいくつか(例として、後オルメカ、ファイストスおよびインダス文字)には解読されたという主張があるが、これらの主張は独立の研究者などによって確認されておらず、主流になっていない。
===出典は、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%AA%E8%A7%A3%E8%AA%AD%E6%96%87%E5%AD%97 です。=====================================