後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

トランプ大統領は商取引のような国際外交を展開する

2016年12月15日 | 日記・エッセイ・コラム
人間には善意と悪意があります。理想主義を語るときもあり、理想を捨てて現実の利潤を求めるときもあります。
アメリカ人も例外ではありません。自由と平等の理想を語るときもあります。でも本音はイスラム教徒を差別するときもあります。メキシコからの不法移民を憎むときもあります。この悪意だけを刺激し、扇動し大統領選挙に勝ったのがトランプ氏です。
トランプ氏は理想を語りません。思想やイデオロギーを語りません。ただ一途にアメリカの経済を強くし雇用を拡大すると主張して大統領になりました。従来、アメリカの誇っていた自由と平等や人権の尊重などには一切言及しませんでした。
このような大統領候補は初めてではないでしょうか?
そのトランプ次期大統領が自分の政権を担う閣僚の人選を全て決めて発表しました。
今日はその顔ぶれを見てアメリカの今後の国際外交の様相を想像してみました。勿論、素人の想像ですからあてにはなりません。
さて閣僚の人選を見ると3つの特徴があるようです。読売新聞による整理をみると以下の3つの特徴があります。

(1)国務長官に国際ビジネスマンのティラーソン氏を指名しました。そして財務長官と国際経済会議委員長と商務長官などの経済閣僚に実業家を起用しました。
(2)国防長官に元中央司令官のマティスを指名し、国家安全保障大統領補佐官と国土安全保障長官にも元軍人を起用しました。
(3)司法長官、厚生長官、環境長官、エネルギー長官にはすべて脱オバマ志向の人を決定しています。

このような閣僚人事には有力政治家やプロの外交経験者がほとんど含まれていません。非常に驚きの人選です。良く言えば画期的な人選です。
この人選から今後のアメリカの外交の方向が見えてくるような気がします。その特徴的な方向を予測すると以下のようになるのではないでしょうか?
(1)トランプ氏自身が成功した実業家であり国務長官にロシア通の国際ビジネスマンがなることで、今後の国際外交は商取引の交渉や営業活動の様相になると思います。そこには人類共通の理想や正義などという空理空論が皆無になります。アメリカが儲かるのならロシアとも手を組みます。オバマ政権が敵視していた親ロシアのシリア、アサド政権も容認します。それでアメリカが儲かるのならクリミア半島を武力併合したロシアへの経済制裁も解きます。
中国に対しては台湾を切り札にして取引します。中国の譲歩でアメリカが儲かるなら中国と付き合います。
日本からはいろいろな取引でお金を出させます。

(2)アメリカの有力な軍人を閣僚に起用したことで、アメリカは今後、軍事力に依存した外交取引を展開するでしょう。軍隊を海外に派遣したら大きな儲けになる場合は躊躇しません。中東のアメリカの石油利権がを拡大するなら派兵するでしょう。イスラム国を直接アメリカ軍が攻撃する可能性もあるかも知れません。アメリカの外交に軍人たちの意見が反映されるようになるでしょう。

(3)オバマ政権の推し進めて来たTPPからも脱退し、国際協調主義は影を消すでしょう。人類全体の安寧などといった理想主義ははかなくも消えてしまいます。オバマ・ケアに見られた弱者救済の考え方も無くなります。
オバマさんのリベラルな考え方に反対の政策を展開するでしょう。
トランプ大統領は広島の原爆犠牲者の慰霊式典はやって来ないでしょう。ビジネスの世界では無駄な行為なのでしょう。

トランプ氏は此の世でお金が一番大切だと信じているかも知れません。そのように考えている日本人はトランプ氏の政治に賛同するでしょう。それも世の中です。私はそれを静かに受け入れて今後を見守るつもりです。

今日の挿し絵代わりの写真は先日三浦半島で撮ったヨットの見える風景です。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)