ネットの上に国内政治や国際関係に関する記事を書くと、時々若い年代の方から、あなたの意見は古臭いというコメントを頂きます。
それを実証するような場面を昨日見ました。
それは毎週一回通っいるリハビリ施設でのことでした。6人位がグループになって、4種類の筋力トレーニングを3時間行うのです。その合い間に10分ずつの休みがあります。すると若い男女の指導者がいろいろと話しかけてきます。これは脳のトレーニングなのです。高齢者に昔の思い出を話させていろいろ質問をします。
この様子を客観的に横から観察していたら、あることに気がつきました。
この施設に来る人は70歳から90歳の人です。戦後70年と言いますから、皆が少年少女のころ戦災や食糧難の経験をした者です。
ですから若いスタッフに思い出を話して下さいと云われれば、戦災や食糧難の体験を話します。
昨日は、昭和19年、20年に横須賀の海軍病院で看護婦をしていた90歳の方が話していました。
毎日、前線から送られて来た兵隊さんたちは本当にひどい状態でした。当直の時は夜通し看病します。朝まで命がもつように注射を打つのですが、その時は神様に祈っていました。この兵隊さんが朝まで命がありますようにと。兵隊さんはみな二十歳前後の若者でした。
この海軍病院まで帰ってきても故郷を見る前に死んで行くのです。可哀そうで、可哀そうで涙が止まりません。
8月15日の終戦の日は本当にホットしました。もう悲しい涙を流すこともないのです。
兵隊さんたちは本当に悪い時代に生まれたのです。その上、御国のためにと志願して若いうち出征した人も多かったのです。
昔、海軍病院で看護婦をしていた人の話に、他の高齢者がみんな熱心に聞いていました。中には感動して顔をあかくしている人もいます。
その一方、3人ほどの若い女性のスタッフはあまり関心が無いような様子です。しかし礼儀正しく少し質問をしてくれました。
この様子を横から見ていた私は、世代によって関心のある事が歴然と違うのだとということを悟りました。
第二次大戦のことは70歳以上の年代では一大経験で、国内政治や国際関係を考えるときその経験を土台にして考えます。当然、国家の重用性や軍部の暴走を意識しながら考えをまとめて行きます。
しかし30代、40代の世代は戦争の体験は皆無です。従って国家とか天皇制をあまり重要視しません。軍部の暴走などは遠い、遠い昔の話で実感がありません。
豊かで幸福な時代に育っているので一般的に人間性が良いのです。ようするに育ちが良いのです。
一方、70歳以上の年代は戦後の教育を受けました。日本が朝鮮を合併して、中国を侵略し、満州国を作ったことは非常に悪い事だったと徹底的に教わりました。アメリカの占領軍の民生局がそのように指導したのです。その結果、いわゆる自虐史観が定着したのです。
しかし若い年代ではそのような教育を受けませんでした。日本が独立し、占領軍の民生局の指導が無くなったのです。したがって次第次第に自虐史観が薄れて行ったのです。
世代によって考え方が変わるのは当然です。
世代が変われば話が通じなくなります。
世代を越えて話し合えるようにするには相手の世代の受けた経験や教育を想像して理解しあうことが重要になってきます。
そんなことを考えさせるリハビリ施設での、昨日のちょっとした観察結果を書いてみました。
今日の挿絵がわりの写真は5月21日に撮った甲斐駒岳山麓の花の写真です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)